# QUESTION
2021.04.27

薄毛が遺伝する確率はどれくらい??遺伝以外の原因も紹介!

監修者紹介
いなばクリニック
稲葉 岳也
日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医 日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医
東京慈恵会医科大学卒業後、千葉大学大学院にて医学博士取得。東京慈恵会医科大学附属病院、聖路加国際病院を経て、2004年にいなばクリニックを開業。
皮膚科・形成外科領域のレーザー治療、及びアレルギー疾患の総合的治療が専門です。皮膚科、美容皮膚科、形成外科、美容外科、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、アレルギー科を主体として、幅広い視点で総合的な診療を行っております。レーザー機器を導入した医療を行っており、幅広い年齢層を対象としたホームドクターとして、地域密着の診療に尽力しております。

自分は薄毛にならないか不安に感じている人も多いでしょう。

若い人でも「親が薄毛だと遺伝して自分も薄毛になるって本当?」「遺伝ではなくて生活習慣で薄毛になるの?」といった薄毛に関する多くの不安の声があります。しかし薄毛の原因が分からないという人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は薄毛遺伝の原因からそのメカニズム、治療方法などまで紹介します。

遺伝と薄毛の関連性や脱毛症について、少しでも気になっている人はぜひ参考にしてください。

薄毛は遺伝するの?

「薄毛は遺伝するの?」といった疑問を持っている人は多いと思います。

結論から言うと、身長が高い親の子供は身長が高くなりやすかったり、視力の悪い親の子供は視力が悪くなりやすかったりするのと同じように、薄毛は子供に遺伝する可能性があります

しかし親が薄毛だったとしても、子供は薄毛にならない可能性も十分にあります。

なぜなら薄毛の原因は遺伝だけではないためです。

反対に親が薄毛でなくても子供が薄毛になる可能性もあるので、薄毛の原因を知り対策をとることが、薄毛の予防に必要不可欠になります。

 

薄毛遺伝のメカニズムを知ろう

(出典:(1)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA),(2)薄毛・脱毛の原因遺伝子の発見 キューティクル層を構成する Sox21 タンパク質の機能)

喜ぶ男性

薄毛の原因の90%以上はAGA (男性型脱毛症) と呼ばれるものです。薄毛が遺伝すると言われるのは、AGAになりやすい体質を受け継ぎ、薄毛になる可能性が高くなるからです。

ではそもそもAGAになってしまう仕組みとは何なのでしょうか。

男性の睾丸から分泌される男性ホルモンであるテストステロンは、血液を通って体中に流れ、5αリダクターゼという頭皮に存在している酵素と結びつくことで、DHT (ジヒドロテストステロン) という強力な男性ホルモンに生まれ変わります。

このDHTというホルモンが毛乳頭に存在しているアンドロゲンレセプターに結合して、TGF-βという脱毛因子を増やしてしまうことがAGAの原因です。

以下では、AGAの原因となる5αリダクターゼとアンドロゲンレセプターがいったいどのようなものなのか詳しく説明します。

5αリダクターゼ

(出典:(3)男性型脱毛症のフィナステリド治療効果と アンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性)

5αリダクターゼはテストステロンと結びつきDHTを生成することが分かりました。そのDHTがアンドロゲンレセプターに結合することで、薄毛が促進されてしまいます。

DHTは活動している毛母細胞の働きを阻害する働きを備えているので、正常な髪の毛の成長を邪魔します。

5αリダクターゼの活性が低ければ、テストステロンが5αリダクターゼと結びつく可能性が低くなり、結果的にDHTが作られにくくなるので薄毛になりにくい体質になります。

5αリダクターゼの活性が高ければそれだけ薄毛になりやすく、逆に活性が低ければ薄毛にはなりにくいので、薄毛を抑制するには5αリダクターゼの抑制が必要です。

アンドロゲンレセプター

(出典:(4)男性型脱毛症のフィナステリド治療効果と アンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性)

薄毛の原因にはアンドロゲンレセプターという成分が関係しています。

5αリダクターゼとテストステロンが結合してDHTが作られても必ずしも毛母細胞が衰退していくわけではありません。

DHTと毛根に存在しているアンドロゲンレセプターが結合することで髪の毛の成長を抑制し、AGA が発症してしまうということが薄毛の原因です。

DHTがどれだけ分泌されていたとしてもアンドロゲンレセプターと結合しなければ、毛母細胞の活動が抑制されないので、髪の毛の成長を抑制されることなく薄毛にはなりません。

つまりアンドロゲンレセプターの感受性が高い人は薄毛になりやすい体質で、感受性が低い人は薄毛になりにくい体質であるといえます。

薄毛になりやすい体質かは遺伝子で分かる?!

5αリダクターゼの活性の高さ

5αリダクターゼの活性が高いか低いかで、薄毛になりやすいかが決まります。

5αリダクターゼの活性の高さは人によって違い、その活性の高さは父親と母親から遺伝します。両親ともこの遺伝子を持っていなければ、薄毛になる確率はかなり低いと言えます。

5αリダクターゼは活性の高い両親から生まれた子供は活性が高く薄毛になりやすく、活性の低い両親から生まれた子供は活性が低く薄毛になりにくいということです。

アンドロゲンレセプターの感受性の高さ

5αリダクターゼだけではなく、アンドロゲンレセプターの感受性の高さも遺伝します

アンドロゲンレセプターの感受性関連の遺伝子の情報はX染色体に含まれており、一般的に男性は母親からXの染色体、父親からはY染色体を受け継ぎ、女性は父親と母親どちらからもX染色体を受け継ぎます。

男性は母親の父親の髪の毛が薄毛になっている場合、母親は薄毛の父親からX染色体を受け継いでいるので、その子供も薄毛になりやすいということです。

つまり母方の祖父が薄毛になっているかどうかで、自分のアンドロゲンレセプターの感受性の高さを判断でき、将来的に薄毛になるかを知ることができます

遺伝だけじゃない!生活習慣も薄毛の原因に?!

食材

遺伝は薄毛の要因の1つですがそれだけではありません。ここからは薄毛の原因になる生活習慣について詳しく紹介します。

睡眠不足

(出典:(5)睡眠関連ホルモンの計測)

睡眠不足の状態が続くと頭皮環境がどんどん悪化し、薄毛の原因になります

薄毛は毛母細胞が正常に細胞分裂を行わないと発症します。毛母細胞が活発に細胞分裂を行うためには、22時から2時の成長ホルモンの分泌が盛んな時間に睡眠をとることが必要です。

喫煙習慣

(出典:(6)禁煙科学 vol.9(06),2015.06)

喫煙習慣も薄毛の要因の1つです。

タバコに含まれるニコチン成分は毛細血管を縮めて血液の流れを悪化させます。毛細血管は毛乳頭に繋がっていて、そこに十分な栄養や酸素が送り込まれないと毛母細胞が十分に活動できません。

その結果髪の毛の成長が阻害され、喫煙により薄毛のリスクを高めてしまいます。

食生活の乱れ

(出典:(7)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の 関係について」)

私たちの髪の毛はタンパク質であるケラチンによってできており、タンパク質を中心とした食生活が健やかな頭皮を保つためには必要不可欠です。

体の中に入ったタンパク質は一度アミノ酸に分解され、その後それぞれに必要であると判断されたタンパク質に再び合成されていきます。

この時に欠かせない成分がビタミン類です。ビタミン類にはケラチンを作る亜鉛と抗酸化作用を含んでいます。

必要なタンパク質をとらなかったり、糖分や塩分の過剰な摂取や不規則な食生活は薄毛のリスクを高めるので、薄毛が気になる人には規則正しい食生活を送ることをおすすめします。

ストレス

(出典:(8)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)

ストレスも髪の毛が薄くなる原因の1つです。

ストレスによって新陳代謝が乱れてしまうと頭皮の環境が荒れてしまい、薄毛になる可能性があります。

頭皮はかなりデリケートなので、睡眠不足や食生活だけでなくストレスでも薄毛の原因になるので、薄毛対策をする場合には常に生活習慣を意識することが大切です。

遺伝に関係なく薄毛を治療するには?

(出典:(9)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA), (10)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望)

もしアンドロゲンレセプターの感受性が高く、5αリダクターゼの活性も高かったとしても薄毛は治療可能です。

AGA(男性型脱毛症)に効果的とされる治療薬が存在します。5αリダクターゼを阻害してくれる「ザガーロ」や「プロペシア」、毛母細胞の細胞分裂が活発になっていても直接そこに働きかけて活動を促してくれる「ミノキシジル」などがあります。

しかし遺伝が原因で薄毛なのか、生活習慣が原因で薄毛なのか、あるいは将来的に遺伝のリスクはどれぐらい高いのかの判断は難しいです。

薄毛の改善には風邪のように薬を処方するだけではなく、様々な方向からのアプローチが必要不可欠です。

AGA (男性型脱毛症) の治療薬は医薬品のためどれも高い効果が期待できます。しかしその一方でAGA (男性型脱毛症) の薬には副作用のリスクもあります。

薄毛の治療には専門のクリニックがあり、AGA(男性型脱毛症)を専門的に扱っているクリニックであれば副作用などのリスクを最小限に抑えながら、多方面からのアプローチで自身の薄毛を改善させる効果を高めていくことが可能です。

薄毛の遺伝のまとめ

今回は薄毛の遺伝の真実や薄毛になってしまう原因、治療方法などを紹介しました

薄毛はアンドロゲンレセプターの感受性や5αリダクターゼの活性の高さなどの遺伝が原因で、薄毛になりやすい人となりにくい人がいます。

ただし薄毛の原因は遺伝だけではなく、睡眠不足やストレスなどの生活習慣な可能性もあるため、規則正しい生活を送ることで薄毛を予防することができます。

薄毛が気になるという人やAGAの治療をしたいという人は、個人で治療するのではなく、副作用などをできるだけ抑えて治療してくれる専門的なクリニックで治療してもらうことが大切です。

薄毛に悩む人がいたらぜひ参考にしてみてください。

 

文 献

1). 日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97

2). 化学と生物/48 巻 (2010) 1 号/2010 年 48 巻 1 号 p. 4-6

3). 4). Skin Surgery:17(2);P.80-86,2008

5). 生体医工学 46(2):169-176 解説特集:睡眠の生体計測技術

6). 禁煙科学 9巻(2015)-06 P.1~P.14

7). 川崎医療福祉学会誌 Vol. 22  No. 2 2013 200 − 207

8). 植木理恵:都民公開 講座アンチエイジング 順天堂醫事雑誌.2013:59 :P. 327〜330

9). 日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97

10). 日本薬理学雑誌/133 巻 (2009) 2 号 / p. 78-81

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