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                     2021.09.02

傷んだ髪はしっかり修復!夏の頭皮ダメージ回復大作戦!! 前編 ダメージの状態を把握して適切なケアを!

監修・対談者紹介
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤 明男 医師
佐藤明男
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。  
監修者一覧

薄毛治療のオピニオンリーダー佐藤明男先生に薄毛にまつわる知識をお聞きする当連載。今回は、夏から秋へ移り変わるこの時期に、夏の頭皮ダメージをどう回復させるかを前後編に分けて解説していきます。前編である本記事では、傷んでいる状態の把握と傷んだ状態別のケア法を紹介していきます。

頭皮や髪が傷んでいるってどんな状態?

 

Answer編集部:前回までの連載で、髪や頭皮が受ける夏のダメージがとても過酷だということがよく分かりました。秋の訪れが近づいていますが、夏に痛んでしまった髪を回復させることはできるのでしょうか。

佐藤:第2回でもお伝えしたように、秋に紫外線が弱まってくると一部の毛が生え変わろうとして、冬に向かって休止期毛が増えるんです。夏のダメージを回復しようと、髪も自らメンテナンスを開始するわけです。

Answer編集部:毛髪の仕組みの中に、自然と回復させようという機能が備わっているんですね。

佐藤:毎年、秋になると抜け毛が増えて不安になる人も多いと思いますが、この髪の生え変わりの仕組みのためもあるのです。

Answer編集部:では、秋口の抜け毛の増加は季節的なもので、それほど心配する必要はないということですか?

佐藤:太い毛が抜けている場合は、正常な生え変わりなので、この季節の脱け毛をあまり気にする必要はありません。一方、細くて短い毛が抜ける場合は、ヘアサイクル(毛周期)が短くなっているために起こる脱け毛ですから、AGA(男性型脱毛症)の可能性も高いです。

Answer編集部:秋の抜け毛が気になる人は、抜けた毛をチェックする必要があるとい

うことですね。それにしても、髪が自ら生え変わろうとするほど、やはり夏のダメージは大きいということですね。

佐藤:そうです。そうした髪本来の回復力をサポートしてあげるためにも、秋に向かうこの時期にしっかりアフターケアしてあげるのはよいことだと思います。

Answer編集部:具体的にはどのようなケアが効果的なのでしょうか。

佐藤:ケア方法を紹介する前に、まずは夏に受けたダメージで髪や頭皮がどのような状態になっているのかを解説していきましょう。

Answer編集部:傷んだ髪や頭皮の現状を把握するのは大切なことですね。先生、よろしくお願いします。

夏のダメージで髪や頭皮はこうなっている!

佐藤:夏に髪や頭皮にもっともダメージを与えるのは紫外線です。強い紫外線を浴び続ければ、頭皮の炎症を招いたり、髪の表面を覆うキューティクルが損傷したり、髪と頭皮の環境は悪化します。どのような状態なのかをここで詳しく解説します。

【頭皮のダメージ】過度の日焼けでやけど状態と同じ

佐藤:第2回でもお話しましたが、過度の日焼けはやけど状態と同じです。頭は夏の強烈な日差しを垂直に浴びる部位ですから、髪に覆われていない分け目やつむじ、髪の薄い箇所に強い日差しを浴び続ければ、やけど状態になって頭皮が炎症を起こすこともあります。

頭皮が赤くなってヒリヒリして痛い、皮がめくれてフケのように剥がれる、などの症状が出ていたら、すでに炎症が起きている状態です。

さらに、ひどいやけど状態の場合には、頭皮表面のダメージだけでなく、頭皮の中にある髪をつくる幹細胞まで傷ついていることもあります。こうなると抜け毛などの深刻な頭皮トラブルにつながります。

症状が気になる人は、自己診断せずに早めに皮膚科などの専門医に相談するとよいでしょう。

そこまで過度な日焼けでない場合でも、紫外線によるダメージで頭皮のバリア機能は低下しています。症状を悪化させないためには、早めに適切なアフターケアすることが大切です。

※画像はイメージです

(出典(1)「もう悩まない!元気な髪 復活計画 女子のための教育レッスン」(浜中聡子監修/辰巳出版) P38

(出典(2)「もう悩まない!元気な髪 復活計画 女子のための教育レッスン」(浜中聡子監修/辰巳出版) P20

【髪のダメージ】紫外線でキューティクルが損傷

佐藤:毛髪も頭皮と同様に日焼けしています。

健康な髪の場合、髪の毛を構成しているタンパク質はアミノ酸の「シスチン結合」によって結びついて、しなやかさや強度を保っています。しかし、紫外線を浴びるとこのシスチン結合が切断されてしまいます。そうすると、小さな摩擦でもキューティクルが剥がれるようになってしまいます。

キューティクルとは、髪の一番外側を覆っているタンパク質の角質層です。健康な髪はうろこ状にきれいに並び、鎧のように髪の内部を保護しています。このキューティクルが剥がれてしまうと、枝毛や切れ毛になります。また、髪内部の水分や栄養分が流れ出るため、乾燥やパサつきを招きます。

さらに、紫外線は髪のメラニン色素を壊すため、髪の色が明るく退色してしまうのです。

※画像はイメージです

夏のダメージ回復はやさしいヘアケアが基本!

Answer編集部:夏の紫外線で、髪も頭皮も思っている以上に痛んでいるんですね。

佐藤:そうです。気づきにくいだけで顔や腕などと同じように、髪も頭皮も夏のダメージを受けています。気づかないからアフターケアを怠りやすく、ダメージをそのまま放置しがちです。

Answer編集部:痛んだ状態を回復させたい人は、どうしたらいいのでしょうか。

佐藤:髪も頭皮も、とてもデリケートな状態になっているので刺激を避けてやさしくケアすることが基本になります。

Answer編集部:炎症や損傷がある状態なので、刺激などの負担をかけると悪化させてしまうということですね。

佐藤:それと、一度キューティクルが剥がれて痛んでしまった毛髪は、いくらケアしても修復できせん。すでに痛んでしまった場合は、次に生えてくる髪が元気になるようにケアしていくとよいでしょう。

Answer編集部:健康な髪と頭皮を取り戻すために、ダメージ回復の方法を教えていただきましょう!

痛んだ髪と頭皮に刺激は禁物!

佐藤:紫外線の影響を受けた髪と頭皮は、とてもデリケートな状態になっています。痛んだ状態に刺激を与えると、頭皮環境が悪化して抜け毛につながることもあります。刺激や摩擦などをできるだけ避け、やさしくケアすることが鉄則になります。

まずは頭皮のクールダウン&保湿が鉄則

佐藤:紫外線で頭皮が日焼けしてしまった場合は、できるだけ早めに冷やして頭皮の炎症を取ってあげることです。

まず、冷水に浸したタオルを頭皮の炎症部分に乗せます。タオルが温まってきたら、再び冷水で冷やして頭皮に乗せます。頭皮の熱っぽさが落ち着くまで、繰り返し冷やしましょう。

保冷剤を直接当ててしまったり、シャワーの冷水を直接かけ続けたりするのはNG。デリケートになっている肌には刺激が強すぎるため、炎症が悪化する恐れがあります。

冷やしても頭皮の熱っぽさや痛みが続く場合には、早めに皮膚科などの専門医を受診することです。

冷やしたあとは、頭皮用の保湿ローションで潤いを与えてもよいでしょう。日焼けで乾燥した頭皮はバリア機能が低下しているので、ヒアルロン酸やコラーゲン、セラミドや植物エキスなどの保湿成分のあるケアローションは頭皮を守ってくれる役割をします。

刺激の強い成分が入っていないかどうかを十分に注意して、低刺激性のものを選びましょう。

刺激を避けたやさしいヘアケア術

佐藤:洗髪する時は、刺激の少ないシャンプーを使って髪と頭皮を傷つけないように洗うことが大切です。頭皮は指の腹を使ってそっと洗うのがコツです。すすぐ時は、シャワーの温度が熱いのはNG!勢いが弱いぬるま湯で、頭皮にシャンプーの成分が残らないようにやさしくすすぎます。

炎症が強い場合は無理にシャンプーを使わず、ぬるま湯だけでそっと髪と頭皮の汚れを落とす程度でも大丈夫です。

シャンプーのあとに、髪が濡れたままでいるのはNGです。菌が繁殖しやすく、傷んだ頭皮によくありません。また、濡れた髪はキューティクルが開いていて痛みやすい状態です。すでに紫外線でダメージを受けているので、それ以上痛まないように早めに乾かしてあげましょう。

髪の毛を乾かす時は、肌にやさしい綿100%などのタオルを使うとよいでしょう。キューティクルが剥がれやすい状態なので、タオルでポンポンとやさしく抑えるように髪の水分を取るのがコツです。この時に、頭皮をゴシゴシとこすらないように注意しましょう。

タオルドライのあとはドライヤーで乾かしますが、ドライヤーの熱風が近すぎないように髪の毛から20㎝以上離して一気に乾かします。あらかた乾いたら、熱風から冷風に切り替えると髪や頭皮へのダメージを抑えられます。

ブラッシングする時も、炎症がある頭皮を傷つけないように、髪の毛だけをやさしくとかすことが大切です。

 

Produced

ArtNature

アートネイチャー

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