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「海水は髪に悪い影響があり、薄毛の原因になる」と聞いたことはありませんか。マリンスポーツを趣味にしている人なら、とくに気になる話題かもしれません。
海水自体が薄毛の原因になるわけではありませんが、海水の性質や含まれる物質には、髪にダメージを与えるものもあります。正しいケアをしなければ、頭皮環境が悪化する要因にもなりかねません。
この記事では海水が毛髪に与える影響について解説し、あわせて知っておきたい紫外線対策についてもご紹介します。
目次
海水が髪や頭皮に影響を与える要因
海水の成分や性質の中には、髪や頭皮にダメージを与えるものがあります。
まずはいくつかの要素と、具体的にどのような影響を及ぼすかを見てみましょう。
海水の性質(アルカリ性)
(出典:(1)海洋酸性化の実態把握と微生物構造・機能への影響評価に関する研究) (出典:(2)羊毛ケラチンの分解とその利用)海水の性質はアルカリ性であり、タンパク質を溶かす作用があります。
髪の毛の約90%を構成しているのは「ケラチン」というタンパク質のため、海水のアルカリ性に対して弱いといえるのです。
ケラチンが失われると髪の保水性が乏しくなり、潤いのないパサパサした髪になってしまいます。ケラチン不足は、髪の毛のハリやコシがなくなる原因の一つです。
海水に含まれる汚れや雑菌
(出典:(3)漁港で利用される海水の細菌学的調査)海水にはプランクトンや雑菌などが多く潜んでいるため、しっかりと洗浄やケアをしないと頭髪で繁殖してしまいます。頭皮の皮脂は菌類のエサとなるため、ますます細菌が増えかねません。
海辺では海水だけでなく紫外線にも注意!
海辺に行ったとき、海水の他にもう一つ気をつけたいのが紫外線です。
頭皮の日焼けはダメージとなり、健康的なヘアサイクルを妨げる原因となります。とくに、砂場は紫外線を強く反射するため、日焼けを招きやすい環境です。
紫外線は髪や頭皮にどのような影響があるか、あわせて知っておきましょう。
髪のキューティクルの破壊
(出典:(4)毛髪表面の構造変化と 熱ダメージ解析)キューティクルとは、髪表面にあるケラチン質でできた組織のことで、毛髪の摩擦を減らしてまとまりをよくする働きがあり、髪のツヤや手触りに関わります。
しかし、キューティクルは紫外線で失われやすく、浴び続けることで傷んで剥がれていくものです。キューティクルが破壊されると、健康的な髪質は損なわれてしまいます。
毛根へのダメージ
(出典:(5)外的因子が毛髪構成要素に及ぼす影響)(出典:(6)紫外線暴露による皮膚構成脂質の変化とその細胞毒性との関係)
強い紫外線は、毛根を支えるコラーゲン層の老化を引き起こします。また、頭皮の皮脂を酸化させる作用があり、毛根に対するダメージ要因の一つです。
髪の毛が生えてくる毛根そのものや、毛根を支えるコラーゲン層が衰えた状態は、健康的な毛髪の成長を妨げます。
髪や頭皮の乾燥
(出典:(7)角層および表皮細胞における活性酸素とカルボニル化タンパク質の生成がもたらす酸化ストレスとヤブツバキ葉エキスによる抑制)紫外線を浴びた皮膚は、角層や表皮などの組織内に、カルボニル化したタンパク質が多く存在することが明らかになっています。
カルボニル化したタンパク質は皮膚の水分量とも関連があり、紫外線は乾燥の原因にもなるのです。
海水から髪を守る効果的なケア
それでは、海水によるダメージを軽減させる方法とは、どのようなものでしょうか。効果的なケアを実践すれば、海水による影響も最小限にできます。
以下では、海水を浴びた髪のケア方法と、あわせて実践したい紫外線対策について解説するので、参考にしてみてください。
海水を真水で洗い流す
海水で濡れた髪は、放置しないことが一番です。早めに真水で洗い流すことで、海水に含まれる汚れを落とす効果が期待できます。
海から上がったら、まずはシャワーで海水をしっかり流しましょう。海水浴場では、近くにシャワールームを設置しているところもあります。
シャンプーを使って洗う
海水の汚れをしっかり落とすためには、水洗いだけでは不十分です。シャンプーを使って、丁寧に髪の毛を洗いましょう。
海水浴場のシャワー室にはシャンプーがない場合もあります。トラベルサイズのシャンプーを携帯していけば、すぐに髪のケアをしたいときにも安心です。
紫外線の対策もしておく
海辺は紫外線の影響が強いため、日頃よりも入念な紫外線対策が重要です。
海水によるダメージケアとあわせておこないましょう。
UVケアアイテムを活用する
紫外線の対策に役立つグッズは、積極的に取り入れてみてください。
サーフィンをするなら、サーフハットやサーフキャップといったアイテムがあります。顔の日焼け防止にも役立つため、一石二鳥です。
髪や頭皮にも日焼け止めを使えば、紫外線ダメージの対策にもつながります。UVケア効果のあるヘアケア用品もおすすめです。
髪や頭皮の保湿ケアをする
紫外線による乾燥を防ぐ上では、コンディショナーやトリートメントを使った保湿ケアも効果が期待できます。
髪を洗ったあとはドライヤーで乾かし、自然乾燥はしないようにしましょう。頭を濡れたまま放置すると、頭皮の環境が悪化してしまいます。
食べ物で体の内側からケアする
(出典:(8)最新研究で明らかになった正しいタンパク質の摂り方)(出典:(9)リコピンを中心としたトマトの健康機能)
紫外線で失われた成分を補ったり、紫外線のダメージを早く回復させたりする栄養素も重要です。
髪の主成分「ケラチン」のもとになるタンパク質摂取のために、肉類や魚類などを食べるように心がけてください。
日焼けからの回復を早めるには、抗酸化作用のある食品も適しています。ビタミンCを含む果物類や、リコピンを含むトマトなどを食べましょう。
必要に応じて、サプリメントを取り入れるのも一つの方法です。
海水の影響を知って効果的な薄毛ケアをしよう
海水自体は薄毛の原因になりませんが、海水のアルカリ性質や含まれる塩分は、髪の主成分を溶かしたり、頭皮の環境を悪化させたりすることがあります。
頭皮が傷んでヘアサイクルが乱れると、抜け毛や薄毛を招く場合があるかもしれません。しかし、汚れをきちんと洗い流せば髪への負担は軽減できます。
海に行くときは海水のダメージを防ぐとともに、紫外線の対策もおこない、健やかな髪と頭皮のキープに取り組んでみてください。