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更新日:2023.02.28

男性ホルモンと薄毛は関係しているの?AGAのメカニズムから徹底解説!

監修者紹介
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤 明男 医師
佐藤明男
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。  
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「薄毛の原因は男性ホルモン」という話を聞いたことがあるかと思います。

しかし実際に男性ホルモンがどのように薄毛に影響してくるのか、よく知らないという方も少なくないでしょう。

本記事では薄毛と男性ホルモンの関係性や、AGAの発症メカニズム、考えられる対策方法などについて解説します

男性ホルモンと薄毛の関係性をきちんと理解し、本当に効果的な対策方法を知っておきましょう。

 

男性ホルモンの役割

男らしい筋肉

男性ホルモンは男らしい体つきを作るとともに、男性の生殖機能を発達させるために必要なホルモンの一つです

具体的には以下のような役割を果たします。

男性器の成長を促す
声変わり
ヒゲや体毛を生やす
筋肉を強くする
性欲を促進する

男性ホルモンは第二次性徴期にもっとも盛んに分泌され、大人の男性としての体を作ります。

生殖機能の維持にも関わっているため、男性ホルモンの分泌が衰えると、性欲の減退や勃起不全などの問題を引き起こします。

薄毛と関係する男性ホルモン

頭がこんがらがる人

テストステロン

(出典:(1)男性型脱毛症のフィナステリド治療効果とアンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性)
テストステロンは男性ホルモンの代表格です。睾丸や副腎で作られ、筋肉質でがっしりとした男らしい体格を形成するのに役立ちます。

第二次性徴期になると急激に分泌が増え、その後は20代をピークに少しずつ分泌量が減っていきます。減少の仕方は個人差が大きいです。

テストステロン自体に脱毛作用はありませんが、体内で「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素と結合すると、「DHT (ジヒドロテストステロン) 」というより強力な男性ホルモンに変化します

このDHTこそが、男性型脱毛症「AGA」を引き起こす大きな原因になります。

ジヒドロテストステロン

(出典:(2)男性型脱毛症のフィナステリド治療効果とアンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性)
ジヒドロテストステロン (DHT) は、テストステロンと「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素が結合して作られる男性ホルモンです。

胎児のうちに男性器の成長を促したり、第二次性徴期に男性的な体つきを形成したりするなど、大切な役割を果たします。

しかしその一方で、毛根に作用して脱毛を引き起こす働きがあり、AGA (男性型脱毛症) の原因物質だと言われています

薄毛を予防し改善するためには、体内で作られるジヒドロテストステロン (DHT) の産生量を減らし、脱毛作用の影響を食い止めることが必要です。

またDHTには皮脂を増加させる働きもあり、ニキビができやすくなったり、べたつきの原因になったりもします。

AGAのメカニズム

メカニズム

ヘアサイクルとは

(出典:(3)毛髪の科学と診断 第4版)
髪は毛根から生えてきて成長し、そのうち成長が止まって自然と抜け落ち、また新しい毛が生えてきます。

このような周期が「ヘアサイクル」です。ヘアサイクルは以下のような段階を経て、最終的に脱毛へと至ります。

成長期 3~5年 毛乳頭が活発に働き、髪の毛が成長する
退行期 2~3週間 毛乳頭の働きが弱まり、毛球部が萎縮する。
休止期 数ヶ月 毛乳頭の活動が休止する

AGAではヘアサイクルが乱れ、髪の毛が正常に発達しなくなることで脱毛が起こります

5αリダクターゼという酵素によってテストステロンがDHTに変換される

(出典:(4)男性型脱毛症のフィナステリド治療効果とアンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性)
男性ホルモンのテストステロンが、体内で「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素によって代謝されると、DHT (ジヒドロテストステロン) が生み出されます

DHTも男性ホルモンの一種ですが、”活性型”であり、テストステロンよりも強い作用を及ぼします。

このDHTが体内で産生されることがAGA発症の第一段階です。DHTはその働きから「脱毛ホルモン」とも呼ばれます。

男性ホルモンレセプターがDHTをキャッチする

(出典:(5)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)
体内で生み出されたDHTは、毛乳頭にあるレセプター (受容体) によってキャッチされ、その働きが細胞へと伝えられます

レセプターがDHTをキャッチすると「TGF-β」と呼ばれる因子が産出されます。

脱毛因子TGF-βが毛乳頭や毛母細胞に抜け毛の命令を出す

(出典:(6)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)
TGF-βは別名「脱毛因子」とも呼ばれ、毛乳頭や毛母細胞の働きを抑制し、脱毛を促す作用があります

TGF-βが作用すると髪の毛の成長が止まって退行し、十分に育ちきらないうちに髪が抜け落ちてしまうのです。

ヘアサイクルが乱れて薄毛が進行する

(出典:(7)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)
TGF-βは単に抜け毛を引き起こすだけではありません。

TGF-βによって毛乳頭や毛母細胞の働きが抑えられていると、ヘアサイクルが徐々に乱れてきて、髪全体が正常に発育できなくなってきます

健康な髪の毛であれば成長期は3~5年ほどです。しかしAGAを発症すると数ヶ月~1年ほどで髪の成長がストップし、抜け落ちてしまいます。

成長期の髪が少なくなることで髪全体がボリュームダウンするとともに、抜け毛が増えてきて薄毛が進行していきます。

AGAは側頭部が薄くなりにくい

(出典:(8)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
AGAによる薄毛の場合、生え際や頭頂部が薄くなりやすく、側頭部は薄毛を発症しにくいのが特徴です。

これはDHTをキャッチするレセプターが生え際や頭頂部に分布しており、側頭部にはほとんど存在していないためです。

AGAと遺伝の関係

(出典:(9)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
AGAの発症のしやすさには、DHTを作り出す5αリダクターゼの活性度やレセプターの感受性などが大きく関係してくると考えられています

これらは個人差が大きく、遺伝的な要因が大きく関与してくるため、生まれつきAGAを発症しやすい人とそうでない人が存在します。

薄毛の対策方法

喜ぶ男性

5αリダクターゼの活性を阻害する

(出典:(10)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)
AGAの効果的な対策法として、5αリダクターゼの活性を阻害する方法があります。

AGAでは体内にある5αリダクターゼの働きによって、テストステロンが脱毛ホルモンであるDHTに変化してしまいます。

そのため5αリダクターゼの働きを抑えれば、DHTが作られるのを阻止でき、薄毛の進行を食い止められるのです

「フィナステリド」「デュタステリド」などの薬を服用して、5αリダクターゼを抑制する方法が一般的です。

毛乳頭細胞の働きを活性化

(出典:(11)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)
AGAでは毛乳頭細胞の働きを活性化してヘアサイクルを正常化する対策法も取られます。

AGAの原因は毛乳頭の働きが抑制されてしまい、ヘアサイクルが乱れることです。毛乳頭は髪の毛を作る工場のようなものです。

毛乳頭の働きを活性化させるのには一般に「ミノキシジル」が使われます。

ミノキシジルは毛乳頭に作用して細胞分裂を促し、丈夫で健康な髪の毛が作られるのをサポートします

5αリダクターゼの抑制が守りのアプローチだとしたら、毛乳頭の活性化は積極的に発毛を促す攻めのアプローチと言えるでしょう。

生活習慣の見直し

(出典:(12)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
AGA対策では生活習慣の見直しも大切です。

具体的には以下の点に気をつけましょう。

十分な睡眠時間
バランスの良い食生活
ストレスの解消
適度な運動習慣

髪の毛は「健康を示すバロメータ」と言われます。髪は生命活動に関わるような器官ではないため、心身が不調になったときに最初に影響が出る部位なのです。

睡眠時間や栄養素が不足していると、髪の毛が健康に育たなくなり、AGAによる薄毛を進行させる原因になります。

また過度のストレスや運動不足は、全身の血流を悪化させます

髪に必要な栄養素を運んでいるのは血液です。頭皮の血流が悪くなると栄養素が毛根まで行き渡らなくなり、薄毛を悪化させる一因になります。

生活習慣を整えることで、薄毛の進行を遅らせる効果が期待できます。

ヘアケアを行う

(出典:(13)「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響)
AGA対策にはヘアケアを積極的に行うことも大切です。

特におすすめしたいのが頭皮マッサージです。

手指でやさしくマッサージをすることで頭皮の血行が改善され、髪の毛の成長を手助けする効果が期待できます。

薄毛と男性ホルモンに関するFAQ

浮かぶはてな

男性ホルモンが増えると薄毛になるの?

(出典:(14)男性型脱毛症のフィナステリド治療効果とアンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性)
男性ホルモンが多いからといって、必ずしも薄毛になりやすいとは言えません

たしかにAGAのメカニズムには男性ホルモンが大きく関係しています。しかし男性ホルモンは誰の体にも存在し、男らしい体つきや生殖機能を維持するために必要なものです。

AGAの発症のしやすさにおいては、男性ホルモンそのものよりも、男性ホルモンをDHTに変化させる5αリダクターゼの活性度や、DHTに反応するレセプターの感受性がどれくらい高いのかのほうが重要です

男性ホルモンがそのまま薄毛に直結するわけではないため、男性ホルモンが多いかどうかを必要以上に気にする必要はありません。

薄毛と男性ホルモンに関するまとめ

薄毛と男性ホルモンの関係性やAGAの発症メカニズム、効果的な対策方法について解説しました。

男性ホルモン自体はけっして悪者ではありませんが、5αリダクターゼやレセプターの感受性などの条件が揃うと、AGAを発症させる要因になります

記事で紹介した通り、AGAによる薄毛にはいくつかの対策法が考えられます。男性ホルモンと薄毛の関係性をしっかり理解した上で、適切な対策法を実践していきましょう。

 

監修者紹介
佐藤 明男 医師
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤明男
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』
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