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「プロペシアは薄毛の改善に効果があるのか」「プロペシアにはどんな副作用があるのか」と不安に思っている人も多いのではないでしょうか。
プロペシアは、AGAの改善に効果があるとして国内外を問わず知られている治療薬のひとつです。
今回はプロペシアの効果や副作用、他の治療薬との違いなどを紹介します。プロペシアについて詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそもプロペシアとはどんな治療薬?
プロペシアとは、フィナステリドを主成分として作られたAGA治療薬です。
1992年にアメリカのメルク社で前立腺肥大症 (BPH) の治療薬として開発され、その副作用として多くの患者に発毛作用が確認されたのをきっかけに、1997年にアメリカでAGA治療薬として認められました。正式な商品名はプロペシア錠です。
約1年間の臨床試験を経て2005年に厚生労働省から認められ、MSD社からAGA治療薬として日本で初めて販売が開始されました。日本では13,000以上の医療機関で、世界では60カ国以上で使われています。
現在では、フィナステリド錠などプロペシアのジェネリック医薬品が各社から販売されているので、以前よりも安く購入できるようになりました。
プロペシアの服用で得られる効果
(出典:(1)男性における男性型脱毛症用薬 5α-還元酵素 II 型阻害薬フィナステリド (プロペシア® 錠 0.2 mg・1 mg) の薬理学的特性と臨床効果,(2)臨床発毛医学の現状と展望 2018)
プロペシアには、薄毛や抜け毛を引き起こすAGAの進行を遅らせる効果があります。プロペシアの主成分のフィナステリドには、AGAの原因に関与する酵素5αリダクターゼII型の働きを阻害する作用があるからです。
5αリダクターゼII型によって毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンがジヒドロテストステロン (DHT) に変換され、男性ホルモン受容体と結合します。
その男性ホルモン受容体によって毛母細胞の増殖が抑えられ、ヘアサイクルの成長期の期間が短くなることで、髪が成長しにくくなるのです。
つまりプロペシアを服用すると、5αリダクターゼII型の働きの阻害によってジヒドロテストステロンの増殖が抑えられるため、結果的にAGAの改善につながります。
プロペシア以外の治療薬との違い
ザガーロやミノキシジルなど、プロペシア以外の治療薬とプロペシアの違いを紹介します。
ザガーロとの違い
(出典:(3)薬剤の特徴と注意点)
プロペシアとザガーロを比べると、有効成分に違いがあります。プロペシアの有効成分はフィナステリド、ザガーロの有効成分はデュタステリドです。
プロペシアが5aリダクターゼII型だけの働きを阻害するのに対し、ザガーロは5aリダクターゼI型とII型の両方の働きを阻害します。そのため、フィナステリドより高い効果が期待できるといわれています。
ザガーロはイギリスのグラクソ・スミスクライン社が開発したAGA治療薬です。日本では2015年に認められ、2016年に発売が開始されました。
プロペシアと同様に、現在ではザガーロのジェネリック医薬品が各社から販売されています。日本で認められているジェネリック医薬品は、デュタステリド錠 (ザガーロジェネリック) だけです。
ミノキシジルとの違い
(出典:(4)ミノキシジルの発毛作用について)
プロペシアはAGAの進行を遅らせる効果がある治療薬の商品名で、ミノキシジルは発毛を促す働きがある成分の名前です。
ミノキシジルには毛包に直接作用して細胞の増殖やタンパク質の合成を促したり、毛組織の血流を促したりして、ヘアサイクルの成長期の期間を延長させる働きがあります。プロペシアとミノキシジルを併用することも可能です。
日本では頭皮に直接塗るミノキシジルの外用薬だけが育毛剤の医薬品として厚生労働省から認められており、内服薬 (ミノキシジルタブレット) は認可されていません。
ミノキシジルはもともと血管の拡張剤として開発され、高血圧の経口薬として使われていましたが、患者に多毛の症状が確認されたことをきっかけに、発毛剤の成分としても使われるようになりました。
プロペシアの服用で起こり得る副作用とは
臨床試験などで報告されているプロペシアの副作用を紹介します。
性機能障害
(出典:(5)男性における男性型脱毛症用薬5α-還元酵素II型阻害薬フィナステリド(プロペシア®錠0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果)
発症率は極めて低いものの、プロペシア (フィナステリド) の副作用には性機能障害があります。臨床試験において、性欲 (リビドー) 減退や勃起機能不全などの症状が報告されました。
頻度は不明ですが精液減少や精液の質低下、睾丸痛、乳房肥大などの副作用もあるといわれており、これはプロペシアが男性ホルモンのテストステロンに作用することに起因しているからと考えられています。
性機能障害の症状が現れた場合はすぐにプロペシアの使用を中止し、専門医に相談しましょう。
肝機能障害
(出典:(6)再審査報告書)
プロペシアの製造販売元であるメルク社の使用成績調査において、副作用として肝機能障害の発現が確認されました。しかしその確率はとても低いため、あくまで稀な例として心に留めておきましょう。
プロペシアをはじめ薬剤の代謝は肝臓で行われることが多いので、薬剤だけでなくサプリメントや健康食品などでも肝機能障害は起こりえます。
副作用として起こる肝機能障害には明確な自覚症状がないため、定期的に血液検査をして肝機能をチェックしましょう。
ポストフィナステリドシンドローム (PFS)
(出典:(7)プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg)
プロペシア (フィナステリド) の服用を中止した後も副作用が続いてしまうことがあります。これがポストフィナステリドシンドローム (PFS) です。プロペシア錠の添付文書に記載されています。
継続的な副作用が確認されているものの、具体的な原因や治療方法は明確になっていません。そのためメリットだけでなくデメリットも考慮した上で、プロペシアを服用するかどうかを判断しましょう。
プロペシアの使用方法
医師の指示の下で、成人男性は1日1回服用しましょう。プロペシア錠の種類には、0.2mg錠と1.0mg錠がありますが、基本は1.0mgを1日1回経口投与します。
体質や治療期間などによって効果の現れ方に個人差があるので、定期的に医師にチェックしてもらうことが大切です。効果が期待できるまで早くて3カ月、通常6カ月かかるといわれています。
効果を持続させAGAを改善するためには、継続的に服用しましょう。その理由は健康的な成人男性の場合、成長した髪が抜けて生え変わるまでのヘアサイクルが2〜6年といわれているからです。
飲み忘れを防ぐために、毎日同じ時間帯に服用しましょう。また他の薬との併用も可能です。6カ月以上続けても効果を得られない場合には服用を中止し、医師に相談しましょう。
プロペシアを使用する際の注意点
プロペシアを使用する際の注意すべき2つの点を紹介します。
未成年者は使用してはいけない
未成年者はプロペシアを使用してはいけません。臨床試験において、20歳未満での安全性と有効性が確立されていないため、AGAで悩んでいたとしても、未成年者の場合は使用を控えましょう。
服用を中止してから一定期間献血できない
プロペシアの服用を中止してから1カ月間は献血できません。輸血によって妊娠の可能性がある女性の体内にプロペシアが入り、胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
献血をしたい場合は、プロペシアの使用を中止してから最低でも1カ月間待ちましょう。
プロペシアを服用して薄毛を改善しよう
プロペシアは世界で最初にAGA治療薬として認められたため、国内外を問わず多くの男性から高い支持と信頼を得ています。
AGAで悩んでいる男性は、医師に相談して、プロペシアなどの治療薬を処方してもらうことができるので、相談してみるのも良いでしょう。