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体調不良と同時に抜け毛が急に増えた場合、病気の可能性があるため注意が必要です。もし病気が原因の場合は、早めに治療を受け病気を治しましょう。
この記事では、体調不良に伴い抜け毛が起こる病名一覧と、急に抜け毛が増えた場合の対処法について解説します。
目次
体調不良を伴う抜け毛で考えられる病気
体調不良と同時に抜け毛が急に増えた場合、考えられる病気は以下になります。
それぞれの病気の症状や原因を詳しく解説します。
中毒性脱毛症
(出典:(1)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
中毒性脱毛症とは、強い身体的・精神的ストレスを受けることで引き起こされる病気です。大きなストレスにより髪の成長が一時的に休止し、抜け毛が起きてしまいます。
急に抜け毛が気になるようになったら、過去3ヶ月以内に以下のことがなかったか、振り返ってみましょう。いずれかに当てはまる場合は、中毒性脱毛症の可能性があります。
中毒性脱毛症になると、一時的に髪がたくさん抜けてしまいます。しかしストレスが解消されれば脱毛は次第に治まり、髪もまた自然と生えてくることが多いです。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は鉄が不足することで、倦怠感や肩こり、動悸や息切れを引き起こす病気です。
また酸素を全身に運ぶヘモグロビンが不足するため、髪の成長に悪影響を及ぼし抜け毛が起こります。
鉄欠乏性貧血による抜け毛への対処法は、鉄を十分に摂ることです。病院を受診し、検査のうえで鉄剤を処方してもらいましょう。
市販のサプリを飲んだほうが早いと思うかもしれませんが、他の病気の可能性もあるため、自己判断での対処はおすすめしません。
円形脱毛症
(出典:(2)日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版)
円形脱毛症はその名の通り、円形の脱毛斑が1〜複数個できる病気です。詳しい原因はわかっていませんが、免疫細胞が自分の組織を攻撃する、自己免疫が関与しているといわれています。
円形脱毛症には3種類あり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
蛇行型 | 側頭部から後頭部の生え際の毛が帯状に抜ける |
前頭型 | 髪の毛がすべて抜ける |
汎発型 | 眉毛や体毛など、髪の毛以外も抜ける |
円形脱毛症は数ヶ月で自然に治ることが多いですが、治癒のスピードには個人差が大きいといわれています。なかなか改善しない場合や再発する場合もあるため、治りが遅い場合は適切な治療を受けましょう。
梅毒
梅毒は梅毒トレポネーマという病原体によって引き起こされる性感染症のことをいいます。感染原因は、梅毒に感染している人との粘膜接触を伴う性行為です。
また梅毒トレポネーマに汚染された傷口に触れることで、体内に侵入するケースもあります。
感染から約3週間で、感染部位にしこりや潰瘍ができるのが特徴です。しかし症状はいったん消え、4~10週間後に抜け毛・全身の皮疹・発熱などの症状が見られます。
梅毒は自然治癒することはありません。そればかりか長く放置すると、命の危機に関わる病気へと進行します。
できるだけ早く治療する必要があるので、初期症状が出た時点ですぐにクリニックを受診しましょう。
膠原病 (こうげんびょう)
膠原病は皮膚・内臓・血管などに、炎症や変性が起きる病気です。症状はさまざまありますが、脱毛が起こる場合もあります。
膠原病で脱毛が起きる理由は、倦怠感や微熱などの体調不良が続くことだと考えられています。体調不良によるストレスが重なり、脱毛が引き起こされるというわけです。
脱毛以外の主な症状は以下のとおりです。
膠原病の発症原因はわかっていません。倦怠感や微熱が1ヶ月以上続く場合は、一度病院を受診してみましょう。
薬の副作用による脱毛
薬の副作用によって、髪の毛が抜けてしまう場合もあります。副作用で抜け毛が起こる可能性がある薬は、以下のとおりです。
薬の副作用による抜け毛が心配な場合は、薬を処方された際に医師や薬剤師に相談してみましょう。
急に抜け毛が増えた場合の対処法
病気というほどの不調ではないけれども急に抜け毛が増えた場合は、以下の対処法を試してみましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
体調を整える
(出典:(3)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)
急に抜け毛が増えた場合は、まずはしっかりと体を休めて体調を整えましょう。体調を整えることで、抜け毛が改善される場合があります。
体調を整えることが大切な理由は、免疫力が低下すると外部刺激から頭皮を守る機能が低下してしまうからです。すると頭皮が荒れる・かぶれる・血行が滞るなどのトラブルが起き、ますます頭皮環境が悪化してしまいます。
頭皮環境の悪化は抜け毛を引き起こします。抜け毛が増えたと感じる場合は、体をしっかりと休めてみて、抜け毛が減るか試してみましょう。
バランスの良い食事を摂る
(出典:(4)MSD マニュアル プロフェッショナル版 ビタミン,(5)Villareal MJR 「Protein-calorie malnutrition diagnosis by hair tissue: A study in Filipino pre-school children.」,(6)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の 関係について」,(7)e-ヘルスネット 「アルコールの消化管への影響」,(8)日本人の食事摂取基準(2020年版))
抜け毛の改善にはバランスの良い食事を摂ることも大切です。しっかりと栄養を摂ることで、抜け毛が治まる場合があります。
髪を作るうえで欠かせないタンパク質に加え、ビタミン・ミネラルも意識して摂りましょう。
偏った食生活では栄養が十分に摂れないため、髪や頭皮に必要な栄養が行き渡りづらくなります。そればかりか自律神経のバランスも乱し、抜け毛を進行させるので食生活には十分気をつけましょう。
また過度のダイエットも抜け毛の原因となります。栄養不足に陥るだけでなくホルモンバランスも乱れてしまい、髪にとって悪影響でしかありません。
薄毛が気になりだした場合は、まずは栄養バランスの良い食事を摂り体調を整えましょう。
良質な睡眠を取る
(出典:(9)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)
抜け毛予防には、良質な睡眠を取ることも効果的です。睡眠時に分泌される成長ホルモンは、日中受けた頭皮のダメージを回復させ、髪の成長を助けてくれます。
睡眠不足が良くない理由は、毛母細胞の細胞分裂が低下しやすくなり、頭皮の血流が悪くなるからです。成長ホルモンの分泌も減ってしまうので、髪の成長が妨げられてしまいます。
急に抜け毛が増えた人は、しっかりと睡眠を取るようにしてみましょう。
ストレスを溜めない
(出典:(10)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜,(11)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」,(12)快眠のための睡眠判定と睡眠モニタシステム,(13)ストレスと疲労のバイオマーカー)
抜け毛を減らすためには、できるだけストレスを溜めないよう心がけることも大切です。大きなストレスだけでなく、日常的なストレスも抜け毛の原因となります。
ストレスで抜け毛が増えるのは、血行が悪くなり頭皮に十分な栄養が運ばれにくくなるからです。また睡眠不足もストレスの原因となる場合があるので、注意する必要があります。
適度な運動や没頭できる趣味を見つけるなど、自分なりの方法でストレスを発散させるようにしましょう。悩みを抱えている場合は一人で溜め込まず、信頼できる人に相談することも大切です。
紫外線を避ける
(出典:(14)毛髪の紫外線ダメージ—評価指標とダメージケア—)
抜け毛を予防するために、紫外線はできるだけ浴びないようにしましょう。紫外線は肌だけでなく、髪や頭皮にとっても大敵です。
外出時は帽子の着用や、髪に使える日焼け止めスプレーを使用しましょう。蒸れは髪や頭皮に良くないので、通気性の良い帽子を選ぶことも大切です。
紫外線は年中降り注いでいるので、外に出る際はしっかりと対策をしましょう。
パーマ・ヘアカラーを控える
(出典:(15)Thermo-Properties of Keratin Fiber,(16)頭髪化粧品と毛髪)
抜け毛が増えているときは、パーマやヘアカラーは極力控えましょう。過度のパーマやヘアカラーは、髪や頭皮にダメージを与えてしまいます。
また髪をいつも同じ位置で分けるのも、髪に物理的なストレスがかかるため良くありません。髪の分け目を定期的に変えるように意識してみましょう。
体調不良で抜け毛は増える!心身ともにケアを
体調不良に伴い抜け毛が増えた場合、まずは病気を疑いましょう。病気が原因で脱毛が起こっているのであれば、早めに治療を受ける必要があります。
病気の症状に当てはまらないのに抜け毛が増えた場合は、生活習慣を改善してみましょう。日々の無理が蓄積され、抜け毛が増えている可能性があります。
病気というほどではない不調の場合は、まずは心身ともにケアをすることが大切です。心と体をしっかりと休めることで、抜け毛が治まる場合もあります。
- 1).10).髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜
- 2).日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版
- 3).9).11).Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」
- 4).MSD マニュアル プロフェッショナル版 ビタミン
- 5).Villareal MJR 「Protein-calorie malnutrition diagnosis by hair tissue: A study in Filipino pre-school children.」
- 6).中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の 関係について」
- 7).e-ヘルスネット 「アルコールの消化管への影響」
- 8).日本人の食事摂取基準(2020年版)
- 12).快眠のための睡眠判定と睡眠モニタシステム
- 13).ストレスと疲労のバイオマーカー
- 14).毛髪の紫外線ダメージ—評価指標とダメージケア—
- 15).Thermo-Properties of Keratin Fiber
- 16).頭髪化粧品と毛髪