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富士額とM字型の薄毛は似たような見た目をしており、関係があるのではと疑問に思う人も多いでしょう。
自分は薄毛になっているのか心配に思うかもしれませんが、富士額と薄毛は異なる要因で起こるため、自分はどちらなのか見分ける必要があります。
本記事では富士額とM字型の薄毛特徴や見分け方を詳しく解説します。富士額の人に似合う髪型やM字型の薄毛対策も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
富士額とは?
富士額とは、前髪の生え際が富士山のような形をしていることを指します。
日本では昔から、富士額は美人の特徴とされていました。額を出して髪の毛を結う日本髪と和服の組み合わせには富士額が似合うとされ、江戸時代の浮世絵にも富士額の女性が多く登場しています。
もともとは女性の額を形容する言葉であり、和装が似合うなどの理由で美人の代名詞でもありましたが、現代では男女問わず使われています。
富士額はいわゆる「M字ハゲ」に近い形をしているため、富士額の男性の中には薄毛のように見えることを心配している方もいます。
薄毛の場合は次第に生え際が後退していきますが、富士額は生まれつきの形なのでそれ以上変化することはありません。
富士額とM字型の薄毛の違い
富士額とM字型の薄毛は形状が一見似ているように感じますが、それぞれ異なる特徴をもっています。ここでは富士額とM字型の薄毛についての特徴を解説していきます。
富士額の特徴
富士額は生え際部分が逆さ富士のような形をしていて、顔の形が緩やかなハート型に見えるのが特徴です。
富士額の特徴をもった人でも形状はさまざまで、山の部分が浅めの人もいれば深めの人もいます。
M字型薄毛の特徴
(出典:(1)男性型脱毛の発症メカニズムと治療戦略)
(出典:(2)男性型脱毛 ―その特性と未来像)
大人になってから額が広がっていき富士額のようになった場合は、M字型薄毛を引き起こしている可能性があります。
M字型の薄毛はAGAの典型的な症例です。AGAとは男性型脱毛症のことで、思春期以降に生え際や頭頂部の髪の毛が薄くなっていくのが特徴です。遺伝や男性ホルモンの影響などが主な原因とされています。
生え際の形は富士額と比べて角度が鋭く、上から見るとアルファベットのMの形に似ているのが特徴です。

富士額とM字型の薄毛を見分けるには?
富士額とM字型の薄毛は見た目の特徴が似ているため、見分けるためにはいくつかポイントがあります。ここでは富士額とM字型の薄毛を見分ける方法を4つ紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
毛髪の質を確認する
(出典:(3)男性型脱毛 ―その特性と未来像)自分は富士額なのかM字型薄毛なのかを確認したい場合、まずは生え際にある毛髪の質を鏡でチェックしてみましょう。生え際の毛髪がうぶ毛のように細くて弱々しい場合、M字型薄毛の可能性があります。
AGAは脱毛症と名前がついていますが、実際には毛包が消失するのではなく、毛髪の成長期が短縮され細いうぶ毛のような軟毛になっていく症例です。M字型薄毛はAGAにおける症例のひとつなので、生え際の毛がうぶ毛のように細い場合はM字型薄毛の可能性が高いといえます。
対して富士額は生まれ持った生え際の形なので、生え際も他の部分と同じように健康的な毛が生え揃っています。
昔の写真を確認する
(出典:(4)男性型脱毛 ―その特性と未来像)M字型薄毛は進行性の薄毛で、思春期以降に発症し進行することで生え際の形が変わるのが特徴です。それに対して富士額は生来の特徴なので、昔の写真を見ることで富士額なのかM字型薄毛なのかを判別できます。
子どもの頃の写真と見比べたときに、昔から額の形が変わらない場合は富士額の可能性が高いといえます。
抜け毛の量を確認する
(出典:(5)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
(出典:(6)男性における男性型脱毛症用薬5α-還元酵素II型阻害薬フィナステリド(プロペシア®錠0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果)
通常のヘアサイクルは成長期が2〜6年あり、数日の移行期を経て3カ月程度の休止期を迎えて抜け落ちていきます。抜け落ちる量は一般的に1日50〜100本程度です。
AGAの場合はヘアサイクルが乱れ成長期が短くなってしまうため、通常より早く休止期を迎え抜けてしまいます。
シャンプーやブラッシングしていて抜け毛が多いと感じる場合は、M字型薄毛の可能性が高いといえます。
生え際の角度を確認する
(出典:(7)男性型脱毛 ―その特性と未来像)
M字型薄毛は左右の生え際から薄毛が進行していくため、だんだんと剃り込みのような鋭い角度になっていきます。
対して富士額は生まれつきの形なので進行することはありません。したがって生え際の角度が緩やかな場合は富士額の可能性が高いといえます。
富士額に似合う髪型 ~男性編~
富士額の男性に似合う髪型には、前髪で生え際を隠すタイプと、あえて生え際を見せて富士額を活かすタイプがあります。
ここではおすすめの髪型を3種類紹介するので、自分に合う髪型を見つけるための参考にしてみてください。
マッシュヘア
マッシュヘアとはマッシュルームヘアのことで、全体のシルエットが丸いのが特徴です。前髪も眉が隠れるくらい重めに作るため、富士額を見せたくない場合も自然に隠せます。
ストレートで全体を重めにした韓国マッシュ、レイヤーカットやパーマで全体をふんわり仕上げたクラウドマッシュ、襟足やサイドを刈り上げた刈り上げマッシュなど、さまざまなアレンジが楽しめます。
斜めバング
斜めバングとは前髪をサイドへ流すヘアスタイルを指します。前髪を分けるヘアスタイルの中でもセンターパートは富士額が目立ちやすいですが、斜めバングの場合は富士額の部分がほどよく隠れて目立ちにくくなります。
額が少し見えることで全体の印象が重くならず汎用性も高いため、短髪にも長髪にも合わせやすい前髪です。
アップバング
アップバングとは前髪を立ち上げて額を出すヘアスタイルです。ショートヘアや坊主のような全体が短いヘアスタイルで額を出すと富士額が強調されますが、前髪を上げて額を出すことで富士額が自然に見えます。
トップにボリュームをもたせて襟足やサイドを短くするとメリハリがつき、より富士額が自然に活かせます。
富士額に似合う髪型 ~女性編~
富士額の女性に似合う髪型には、前髪を作りパーマやカラーリングと合わせて富士額を目立たせなくするタイプと、前髪を作らず富士額の美しさを活かすタイプがあります。
ここではおすすめの髪型を3種類紹介します。
重めバング
重めバングとは前髪を深くとり、眉毛が隠れる長さでカットするヘアスタイルです。前髪で額が完全に隠れるため、富士額を自然に隠せます。前髪を厚めにつくるため、前髪が真ん中から割れることも防げます。
かきあげバング
かきあげバングとは前髪を根元からふんわりと立ち上げて後ろやサイドに流したヘアスタイルです。分け目を真ん中ではなく左右どちらかにすることで、ふんわりと流れた前髪によって富士額が強調されにくくなります。
和風アップヘア
和風アップヘアとは前髪も一緒にまとめるアップヘアです。和服はもちろん洋服にも合わせられるヘアスタイルで、額を出すことで富士額の良さや美しさを活かせます。
M字型薄毛の対策方法
(出典:(8)ホソカワミクロンが提唱する内外育毛ケア理論)
(出典:(9)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)
(出典:(10)ビタミンAおよび動物蛋白質摂取量に影響される毛髪中シスチン含量)
(出典:(11)教育セミナー: 毛髪科学最前線—ヘアケアから再生医療まで— 育毛薬剤の開発と評価方法(これまでと今後))
(出典:(12)ビタミンC合成不全マウスを用いたビタミンC含有製剤塗布 による育毛と皮膚中17型コラーゲンへの影響)
(出典:(13)ファンクショナル・フードファクター・データベースと食品の安全性)
(出典:(14)Inonotus obliquus (Chaga) 由来の発毛・育毛活性成分に関する研究)
(出典:(15)食品成分データベース)
(出典:(16)北海道産大豆及び大豆加工食品中のイソフラボン含有量について)
M字型薄毛に効果的な対策のひとつとして、食生活の改善があります。さまざまな栄養素をバランスよく摂取するのが大切ですが、中でもたんぱく質・亜鉛・ビタミン類・イソフラボンは、薄毛対策のために積極的に摂りたい栄養素です。
それぞれの栄養素の効果や多く含まれる食品を紹介するので、毎日の食事で意識的に取り入れてみてください。
たんぱく質は毛髪の健康には欠かせない栄養素です。毛髪は80〜90%がケラチンと呼ばれるたんぱく質で構成されており、ケラチンの合成には亜鉛が必要なため、亜鉛も積極的に取り入れることが大切です。
多く含まれる食品 | |
たんぱく質 | 肉類、魚介類、大豆製品、卵、乳製品など |
亜鉛 | 牡蠣、豚レバー、いわし、牛肉など |
ビタミン類はさまざまな種類がありますが、中でもビタミンA・ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンEは健康な毛髪をつくるために大切な栄養素です。
多く含まれる食品 | |
ビタミンA | 豚レバー、鶏レバー、うなぎ、人参など |
ビタミンB群 | レバー、にんにく、海苔など |
ビタミンC | 赤ピーマン、黄ピーマン、アセロラ、ブロッコリーなど |
ビタミンE | アーモンド、大豆、ドライトマトなど |
イソフラボンにはヘアサイクルを乱す5αリダクターゼの働きを抑制する効果があります。イソフラボンが多く含まれる大豆製品にはたんぱく質やビタミンなども多く含まれており、薄毛対策に効果的な栄養素です。
多く含まれる食品 | |
イソフラボン | 納豆、味噌、豆腐、きなこ、豆乳など |
富士額とM字型薄毛を見分けて正しく対策しよう
富士額は生まれつきのものでM字型薄毛は進行性のものなので、自分はどちらなのかを見分けることが大切です。
M字型薄毛には食生活の改善がとくに効果的なため、たんぱく質・亜鉛・ビタミン類・イソフラボンを意識的に取り入れ、バランスのいい食事を心がけましょう。
また富士額やM字型薄毛は髪型によって隠すことも活かすこともできるため、自分に合った髪型を選んでみてください。



- 1).炎症・再生 24巻 (2004) 2号 p.118-120
- 2).3).4).7).順天堂医学 37巻 (1992) 4号 p.572-586
- 5).順天堂醫事雑誌 59巻 (2013) 4号 P.327-330
- 6).日本薬理学雑誌 127巻 (2006) 6号 p.495-502
- 8).粉砕 61巻 (2018) 書誌 p.84-87
- 9).国際抗老化再生医療学会雑誌 1巻 (2018) p.40–42
- 10).栄養と食糧 15巻 (1963) 6号 p.469-463
- 11).日本香粧品学会誌 42巻 (2018) 2号 p.98–103
- 12).北海道薬科大学 薬理学分野,株式会社ビタブリッドジャパン
- 13).日本補完代替医療学会誌 2巻 (2005) 2号 p.101-111
- 14).徳島大学学位論文 (2019)
- 15).文部科学省
- 16).北海道立衛生研究所報 (2002) 52号 p29-36