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「髪がパサパサしてまとまらない」「髪がパサついて野暮ったく見える」
こんな悩みを抱えていませんか?髪がパサついてしまうと思うようなヘアセットができず、おしゃれも楽しみにくくなります。しかし髪のパサつきは原因を正しく知り、対処していくことで改善が可能です。
この記事では髪がパサパサしてしまう理由や改善方法やパサつかないための予防策を紹介しています。パサついた髪でも綺麗に見えるおすすめのヘアカラーも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
パサパサ髪になるってどういう状態?
(出典:(1)美しい髪の機構と毛髪の構造)髪の毛は最表面にあるうろこ状のキューティクル、本体部分のコルテクス、芯の部分であるメデュラの三層構造となっています。なめらかできれいな髪は、髪の外側を構成するキューティクルが整っている状態です。
キューティクルは髪の最も外側に存在するため、さまざまな外的要因で傷ついてしまうことがあります。
キューティクルが傷つくと、表面のなめらかさを失ったり浮き上がったりして光を乱反射させてしまい、パサパサとした髪になってしまうのです。
髪のキューティクルが失われる原因とは
髪のキューティクルは、さまざまな要因によって失われてしまいます。ここではキューティクルが失われる原因を下記の内容で解説します。
繰り返し行うカラーやブリーチ
(出典:(2)ブリーチ処理が及ぼすキューティクルの細胞膜複合体の構造および毛髪の水分収着挙動への影響) (出典:(3)毛髪のダメージ [hair damage])髪のキューティクルが失われる原因の1つは、繰り返し行うカラーやブリーチです。
ブリーチで使用される強アルカリ性の永久染剤やブリーチ剤は、キューティクルを破壊することが知られています。また繰り返しブリーチすることで、さらに内部のコルテクスにまで悪影響が及ぶケースもあります。
ダメージが内部まで進行すると、髪内部のタンパク質が流出し、髪の水分を保持する機能も低下してしまうのです。
水分が保持できない髪はパサパサと乾燥した手触りとなってしまいます。
コテやヘアアイロン・ドライヤーの熱
(出典:(4)毛髪の熱ダメージとその指標について) (出典:(5)熱による⽑髪内タンパク質のカルボニル化進⾏とその効果的な抑制成分を確認) (出典:(6)日焼けによる肌乾燥のメカニズムを解明-角層細胞タンパクのカルボニル化と活性酸素生成のループが関与-東京工科大学応用生物学部)コテやヘアアイロン・ドライヤーなどの熱も、キューティクルをはじめ、髪の構造にダメージを与える原因となります。
髪の毛は熱を加えると内部の水分が蒸散してしまいます。また熱によって毛髪内のタンパク質が酸化(カルボニル化)して、本来の保湿機能が低下してしまう可能性も高いです。
コテやヘアアイロン、ドライヤーなどは毎日行うものでもあるので、髪に日々ダメージを蓄積させてしまうことのないように使い方を工夫しましょう。
シャンプーのゴシゴシ洗い
(出典:(7)毛髪・頭皮にやさしい洗浄技術)シャンプーでのゴシゴシ洗いもキューティクルを傷める原因です。
髪の毛は水分を含むと膨らみ、キューティクルが開きます。キューティクルが開いた状態で摩擦を受けると、魚のうろこが取れるように髪からキューティクルが剥がれ落ちてしまうのです。
髪の毛を洗う際に汚れを落とそうとたくさんゴシゴシしてしまう人は、洗い方を見なおすことが必要でしょう。
またシャンプー剤に含まれる界面活性剤は、非常に強いきしみを発生させてしまい、余計にキューティクルにダメージを与えます。
界面活性剤によるきしみを最低限に抑えるためには、カチオン性会合体が含まれるシャンプーの利用がおすすめです。
カチオン性会合体は髪に吸着することで、うるおい感やなめらかさを与える効果があることが知られています。
シャンプーによるキューティクルへのダメージを減らすためには、シャンプーの種類にも気を使ってみましょう。
紫外線による日焼け
(出典:(8)毛髪の紫外線ダメージ─評価指標とダメージケア─)紫外線は肌だけでなく髪にとっても大敵です。とくに髪の外側であるキューティクルはメラニン顆粒 (メラノソーム) を持っていないため、紫外線の影響を強く受けてしまいます。
実際にキューティクルが紫外線を浴びると、キューティクル内に空洞が発生して剥離が始まります。この状態で適切な処置を行わずに放置してしまうと、さらにダメージが進行してなめらかさを失ったパサパサした手触りの髪へと変化してしまうのです。
手触りのよい髪を守るためには、紫外線から毛を守ることも大切です。
うるおい、サラサラ髪を目指す!パサパサ髪を改善させる方法
パサパサ髪の主な原因はブリーチや外的要因によるキューティクルの損傷です。そのためパサパサ髪を改善させるためには、キューティクルを修復させるためのケアやダメージを与えないような過ごし方が大切です。
ここではパサパサ髪を改善させる方法を以下の内容で解説します。
トリートメント剤で保湿
(出典:(9)鉄ポルフィリン錯体誘導体による毛髪表面修復機構に関する研究)パサパサ髪を改善させるためには、トリートメント剤によるケアが大切です。
トリートメント剤はシリコーンで髪の毛をおおって表面を滑らかにする効果があります。指どおりが良くなるので、摩擦によるキューティクルの剥離を防止可能です。
またトリートメント剤はヘマチンが含有されているものを使用するとよいでしょう。ヘマチンは髪に疑似的なキューティクルを作り出せる物質なため、傷んだ髪を修復する効果が期待できます。またトリートメント剤で髪を守ることでキューティクルが損傷しにくくなり、髪内部の水分の流出も防げます。
ただしトリートメント剤のつけすぎには注意が必要です。つけすぎによって髪が乾きにくくなるとドライヤーを当てる時間も長くなり、結果として髪を傷めてしまうことにもつながります。
ドライヤーの使い方を工夫
(出典:(10)毛髪のダメージ [hair damage])ドライヤーの使い方を工夫して、キューティクルになるべくダメージを与えないようにすることも大切です。
髪の毛はその多くがタンパク質によって構成されているため、熱に弱くドライヤーやコテによるダメージを受けやすいです。とくに80度以上の熱を加えられると毛髪内のタンパク質が壊れて、キューティクルが剥がれやすくなるとわれています。
そのためドライヤーを行う際はタオルでしっかりと水分をふき取った後、温度を下げたり髪から離したりして、熱ダメージが蓄積しないように工夫するとよいでしょう。
冷風機能も上手に使いながらブローすることで、髪の温度を上げずに乾かすこともできます。
無理なコーミングをしない
(出典:(11)キューティクルのバイメタル性コントロールによるヘアケア技術開発)無理なコーミングをしないこともパサパサ髪のケアには大切です。
キューティクルは摩擦に弱いため、パサパサ髪の状態でコーミングをしてしまうとさらにキューティクルを剝がしてしまう恐れがあります。とくに絡まった寝癖などを無理矢理とかす行為は、キューティクルを引きはがし、さらなるダメージを与えてしまう可能性が高いです。
毎朝の寝癖ケアは、トリートメント剤やスタイリング剤などで髪の絡まりをほどき、乾かした後にコーミングするのがよいでしょう。
グルタミン酸含有のヘアケア商品を使う
(出典:(12)キューティクルのバイメタル性コントロールによるヘアケア技術開発)キューティクルの剥離を抑制するためには、グルタミン酸の含まれたケア用品を利用するのもよいでしょう。
ある研究によると、ブリーチによってキューティクルが傷んでいる髪に対してグルタミン酸を使用したところ、コーミングによるキューティクル剥離を抑制する効果が判明しています。
また表面のすべり性も上がったことから、傷んだキューティクルに高い効果が期待できます。
カラーやブリーチを一度控える
(出典:(13)ブリーチ処理が及ぼすキューティクルの細胞膜複合体の構造および毛髪の水分収着挙動への影響) (出典:(14)毛髪のダメージ [hair damage])キューティクルを減少させる大きな要因のひとつに、カラーやブリーチがあげられます。キューティクルが損傷してパサパサ髪になっている場合は、一度カラーやブリーチを控えてみるのもよいでしょう。
カラーやブリーチを頻繁に繰り返してきた場合は、ただでさえ髪に大きなダメージを負っている状態です。ダメージを負った髪にブリーチを重ねてしまうと、よりキューティクルを傷つけパサパサ髪を進行させてしまうことになります。
新しい髪はキューティクルが損傷していない状態で生えてくるので、一度ブリーチを中止して様子を見ることも大切です。
パサパサ髪にならないための予防・対策方法
髪をパサパサにしないためには、事前の予防や対策が大切です。
髪のキューティクルが損傷した部分を切っても、予防法を知らないとまたすぐに髪がパサパサになってしまうかもしれません。
パサパサ髪を予防する方法は以下の通りです。
夏は髪にも日焼け対策
(出典:(15)毛髪の紫外線ダメージ─評価指標とダメージケア─)キューティクルは紫外線によってもダメージを受けるため、夏場など紫外線量が多い時期は髪にも日焼け対策が必要です。
帽子は最も手軽に行える髪の日焼け対策のひとつ。紫外線が頭部に直接当たることを防いで、髪へのダメージを軽減できます。
現在では髪用の日焼け止めスプレーなども市販されているので、使用することでより髪の毛を紫外線から保護することも期待できるでしょう。
シャンプーのやり方や種類に注意
(出典:(16)毛髪・頭皮にやさしい洗浄技術)髪の毛をシャンプーでゴシゴシ洗ってしまうと、摩擦によりキューティクルを傷つけパサパサ髪の原因となります。
シャンプーを行う際は事前に泡立ててから使うなどして、なるべく摩擦が起こらないように洗うことを心がけましょう。
ブリーチやカラーリングによってすでにダメージを負っている髪は、シャンプーの種類にも気を配ってみてください。とくにカチオン性会合体が安定した状態で入っているCVAシャンプーがおすすめです。
CVAシャンプーを使用することで、髪のダメージ部分にコンディショニング成分が付着して疑似的な保護膜を生成してくれます。
健康的な食事
(出典:(17)走査型電子顕微鏡観察により明らかになった毛髪の損傷形態と栄養状態との関連)キューティクルが正常な健康的な髪を維持するためには、健康的な食事が欠かせません。
とくに髪の毛はタンパク質から構成されているので、さまざまなアミノ酸を含んだタンパク質を食事を通してバランスよく摂るようにしましょう。キューティクルが正常な毛を生成するためには、以下のような食材を取り入れることが大切です。
キューティクルが正常な人の食生活には、乳製品の摂取量が多いともいわれています。食事の中に牛乳や卵などを積極的に取り入れてみましょう。
髪が綺麗に見えるおすすめのヘアカラー
パサパサになってしまった髪の毛も、ヘアカラーを工夫することで綺麗に見せることも可能です。
とくに赤みや黄みが強い色合いを選んでいる場合は、より傷んでいるように見えてしまうため注意しましょう。
ここでは傷んでいる髪でも綺麗に見えやすいおすすめのヘアカラーを紹介します。
ラベンダーアッシュ
傷みを感じさせないようにするには、赤や黄色とは遠い色を選ぶのがコツです。
ラベンダーアッシュは、紫色とアッシュの中間色でダメージを感じさせない綺麗な髪色を実現できます。
紫やアッシュなどの色合いは、黄色や赤とは反対の色なので、ダメージを感じにくい仕上がりになります。
ブルーブラック
ブルーブラックで艶のある大人な雰囲気を出すのもおすすめです。
ブルーやブラックなどの落ち着いた色合いも、髪のダメージを少なく見せられます。艶のある黒髪は日本人らしい落ち着いた魅力も引き出してくれます。
ラテカラー
黒系の髪色が似合わない人には、ラテカラーが最適でしょう。
ラテカラーは落ち着きのある色合いを保ちつつも、光を綺麗に反射してくれます。サラサラでツヤツヤな印象を与え、ほどよく明るい色合いも保ってくれます。
オリーブベージュ
オリーブベージュはナチュラルに赤みを抑えてくれる万能カラーです。会社の規則が厳しいなどで、色合いを落ち着かせたいときにもおすすめできます。
グリーン系の落ち着いた色合いなので、どんな服装にも合わせやすいでしょう。
ピンクベージュ
パサついた見た目を抑えつつも、髪色を楽しみたい人にはピンクベージュがおすすめです。ピンクベージュは一見明るい色合いながら、ブリーチを行う必要がないため、髪へのダメージを最小限にできます。
ダメージが気になるけど、髪色は楽しみたい人にピッタリなカラーといえるでしょう。
まとめ
髪のパサつきは日ごろのケア不足や無理なヘアカラーなどが原因で起こるものです。そのため、日々の適切なケアによって改善を図ることが大切です。トリートメント剤をつけたり、シャンプーのやり方を工夫したりと、ちょっとした工夫でも変わってくるのでぜひ試してみてください。
すでにダメージが進行している場合は、美容院に相談するのもおすすめ。カラーリングを工夫して、綺麗な髪を楽しみつつダメージを最小限に抑えましょう。
- 1).表面科学 27巻 (2006) 8号 p.480-484
- 2).13).SPring-8/SACLA利用研究成果集 9巻 (2021) 5号 p. 337-342
- 3).10).14).日本化粧品技術者会 Library
- 4).日本化粧品技術者会誌 46巻 (2019) 3号 p.219-223
- 5).株式会社ミルボン ニュースリリース (2017年7月21日)
- 6).東京工科大学応用生物学部 プレスリリース (2015年7月14日掲出)
- 7).16).日本化粧品技術者会誌 47巻 (2013) 1号 p.3-8
- 8).15).日本化粧品技術者会誌 48巻 (2014) 4号 p.271-277
- 9).新潟大学大学院自然科学研究科材料生産システム専攻 機能材料科学コース
- 11).12).日本化粧品技術者会誌 53巻 (2019) 4号 p.278-286
- 17).金城学院大学大学院人間生活学研究科論集14巻(2014)p.13-20