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更新日:2023.05.19

抜け毛の予防策まとめ!自分でできる対策を徹底解説

監修者紹介
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤 明男 医師
佐藤明男
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。  
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シャンプーやブラッシング後などに起こる抜け毛は生理現象です。しかし中には抜け毛の多さに悩んでいる人もいるかもしれません。

異常な抜け毛は頭皮環境や食生活、生活習慣などに目を向けることで改善できる場合があります。

今回は抜け毛の予防法を解説していきます。ぜひ参考にしてください。

抜け毛はなぜ発生する?髪の毛のメカニズム

抜け毛はなぜ発生する?髪の毛のメカニズム

そもそもなぜ抜け毛が発生するのか、まずは毛髪のメカニズムを説明します。

髪の毛の生え変わりの仕組み

(出典:(1)ヘアケアの科学) (出典:(2)毛と毛包の解剖・毛髪異常 (AGA))

髪の毛は一生伸び続けるのではなく、ヘアサイクルに従って常に生え変わり続けています。

ヘアサイクルには大きく分けて3つの段階があります。髪の毛が成長を続ける「成長期」、成長を中止する「移行期(退行期)」、頭皮から脱毛する「休止期」です。

一般的には成長期は2~6年続き、全体の毛髪のおよそ85~95%を占めるといわれています。また退行期は2~3週間で全体の約1%、休止期は3~4ヶ月で全体の10%前後とするのが定説です。

抜け毛は休止期に突入した髪に起こる生理現象で、健康な人でも1日に50~100本の抜け毛がみられます。しかし毎日100本以上の抜け毛がある場合や、薄毛が目に見えて進行している場合は、頭皮や毛髪になんらかの異常が起こっている恐れがあります。

正常な抜け毛と異常な抜け毛の見分け方

(出典:(3)ヘアケアの科学) (出典:(4)特集 脱毛性疾患の病態と治療 養毛・育毛剤の評価法-人における新評価法-) (出典:(5)内陸盆地の気候ストレス情報とその生理学的検証)

正常な抜け毛かどうか気になる場合は、まずは抜け毛の毛根を確認してみましょう。

自然に抜け落ちた休止期の毛髪には、毛根部分に白い膨らみがあります。反対に毛根が黒いままの抜け毛や、毛根の形がいびつな抜け毛は異常な抜け毛の恐れがあります

また自然な抜け毛の本数は1日に50~100本ほどとされていますが、これはあくまで目安です。抜け毛の量は季節によって変化するといわれているからです。とくに秋は一日の気温の変化が激しいため、自律神経が不安定になりやすく抜け毛の量も増えやすいとされています。

もし100本を大きく超える激しい脱毛が生じた場合は、季節的な要因も加味して異常な抜け毛かどうかを判断する必要があるでしょう。

抜け毛予防 ~頭皮環境改善~

抜け毛予防 ~頭皮環境改善~
(出典:(6)ヘアケアの科学)

異常な抜け毛はさまざまな要因で起こります。過剰な皮脂や雑菌など、頭皮環境の悪化もそのひとつです。

頭皮環境の改善にはいくつか方法があります。自分に適した方法を試してみましょう。

シャンプー方法を見なおす

(出典:(7)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価―頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験―) (出典:(8)教育シリーズ: 皮膚をみる人たちのための化粧品知識 洗浄料とその作用) (出典:(9)化粧せっけん及びヘアシャンプーの泡立ちとソフト感)

抜け毛予防に向けた頭皮環境改善の第一歩として、まずはシャンプー方法を見なおしましょう。

正しいシャンプーの手順

シャンプーは次の手順で行うのがおすすめです。

1 ブラッシング 髪のもつれを解きほこり汚れなどを取り除くために、シャンプー前に髪全体をざっとブラッシングしておく。
2 予洗い シャンプーを使う前に適温のお湯で十分に頭部を予洗いし、おおまかに汚れを落としておく。
3 シャンプー シャンプーは頭皮をマッサージする感覚でなじませていき、爪を立てないよう注意しながら指の腹を使って丁寧に洗う。
4 すすぎ 適温のお湯で十分に洗い流す。

注意点

皮膚のバリア機能を保ち過剰な抜け毛を防ぐためにも、シャンプーは適量を守り、丁寧な洗髪を心がけましょう

頭皮の汚れや雑菌は頭皮環境を悪化させる要因となりうるため、シャンプーで清潔を保つことは大切です。しかし過剰なシャンプーは、皮膚を健やかに保つのに必要な肌本来の保湿成分まで洗い流し、皮膚のバリア機能の乱れにつながります。

高温すぎるお湯やシャンプーの洗い残しも頭皮の乾燥やバリア機能の乱れを招く恐れがあるため、抜け毛の予防のためには注意が必要です。

おすすめのシャンプー

頭皮の乾燥が気になる人は、比較的マイルドな洗浄力をもつといわれるアミノ酸系ベタイン系シャンプーの使用がおすすめです。

ドライヤーを使用する

(出典:(10)毛髪にかかる負担を軽減するための吸引式ヘアドライヤーの開発) (出典:(11)入院患者の頭髪および頭皮のブドウ球菌の汚染状況と洗髪による汚染除去の効果)

洗髪後はドライヤーを使ってすばやく髪を乾かしましょう。

濡れた状態の毛髪はキューティクルが開いており、ダメージを受けやすくなっています。また頭皮が濡れたままだと雑菌が繁殖しやすく、肌のターンオーバーに悪影響を及ぼして抜け毛につながる恐れもあります。ドライヤーを利用して、頭皮を清潔に保つことが肝心です。

ただし高温の温風は毛髪にダメージを与えてしまいます。ドライヤーは頭部から少し離し、風の力を利用するイメージ乾かしましょう

頭皮マッサージを行う

(出典:(12)地肌マッサージの頭皮への作用)

頭皮マッサージも頭皮環境改善の効果が期待できます。マッサージで頭皮の血流がよくなることで、毛髪に必要な栄養分が頭皮にしっかり行き渡るからです

頭皮マッサージは以下の手順で行いましょう。

1 人差し指と中指を使って両耳の前後を挟む。両手を顎の下まですべらせながら、指の腹でもみほぐしていく。
2 右手で左側のうなじを押さえ、胸まで流すようになでおろす。その後左手を使って右側も同様に行う。
3 親指と人差し指を使って耳のふちをもみほぐしていく。耳たぶからスタートし、耳の上部まで円を描くようにして1往復する。
4 今度は耳たぶから耳の上部まで、外側方向に耳を強めに引っ張る。
5 頭頂部の頭皮を指の腹で円状に3度回した後、3秒間指圧する。頭頂部からスタートし、頭部全体の6~8ヶ所を同様の手順でマッサージする。
6 もみあげから額の中心に向かい、人差し指と中指で皮膚を引き上げるようにしながら生え際に沿ってマッサージする。上部まで達したら中指を重ね、小さな円を描きながら百会 (眉間の延長線と両耳の延長線がクロスする箇所) まで圧迫していく。
7 百会を3秒間強めに圧迫したらゆっくり手を離す。
8 こめかみに指を当て、頭頂部へ向かって手ぐしをするようにして引き上げた後、後頭部を下向きに指をおろす。これを3ヶ所に分けてそれぞれ2回ずつ行う。
9 両手の指先を使い、頭全体をはじくようにしてリズミカルにマッサージする。
10 人差し指と中指を後頭部のくぼみに添え、顎の上げ下げを3回繰り返す。最後に深呼吸を1回する。

育毛剤でケアする

(出典:(13)男性型脱毛症と育毛有効成分) (出典:(14)ホソカワミクロンが提唱する内外育毛ケア理論)

育毛剤を使った頭皮ケアも、自宅でできる抜け毛対策のひとつです。

育毛剤には通常、発毛を促す栄養補給剤や、脱毛症を防ぐ効果のあるホルモン剤が配合されています。さらに栄養分の供給を活発にする血管拡張剤や、頭皮の清潔に保つ抗炎症剤・殺菌剤を組み合わせることにより、多方面から頭皮環境にアプローチします

育毛剤には多数の製品があり、その特徴は製品によってさまざまです。自分の頭皮環境にあった製品を探しましょう。

抜け毛予防 ~髪に必要な栄養摂取~

抜け毛予防 ~髪に必要な栄養摂取~
(出典:(15)ヘアケアの科学)

頭皮や毛髪の健康維持には、必要な栄養の摂取は必要不可欠です。バランスの良い食事を心がけるとともに、抜け毛予防に効果があるとされる栄養素を積極的に摂取するようにしましょう。

アミノ酸・亜鉛・ビタミンB群を積極的に摂取する

(出典:(16)e-ヘルスネット たんぱく質) (出典:(17)マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について) (出典:(18)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療) (出典:(19)厚生労働省eJIM > 海外の情報 > 亜鉛) (出典:(20)ビタミン総論) (出典:(21)e-ヘルスネット 野菜、食べていますか?)

アミノ酸・亜鉛・ビタミンB群は頭皮や毛髪の生成に欠かせない成分です

アミノ酸は人体を作るのに必要なタンパク質を構成する成分で、毛髪の主成分となるケラチンを作り出します。そのためアミノ酸が不足すると毛髪がやせ細り、過剰な抜け毛につながる恐れがあります。

また亜鉛は毛髪の主成分となるケラチンの合成に欠かせません。欠乏すると脱毛や薄毛を引き起こす恐れがあります。日本人は潜在的な亜鉛欠乏症であるといわれているため、積極的な亜鉛の摂取が推奨されます。

ビタミンB群は毛髪の生成を補助する働きがあり、とくにビタミンB6ビタミンB2は良好な頭皮環境を築くために重要な栄養素だと考えられています。

ビタミンB6はアミノ酸の代謝に重要な役割を持つ成分です。ビタミンB2は成長促進因子として働き、脂漏性皮膚炎などの炎症を抑えます。どちらも積極的に摂取して健康な毛髪を維持しましょう。

毛髪は体内において、栄養不足の影響を受けやすい部位だといわれています。つまり食生活を見直すことは、抜け毛予防にもつながるといえるでしょう。

髪によい食生活を意識する

(出典:(22)食品成分ランキング)

食生活に配慮することでも抜け毛予防が可能です。頭皮環境を健やかに整え髪を育てる成分に着目しながら食事をとりましょう。

次のような食材には抜け毛予防に役立つ栄養成分が含まれているので、積極的な摂取がおすすめです。

【抜け毛予防に効果的な食材と栄養成分】

タンパク質(アミノ酸)、ビタミンB2
大豆 タンパク質(アミノ酸)、亜鉛、ビタミンB2、ビタミンB6
ピスタチオ タンパク質(アミノ酸)、ビタミンB6
タンパク質(アミノ酸)、ビタミンB2、ビタミンB6
まぐろ タンパク質(アミノ酸)、ビタミンB6
レバー タンパク質(アミノ酸)、亜鉛、ビタミンB2、ビタミンB6
牡蠣 亜鉛
小麦胚芽 タンパク質(アミノ酸)、亜鉛、ビタミンB2、ビタミンB6
にんにく ビタミンB6

髪によい食事を心がけて抜け毛予防に役立てましょう。

サプリメントを利用する

(出典:(23)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)

抜け毛予防のためには適宜サプリメントの利用も検討しましょう。食事からだけでは必要な栄養素を摂取しきれない場合もあります。

ドラッグストアや通信販売では一般的なビタミン剤やプロテインの他、頭皮環境の改善に着目して処方されたサプリメントなどバリエーション豊富な商品を取り扱っています。配合されている栄養素に着目しながら、予算的にも無理なく続けられそうなサプリメントを選びましょう。

抜け毛予防 ~生活習慣改善~

抜け毛予防 ~生活習慣改善~

生活習慣の悪化も異常な抜け毛につながるといわれています。次のような着眼点での生活改善を目指しましょう。

睡眠を十分にとる

(出典:(24)解説特集 睡眠の生体計測技術 睡眠関連ホルモンの計測) (出典:(25)男子大学生における夜間睡眠の乱れと自律神経系活動の関係) (出典:(26)清酒酵母による睡眠の質改善作用と機能性表示食品への応用) (出典:(27)就寝前のメディア利用が生体リズム及び睡眠の質に与える影響について)

良質な睡眠を十分取ることも抜け毛予防には重要です。慢性的な睡眠不足が続くとホルモンバランスが乱れ、体の不調や抜け毛の増加につながるかもしれません。

睡眠は人体の構築や修復に重要な成長ホルモンの分泌を促します。深い睡眠時にはとくに成長ホルモンの分泌が盛んになります。睡眠中に何度も目を覚ましてしまうと成長ホルモンの分泌が低下するので、睡眠時間だけでなく睡眠の質にも着目する必要があるでしょう。

またテレビやゲーム、スマートフォンなどのメディアを就寝前に使用すると、睡眠の質の低下につながるという調査結果もあります。寝る前の行動も見直してみましょう。

ストレスを解消する

(出典:(28)画像解析によるマウスの体毛成長の評価) (出典:(29)涙とストレス緩和)

ストレスの解消も抜け毛予防の重要なファクターです。

ストレスは体毛の成長を抑え、毛周期に悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。そのためストレスを溜め込まないことは、抜け毛予防に有効です。

ストレスを完全に避けることは難しいですが、こまめに発散することは可能です。趣味や気分転換など自分なりのストレス解消方法を身につけましょう

たとえば涙にはストレス解消効果があるといわれているので、ときには感動的な映画やドラマを見て思い切り泣いてみるのもおすすめです。

過度の喫煙・飲酒を控える

(出典:(30)地肌マッサージの頭皮への作用) (出典:(31)e-ヘルスネット ニコチン) (出典:(32)厚生労働省eJIM > 海外の情報 > 亜鉛) (出典:(33)e-ヘルスネット 睡眠と生活習慣病との深い関係)

抜け毛予防のためには過度の喫煙や飲酒は控えましょう。

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血流を悪化させます。血流が悪化すると頭皮に十分な栄養が行き渡らなくなるため、過度な喫煙はおすすめできません。

またアルコールには毛髪の生成に重要な亜鉛の吸収を阻害する働きがあると報告されています

ニコチンやアルコールは睡眠状態を悪化させることからも、抜け毛予防のためには過剰な喫煙や飲酒は控えた方が良いでしょう。

紫外線対策を行う

(出典:(34)日焼け止めの科学)

頭皮の紫外線対策も抜け毛予防には有効です。

紫外線には肌を乾燥させ、DNAやタンパク質、細胞膜などの生体成分に対する変性作用があると考えられています。紫外線対策を行えば、これらの皮膚障害防止につながり、抜け毛予防対策となります。

紫外線量は3月頃から増えはじめ、6~8月がピークです。また1日の中では10~14時頃にピークを迎えるといわれています。これらの紫外線が強くなる季節や時間帯には、帽子などを使って紫外線の猛威から頭皮を守りましょう

適度な運動を心がける

(出典:(35)顕微鏡血流観察による有酸素運動前後の毛細血管血流速度の定量) (出典:(36)地肌マッサージの頭皮への作用)

適度な運動も抜け毛予防には有効です。

有酸素運動を行った後は毛細血管の血流を増加します。血流が改善すると頭皮に十分な栄養が行き渡り、抜け毛予防効果が期待できます

ウォーキングやジョギングなど無理の無い範囲で運動習慣を取り入れてみましょう。

まとめ

異常な抜け毛の原因はさまざまです。頭皮環境の悪化や栄養不足、血行不良などからも起こる可能性があります。今回解説した情報をもとにヘアサイクルの改善を目指し、過剰な抜け毛の予防につなげてください。

 

監修者紹介
佐藤 明男 医師
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤明男
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』
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