監修者一覧
「排水溝に髪の毛が溜まりやすくなってきた」「枕についている髪の毛の本数が増えた」など、春になって突然抜け毛の本数が増えてしまった人もいるのではないでしょうか。
春に抜け毛が増えるのには、いくつかの理由があります。また抜け毛が増える季節は、実は春だけではありません。
本記事では、春に抜け毛が増える原因や春以外に抜け毛が増える季節、春の抜け毛を予防・対策する方法を解説します。春に抜け毛が増えてしまうメカニズムを知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
春に抜け毛が増える原因
春に抜け毛が増える原因として、考えられることをいくつか紹介します。
自律神経の乱れ
(出典:(1)画像解析によるマウスの体毛成長の評価,(2)疲労とストレス)ストレスなどで自律神経が乱れることによって、抜け毛が増えやすくなります。
自律神経が乱れると血流が悪くなり、髪の毛に必要な栄養が頭皮に行き渡りにくくなるからです。またストレスは、髪の毛の成長を遅らせます。
春は年度末や学期末で忙しくなりやすかったり、新生活で不安を抱えやすかったりする季節です。そのため、春は精神的にも身体的にもストレスを受けやすく、自律神経が乱れやすくなるのです。
冬から春にかけての時期は、朝晩での寒暖差が大きい季節の変わり目でもあります。1日の寒暖差が大きいと、気温に応じて体温を調整しなければならないため、自律神経が乱れやすくなります。
環境の変化によって食生活や睡眠などの生活習慣も乱れやすくなるので、春はとくに注意が必要な季節です。
花粉症
(出典:(3)かゆみの強い疾患 そのかゆみ発現メカニズム)春に増える抜け毛は、花粉症とも関係しています。
花粉症の症状は、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみの4つがよく知られていますが、肌のかゆみが出ることもあります。肌に花粉がつくことで、アレルギー反応によって肌が炎症を引き起こすためです。
また春は肌が乾燥しやすく、肌のバリア機能が低下しやすい季節です。肌のバリア機能が低下しているときは外部からの刺激を受けやすくなっているので、花粉のアレルギー反応によるかゆみも生じやすくなっています。
かゆみによって頭皮をひっかいてしまうことで、抜け毛が増えてしまう可能性があります。花粉症の症状がひどく頭皮にかゆみを伴う場合は薬などで対処し、頭皮をひっかいてしまわないように注意してください。
抜け毛が増える季節は春だけじゃない!
春以外に抜け毛が多くなりやすいといわれている季節は秋です。秋に抜け毛が増える原因は明らかになってはいませんが、いくつかの要因が考えられます。
秋に抜け毛が増える原因のひとつは、自律神経の乱れです。秋は季節の変わり目なので、春と同じように自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れた結果、血流が悪化し髪の毛に必要な栄養が頭皮に行き渡りにくくなるのです。
また夏の強い日差しや紫外線による頭皮のダメージ、夏の暑さによるストレスが、秋になって頭皮や髪の毛に影響をおよぼしているからともいわれています。
春や秋に限らず、季節の変わり目は抜け毛が多くなりやすいので、自律神経を整えるようにしましょう。
春の抜け毛を予防・対策する方法
春の抜け毛を予防・対策する方法を6つ紹介します。
ストレスを溜めないようにする
春の抜け毛を予防・対策するために、ストレスを溜めないようにしましょう。
とくに春は新生活などでストレスを抱えやすい季節であるため、ストレスを溜めないようにすることが非常に重要です。好きなことに没頭する時間をつくったり、適度に休みをとってリラックスしたりして、ストレスを発散させましょう。
睡眠をしっかりとる
(出典:(4)第3章 主な医薬品とその作用,(5)疲労とストレス)春の抜け毛を予防・対策するために、質のよい睡眠をしっかりとりましょう。
睡眠が足りていなかったり睡眠の質が悪かったりすると、自律神経が乱れやすくなります。また、髪の毛の成長に必要な成長ホルモンの分泌量が少なくなります。
春は新生活の準備などで忙しかったり環境が変わって不安を抱えたりしやすい季節で睡眠がおろそかになりがちです。十分に注意してください。睡眠時間をしっかり確保し、抜け毛を防ぎましょう。
適度に運動をする
(出典:(6)顕微鏡血流観察による有酸素運動前後の毛細血管血流速度の定量,(7)運動後の自律神経活動と心理的効果)運動をすることも、春に起こる季節性の抜け毛の予防・対策におすすめです。
運動で体を動かすと血流がよくなり、髪の毛に必要な栄養が頭皮に行き渡りやすくなります。適度な運動は交感神経と副交感神経をバランスよく活性化させ、自律神経を整えます。
自律神経が乱れやすい春だからこそ、ウォーキングや軽めのランニングなどの運動を適度に行いましょう。毎日少しずつでも、継続的に運動することが重要です。
ヘアケアを行う
(出典:(8)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価―頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験―)春の抜け毛を予防・対策するために、ヘアケアを行いましょう。
春の頭皮は、冬に受けた乾燥のダメージが蓄積している可能性があります。保湿のために育毛剤や保湿ローションなどを使ってヘアケアをするのがおすすめです。
過度なシャンプーは、過剰に皮脂を取り除き頭皮を乾燥させるので、基本的には1日1回にしましょう。髪の毛をシャンプーで洗う際は、頭皮を傷つけないようにやさしく行ってみてください。
頭皮マッサージをする
(出典:(9)地肌マッサージの頭皮への作用)頭皮マッサージをすることも、春の抜け毛予防・対策におすすめの方法です。
マッサージすると頭皮が柔らかくなり血行が促進され、髪の毛に必要な栄養が頭皮に行き渡りやすくなります。
やさしく圧をかけていくことを意識し、指の腹を使って頭皮全体をマッサージするとよいでしょう。頭皮マッサージは、シャンプーと一緒に行うのがおすすめです。
頭頂部の中心にある百会 (ひゃくえ) や、百会の左右にある通天 (つうてん) 、うなじのくぼんでいる部分にある天柱 (てんちゅう) など、ツボを意識してマッサージすると自律神経が整えられ血流がよくなります。
バランスよく栄養を摂取する
(出典:(10)看護学生の食生活改善に向けた介入の効果,(11)e-ヘルスネット たんぱく質,(12)e-ヘルスネット ビタミン)春の抜け毛を予防・対策するために、栄養をバランスよく摂取しましょう。栄養をバランスよく摂取すると、血液の運搬によって頭皮に栄養が行き渡りやすくなり、抜け毛の改善につながります。
とくに髪の毛にとって重要なタンパク質やビタミンをしっかり摂りましょう。タンパク質は髪の毛の主成分です。
ビタミンは体内ではほとんど合成できない栄養素なので、食事から意識的に摂ることが重要です。
春は忙しい季節で、食事にあまり時間がかけられないことも多いでしょうが、栄養バランスを意識して食事をとるようにしてみてください。
春に増える抜け毛の原因をしっかり理解しよう
季節の変わり目である春は、秋と同じように抜け毛が増えやすくなる季節です。年度末や新生活などで心身ともに不安定になりやすい時期でもあります。
シャンプー時に髪の毛が排水溝に溜まりやすかったり、起床時にたくさんの髪の毛が枕に付着したりしている場合は注意してください。
自律神経を整えて抜け毛を予防するためには、手軽にできる自分なりのストレス発散方法を見つけてストレスを溜めないことと、規則正しい生活を意識しましょう。
- 1).川崎医療福祉学会誌 Vol. 28 No. 1 2018 125-133
- 2).5).バイオメカニズム学会誌/21巻 (1997) 2号
- 3).ファルマシア/41 巻 (2005) 3 号/p. 234-238
- 4).厚生労働省 試験問題の作成に関する手引き(平成19年8月)
- 6).日温気物医誌第 78 巻 4 号 2015 年 10 月 353-362
- 7).保健医療学雑誌 8(1)
- 8).日本香粧品学会誌/41 巻 (2017) 1 号/p. 15-22
- 9).日本化粧品技術者会誌/48 巻 (2014) 2 号
- 10).石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing 9 53-59, 2012-03
- 11).e-ヘルスネット 厚生労働省
- 12).e-ヘルスネット 厚生労働省