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抜け毛とひと口にいっても、いい抜け毛と悪い抜け毛があるのを知っていますか。
いい抜け毛と悪い抜け毛のどちらが起こっているかは、ヘアサイクルが乱れているかどうかによって異なります。悪い抜け毛の場合、髪の毛が十分に成長しないまま抜けてしまうので注意が必要です。
今回はいい抜け毛と悪い抜け毛を見分ける方法や、悪い抜け毛を防ぐ方法を紹介します。
抜け毛が増えて改善方法を模索している人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
いい抜け毛と悪い抜け毛の違い
まずはいい抜け毛と悪い抜け毛の違いを知っておきましょう。
いい抜け毛
(出典:(1)ヘアケアの科学)いい抜け毛とは、自然脱毛によって抜ける髪の毛のことです。正常なヘアサイクル (毛周期) の休止期において髪の毛が自然に抜ける現象のことを、自然脱毛といいます。
ヘアサイクルとは、一定の周期 (2~6年) をもって髪の毛が成長と脱毛を繰り返すことです。ヘアサイクルには髪の毛が成長する成長期、成長が止まる退行期、脱毛する休止期の3つの段階があります。
自然脱毛によって引き起こされる抜け毛の本数は、1日あたり50~100本です。そのため1日あたり数十本程度の抜け毛であれば、心配する必要はほとんどありません。
悪い抜け毛
(出典:(2)男性型脱毛症と育毛有効成分)悪い抜け毛とは、異常脱毛によって抜ける髪の毛のことです。なんらかの理由によってヘアサイクルが乱れて引き起こされる抜け毛のことを、異常脱毛といいます。
ヘアサイクルが乱れると成長期の期間が短くなり、正常な状態よりも早く休止期になって髪の毛が抜けてしまいます。髪の毛が十分に成長しきっていない段階で抜けてしまうので、全体的に毛量が少なく見えやすいです。
いい抜け毛と悪い抜け毛を見分ける方法
いい抜け毛と悪い抜け毛を見分ける方法を、以下の4つの項目に分けて紹介します。
抜け毛の本数
いい抜け毛と悪い抜け毛を見分けるには、まず抜け毛の本数に注目しましょう。
抜け毛の本数が、1日あたり100本程度までなら自然脱毛による抜け毛、つまりいい抜け毛です。
一方で1日あたり100本よりはるかに多いなら異常脱毛による抜け毛、つまり悪い抜け毛と判断できます。
以前と比較して抜け毛の本数が明らかに多くなっている場合は、異常脱毛が起こっている可能性が高いです。
たとえば以下のどれかに当てはまる場合は、異常脱毛の疑いがあります。
毛根の形
(出典:(3)男性型脱毛症治療薬の研究動向)抜けた髪の毛の毛根の形が以下のどれかに当てはまる場合は、悪い抜け毛が起こっている可能性が高いです。
自然脱毛によって抜ける髪の毛の毛根は、マッチ棒のようにふっくらと丸みを帯びています。
一方で異常脱毛によって早く抜けてしまう髪の毛は、角質形成 (角化) しきれていないので、丸みが無い形になる場合があります。
抜け毛が多くなっているかもしれないと感じたら、抜けた髪の毛の毛根の形を見るようにしてみてください。
毛根の色
(出典:(4)ヘアケアの科学)抜けた髪の毛の毛根の色が以下のどちらかに当てはまる場合は、悪い抜け毛が起こっているサインです。
自然脱毛によって抜ける髪の毛の毛根は、根元にいくにつれてグラデーションのように白くなっています。そのため抜けた髪の毛の毛根が全体的に黒く、白い部分が無い場合は注意が必要です。
また毛根に白い塊のような、ベタベタしたものが付着している場合にも注意しましょう。毛根のベタつきは皮脂の過剰分泌によって皮脂が付着したもので、なんらかの頭皮トラブルを引き起こしている可能性があります。
毛根に付着している白いものがゼリー状の薄い膜のような見た目なら、毛根鞘 (もうこんしょう) なので心配はありません。
毛根鞘とは毛根の周囲にある毛包組織の一部で、自然脱毛によって抜けた髪の毛に付着しています。
抜け毛の長さ・太さ
(出典:(5)男性型脱毛症治療薬の研究動向)以下のどれかに当てはまってないか、抜け毛の長さ・太さにも着目しましょう。
以前と比較して明らかに抜けた髪の毛が短い・細い場合は、注意してください。なぜならヘアサイクルの乱れによって十分に角化されないまま髪の毛が抜けてしまったと考えられるからです。
悪い抜け毛を防ぐ方法
自然脱毛ではない抜け毛と思われる場合は、適切に対策をしていく必要があります。
そこでここでは、すぐに取り組める悪い抜け毛を防ぐ方法を紹介します。
正しい方法でシャンプーをする
(出典:(6)入院患者の頭髪および頭皮のブドウ球菌の汚染状況と 洗髪による汚染除去の効果)悪い抜け毛を防ぐために、正しい方法でシャンプーをしましょう。シャンプーの適切な方法は、以下のとおりです。
シャンプーをする際は、頭皮と髪の毛にできるだけ負担をかけないようにしましょう。とくに爪を立てて頭皮を傷つけたり、強くこすったりしないようにすることが重要です。
髪の毛を洗ったあとは、ドライヤーを使って水気が無くなるまで十分に髪の毛を乾かしましょう。髪の毛が濡れていると髪の毛が傷んだり、雑菌が繁殖して頭皮トラブルを引き起こしたりする可能性があります。
頭皮マッサージをする
(出典:(7)地肌マッサージの頭皮への作用)悪い抜け毛を減らして予防するために、頭皮マッサージをしましょう。頭皮をマッサージすることで血流がよくなり、髪の毛の成長に必要な栄養が頭皮に行き渡りやすくなります。
爪や強い力で頭皮に負担をかけないように、指の腹を使ってやさしく頭皮全体をマッサージしてみてください。シャンプーをしたあとに行うのがおすすめです。
頭にあるツボを意識してマッサージすると、自律神経が整えられ血流がよくなります。
頭頂部の中心にある百会 (ひゃくえ) や、百会の左右にある通天 (つうてん) 、襟足のくぼみにある天柱 (てんちゅう) などをマッサージしてみましょう。
生活習慣を見なおす
(出典:(8)第3章 主な医薬品とその作用,(9)男子大学生における夜間睡眠の乱れと自律神経系活動の関係,(10)看護学生の食生活改善に向けた介入の効果),(11)e-ヘルスネット たんぱく質,(12)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)悪い抜け毛を軽減・予防するためには、睡眠や食生活などの生活習慣を見直してみましょう。
睡眠においては、睡眠不足にならないようにすることが重要です。なぜなら睡眠時には多くの成長ホルモンが分泌されるからです。成長ホルモンには、髪の毛の主成分であるタンパク質の合成を促す作用があります。
また睡眠だけでなく食生活にも気をつけ、栄養バランスがよい食事をとるように心がけましょう。バランスよく栄養を摂取すると、血液の運搬によって頭皮に栄養が行き渡りやすくなり、抜け毛の改善につながります。
とくに健やかな髪の毛の成長に欠かせないタンパク質や亜鉛、ビタミンをしっかり摂りましょう。
いい抜け毛と悪い抜け毛の違いを正しく理解しよう
いい抜け毛と悪い抜け毛は、ヘアサイクルが乱れているかどうかによって異なります。抜け毛の本数が多くなっていたり、毛根の部分に異常があったりするなら、悪い抜け毛を疑いましょう。
まずはいい抜け毛と悪い抜け毛の違いを正しく理解し、抜け毛の原因を探ることが大切です。
抜け毛が多くなったと感じたら、睡眠や食生活などの生活習慣、普段のシャンプーの仕方を見なおしてみましょう。
- 1).4)講座(シリーズ) “変わる”生活と消費科学 9
- 2).油化学/44 巻 (1995) 4 号
- 3).5)日本薬理学雑誌/133 巻 (2009) 2 号/ p. 73-77
- 6).愛知県立大学看護学部紀要/21 巻 (2015)/p. 21-29
- 7).日本化粧品技術者会誌/48 巻 (2014) 2 号
- 8).厚生労働省 試験問題の作成に関する手引き(平成19年8月)
- 9).大正大學研究紀要 第106輯
- 10).石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing 9 53-59, 2012-03
- 11).e-ヘルスネット 厚生労働省
- 12).WAARM Journal, 2018; 1: 40–42