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急にフケが増えたり頭皮がかゆくなったりした場合には、頭皮が乾燥しているのかもしれません。頭皮の乾燥は抜け毛の原因となることもあるため、気づいたらすぐケアすることが肝心です。
本記事では頭皮の乾燥を見極めるための方法や、乾燥の原因、予防と対策方法を紹介しています。毎日の生活習慣やシャンプー・ドライなどのケア方法に気をつけるだけで改善できる場合もあるため、ぜひ本記事を参考に健康な頭皮環境を保ってください。
目次
こんな症状が出たら頭皮の乾燥に注意
フケが大量に出てくる
頭皮が乾燥するとフケが大量に出てくるようになります。頭皮は新陳代謝によって、古くなった皮膚細胞が肌の表面に押し上げられ、新しい肌に入れ替わります。乾燥すると肌の入れ替わりの周期が早くなるため、フケが大量に出るのです。
頭がかゆくなる
頭皮が乾燥すると刺激に対して敏感になります。頭皮表面を守っている潤い成分が不足するためです。ほんの少しの刺激でもかゆみを感じるようになり、かきむしってしまうとさらに肌環境が悪化するという悪循環に陥ります。
抜け毛が増える
皮膚が乾燥することで炎症が誘発されることがあります。乾燥と抜け毛に直接的な関係はありませんが、炎症が悪化してしまうと髪の成長に悪影響をおよぼすため、抜け毛が増える原因となります。
頭皮が突っ張る感じがする
潤いのある頭皮に触れると、柔らかい弾力を感じられます。もし突っ張っている感じがする場合は、頭皮の潤いが不足していることが考えられます。頭皮の水分量や皮脂量が低下してしまっていることが原因です。
頭皮が乾燥する原因は?
乾燥肌
(出典:(1)毛髪・頭皮に優しい洗浄技術)
身体や顔の乾燥肌が気になる方は、頭皮も乾燥しやすい傾向があります。乾燥肌は先天的なもので、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの保湿成分が生まれつき少ないことが原因です。
頭皮の保湿は忘れがちですが、頭髪の育成環境に直接影響をおよぼすため、念入りなケアを行いましょう。
間違ったシャワーの浴び方をしている
(出典:(2)洗浄料とその作用)
毎日何気なく浴びているシャワーも乾燥の原因となることがあります。夏の時期など汗をたくさんかくとスッキリしたいために何度もシャワーを浴びてしまうかもしれません。シャンプーをすると皮脂が洗い流されるため、1日に何度もシャンプーをすると保湿に必要な皮脂まで失ってしまいます。
また40℃以上の熱いシャワーを浴びた場合も必要な皮脂が洗い流されるため、ぬるま湯を使ってシャンプーをしましょう。
シャンプーの選び方が間違っている
(出典:(3)洗浄料とその作用)
シャンプーの選び方もポイントです。皮脂が多いからと洗浄力が高いシャンプーを使うと、必要な皮脂まで失ってしまうことがあります。洗浄力が低すぎても問題ですが、洗浄力と保湿ケアのバランスの取れたシャンプーを選ばなければなりません。
過剰なストレス
(出典:(4)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
意外なことに過剰なストレスも頭皮の乾燥の原因となります。頭皮環境を整えるために、頭皮に張り巡らされた毛細血管の血流は大変重要です。
ストレス過剰な状態だと自律神経が乱れるため頭皮への血流が悪くなり、新陳代謝がうまくいかなくなってしまいます。すると保湿成分もうまく分泌されなくなるため、乾燥の原因となるのです。
栄養バランスが悪い
(出典:(5)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の 関係について」)
食事の栄養バランスは身体の機能に直接影響をおよぼします。バランスのよい食事を心がけ、脂っこい食事減らすようにすると、乾燥肌の改善にも効果があるでしょう。
食事内容をメモに残して、不足した栄養素をサプリメントで補給することも効果的です。
髪の乾かし方が間違っている
(出典:(6)ヘアケアの科学)
髪が濡れた状態が続くと髪にも頭皮にも悪影響があるため、髪を乾かすのは大切なことです。しかし急いで乾かそうと高温のドライヤーを近くから当て続けてしまうと、頭皮の乾燥の原因となります。髪の水分だけでなく頭皮の水分も失ってしまうためです。
ドライヤーから放出される熱は100℃近くなることもあるため、頭皮に当てすぎないよう注意しましょう。ドライヤーを髪から離して、細かく動かしながら頭皮と髪の根元のあいだに風を送るイメージで乾かすと効果的です。
長時間エアコンの効いた部屋にいる
長時間エアコンの効いた部屋で過ごすことが多い方も、頭皮が乾燥するリスクが高まります。自然の外気に比べ、冷暖房によって放出される空気は大変乾燥しています。長距離のフライトで飛行機の中に長くいると、喉も肌もカラカラになるのはそのせいです。頭皮の水分もエアコンの空気で乾燥していくため、保湿ケアが必要です。
パーマやヘアカラーを頻繁にしている
(出典:(7)Thermo-Properties of Keratin Fiber)
パーマやヘアカラーに使われる薬剤には、アルカリ性や酸性のものがあります。アルカリ剤は髪の分子結合を弱めるため、パーマや髪染めに使われています。また酸化剤は髪に色素を定着させたり、染料の発色を良くしたりするために使用されることが多いようです。
それらの薬剤が頭皮に付着するとかぶれや乾燥、湿疹の原因となることがあります。そのため頻繁に使用する場合や、自分で髪を染める場合などには注意が必要です。
紫外線ケアが不十分
(出典:(8)毛髪の紫外線ダメージ—評価指標とダメージケア—)
紫外線には3種類ありますが、そのうちの「UV-A」は肌の奥まで届くため、コラーゲンなどの保湿成分を作る細胞が破壊されてしまいます。また日焼けで肌が黒くなる原因の「UV-B」も頭皮表面を乾燥させ、ダメージを与えてしまいます。
日焼け止めをしっかり塗って外出するという方も、頭皮の日焼け対策までできていないことが多いものです。帽子や日傘を使用せずに外出する機会が多い方や、アウトドアが趣味の方などは、頭皮の日焼け対策用のスプレーなどを活用して乾燥対策しましょう。
頭皮の乾燥への予防法・対策法
適切なシャンプーを選ぶ
(出典:(9)洗浄料とその作用)アミノ酸系・ベタイン系
頭皮の乾燥を毎日のシャンプーでケアしたい方は、アミノ酸系とベタイン系のシャンプーを選ぶようにしましょう。シャンプーには大きく分けて以下の4種類の洗浄成分があります。
中でもアミノ酸系とベタイン系は頭皮への刺激が少ないため、すでに弱った頭皮をケアするのに最適です。また皮脂が不足して乾燥しがちな頭皮でも、アミノ酸系とベタイン系のシャンプーを使えば皮脂を洗い流しすぎてしまうことがないため、頭皮の潤いを保ちやすくなります。
対して高級アルコール系や石けん系のシャンプーは、刺激が強く洗浄力も高いのが特徴です。そのためハードワックスなどの整髪料をたくさんつける方には適しています。
セラミド配合のものを選ぶ
セラミドという成分が含まれたシャンプーを選ぶのもおすすめです。
セラミドは髪や頭皮の潤いを保ち、乾燥から守ってくれる成分であるため、セラミド配合のシャンプーを使うと、乾燥や紫外線から頭皮を守る効果が期待できます。加えて髪の毛のキューティクルを補強する働きもあるため、強くツヤのある髪を保ち、髪の潤いをキープする効果が望めます。
正しいシャンプーの方法を習得する
シャンプーにどんなに頭皮によい成分が含まれていても、シャンプーの仕方に問題があると潤い効果を発揮できません。
まずはぬるま湯で頭皮をマッサージしながら汚れを8割程度落とし、手のひらで泡立てたシャンプーを頭皮に押し込むようにシャンプーしていくとよいでしょう。指の腹を使って洗い、シャンプー後は泡をすべて念入りに洗い流すことが大切です。
バランスのよい食事をする
(出典:(10)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の 関係について」)
食生活が乱れると、髪の毛の生成に必要な栄養素や、皮膚を新陳代謝するための栄養素が頭皮まで十分に分泌されなくなってしまいます。体内に摂取された必要な栄養素は、生命を維持するのに欠かせない臓器のために優先的に使われていくため、摂取した栄養が足りないと頭皮に送る分がなくなってしまうのです。
1日3食バランスのよい食生活を心がけ、足りない栄養素はサプリメントなどで補いましょう。
正しく髪を乾かす
(出典:(11)ヘアケアの科学)
自然乾燥など、髪や頭皮が濡れたまま長時間過ごすと頭皮環境に悪影響をおよぼします。髪や頭皮をタオルでこすらず、水分を吸い込むように優しく押し付け、ドライヤーを使って乾かしましょう。ドライヤーを当てる際は頭皮から距離を離して、1点に熱が集中しないよう細かく動かしながら乾かしてください。
保湿ケアをする
(出典:(12)毛髪・頭皮に優しい洗浄技術)
身体や顔の肌と同じように、頭皮にも保湿ケアが必要です。頭皮の保湿ケア製品にはローションタイプとクリームタイプがありますが、クリームタイプは髪がベタつく原因となるため、ローションタイプを使うのがおすすめです。
保湿ケアはドライヤーを当てる前のタイミングで行いましょう。そうすることでドライヤーの熱によるダメージから頭皮を守れるだけでなく、毎日忘れずケアする習慣を身につけられます。
まとめ
頭皮の乾燥に気づいたら、できるだけ早めに対処しましょう。毎日のシャンプーの習慣や食習慣、紫外線対策や保湿ケアなどで改善できます。
洗浄力の高さより頭皮への刺激の少なさを意識してシャンプーを選び、ぬるま湯を使って優しくシャンプーすることで頭皮へのダメージを減らせます。気づかないうちに浴びてしまっている紫外線も、頭皮の潤いを保つ機能が破壊されてしまうことがあるため、頭皮も忘れず紫外線予防してください。
頭皮の乾燥を改善して、ぜひ美しい髪と健康な地肌を保ってください。
- 1). J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn. 特集総説47(1) 3-8(2013)
- 2). 3). 9).日本香粧品学会誌 Vol. 42, No. 4, pp. 270–279 (2018)
- 4). 植木理恵:都民公開 講座アンチエイジング 順天堂醫事雑誌.2013:59 :P. 327〜330
- 5).10).川崎医療福祉学会誌 Vol. 22 No. 2 2013 200 − 207
- 6).11).講座(シリーズ) “変わる”生活と消費科学 9
- 7). 日本化粧品技術者会誌/14 巻 (1980) 2 号/ P.105-115
- 8). J. Son. Cosmet. Chem. Jpn. 特集総説48(4): 2014 / P.271~P.277
- 12). J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn. 特集総説47(1) 3-8(2013)