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年齢や性別にかかわらずフケで悩んでいる人は少なくありません。
「フケが出て本当に困っている」「フケ対策は何をすればいいの」などの疑問をもつ人もいるでしょう。
効果的なフケ対策をするためには、フケの原因を知り、自分に合った対策方法を取り入れていくことが大切です。
本記事ではフケの4つの原因と、3つの対策方法を詳しく解説します。フケをどうにかしたいと思っている人は、ぜひご覧ください。
フケの原因4つ
そもそもなぜ頭にフケが発生してしまうのでしょうか。フケの原因には「洗髪でのすすぎ残し」「乾燥」「ストレス」「食生活」の4つがあると考えられています。
ここからはそれぞれの原因について詳しく解説していきます。
①洗髪でのすすぎ残しによるフケ
(出典:(1)洗浄料とその作用) (出典:(2)基礎看護技術洗髪における「すすぎ」の研究 : 界面活性剤残留濃度と洗浄量の分析(第1報)) (出典:(3)香粧品洗浄剤と皮膚生理)フケの原因のひとつ目は洗髪でのすすぎ残しで頭皮に残留したシャンプーです。シャンプー成分が残っていると頭皮への刺激となり、皮膚トラブルが起こる恐れがあります。
フケは頭皮の角層細胞がターンオーバーによってはがれたものです。しかし頭皮への刺激によって角層細胞の角化が進むと、フケ症と呼ばれるトラブルになります。
頭皮と髪をすこやかに保つためには、シャンプー後に頭皮をしっかりすすいで、シャンプー成分を残さないようにすることが大切です。
②乾燥によるフケ
(出典:(4)ヘアケアの科学) (出典:(5)香粧品洗浄剤と皮膚生理) (出典:(6)フケ抑制剤の評価と開発に関する研究) (出典:(7)毛髪にかかる負担を軽減するための吸引式ヘアドライヤーの開発)フケの原因のふたつ目は乾燥によるものです。頭皮の乾燥が原因で発生するのが乾性のフケです。
とくに冬の時期は頭皮が水分を保ちにくくなり、フケが発生しやすくなります。そして冬は剥がれ落ちた角質層が乾燥によって白くなり目立ちやすいため、見た目でフケが確認しやすくなることも影響しています。
またドライヤーのあて過ぎが、毛髪の損傷と乾燥を招くことがあります。頭皮が乾燥するとフケが出やすくなってしまうため注意が必要です。
洗髪後はドライヤーを適切に使い、頭皮が乾燥し過ぎないようにしましょう。
③ストレスによるフケ
(出典:(8)ヘアケアの科学)
フケの原因の3つ目はストレスによるものです。
フケは正常な新陳代謝の一環ですが、ストレスによってホルモンバランスが崩れると、頭皮のターンオーバーが早くなり、過度のフケが出るようになってしまいます。
フケを防ぐためには生活習慣を正して疲労を溜めず、ストレスを軽減するように心がけることが大切です。
④食生活によるフケ
(出典:(9)マラセチア関連疾患) (出典:(10)(2)水溶性ビタミン) (出典:(11)日本食品標準成分表)フケの原因の4つ目は食生活によるものです。不規則な食生活を続けているとフケが発生しやすくなることもあるため注意が必要です。
脂性のフケ症は、脂漏性皮膚炎の初期症状であることも少なくありません。脂漏性皮膚炎とは頭や顔などの皮膚が剥がれ落ちた油性の角質層が、赤みを帯びた皮膚に付着している病変のことです。
ビタミンB2やビタミンB6が不足すると、皮膚に炎症が起こり脂漏性皮膚炎を引き起こす可能性があります。
ビタミンB2はアーモンドや牛肉に、ビタミンB6は玄米や赤身肉に多く含まれています。
栄養素は不足すると欠乏症状が出ますが、摂取し過ぎると過剰になることがあるので取り過ぎには注意し、適量を心掛けましょう。
ビタミンB2・ビタミンB6それぞれについて、男性の1日あたりの食事摂取基準量を以下にまとめたので、参考にしてください。
年齢 (歳) | ビタミンB2の推定平均必要量 | ビタミンB2の推奨量 |
18~29 | 1.3mg | 1.6mg |
30~49 | 1.3mg | 1.6mg |
50~64 | 1.2mg | 1.5mg |
65~74 | 1.2mg | 1.5mg |
75以上 | 1.1mg | 1.3mg |
表は出典(10)厚生労働省『日本人の食事摂取基準 (2020年版)』をもとに編集部で作成
年齢 (歳) | ビタミンB6の推定平均必要量 | ビタミンB6の推奨量 |
18~29 | 1.1mg | 1.4mg |
30~49 | 1.1mg | 1.4mg |
50~64 | 1.1mg | 1.4mg |
65~74 | 1.1mg | 1.4mg |
75以上 | 1.1mg | 1.4mg |
表は出典(10)厚生労働省『日本人の食事摂取基準 (2020年版)』をもとに編集部で作成
フケ対策3つの方法
フケを放置しておくと悪化してかゆみを伴うこともあるため、早めの対策が大切です。対策には以下の3つの方法が有効です。
- 医療機関での受診
- 薬用シャンプーの使用
- 頭皮マッサージ
ここではそれぞれの方法について詳しく解説していきます。
医療機関の受診
(出典:(12)脂漏性皮膚炎) (出典:(13)アタマジラミ症の現状と対策) (出典:(14)アトピー性皮膚炎・かゆみと脳機能)フケ対策として医療機関を受診してみるのもよいでしょう。生活習慣や食生活の改善を図ってもフケが改善されない場合には、なんらかの皮膚疾患が原因でフケが発生している可能性があるからです。
またフケだと思っているものがフケではないケースもあります。たとえばアタマジラミの卵は見た目がフケとよく似ており、区別がつきにくいとされています。
フケが長引いている場合や、フケ以外に頭皮の炎症などの症状がみられる場合には、専門医を受診して、医師に指示された適切な対策方法を行いましょう。
薬用シャンプーの使用
(出典:(15)フケ症に対する0.75%硝酸ミコナゾール配合シャンプーの有用性の検討-シャンプー基剤を対照とした二重盲検比較試験) (出典:(16)私の治療方針)フケ対策のふたつ目の方法は、薬用シャンプーの使用です。硝酸ミコナゾールが配合されたシャンプーなどで、定期的かつ丁寧に頭を洗いましょう。
厚いフケが頭皮に付着しているときにはオリーブオイルやワセリンなどを使って、フケを柔らかくさせるのも効果的です。オリーブオイルやワセリンを患部に塗布し、蒸しタオルで温めます。柔らかくなったフケは石鹸できれいに洗い流してください。
頭皮にかゆみが出ているときはつい爪でかきたくなってしまいますが、頭皮を傷つけてしまう恐れがあるため避けましょう。
頭皮マッサージ
(出典:(17)地肌マッサージの頭皮への作用) (出典:(18)頭皮マッサージの生理的,心理的指標に及ぼす効果) (出典:(19)「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響)フケ対策の3つ目の方法は頭皮マッサージです。頭皮マッサージを行い頭皮に適度に刺激が加わることで、血行がよくなり頭皮が柔らかくなる効果が期待できます。
3分間程度の短時間のマッサージでも血行促進作用が期待できるので、入浴時などの習慣にするとよいでしょう。
マッサージをすると地肌が動きやすくなり、1週間以上連続して行うとさらに効果が見込めるため、継続して行うのがおすすめです。
マッサージのご紹介
ここでは頭皮マッサージの方法を紹介します。
1.指の腹で頭皮をつかみ、クルクルと円を描くように3回動かし指圧を3秒する。
2.1を頭皮全体の6~8箇所に行う。
3.人差し指と中指で頭皮を圧迫しながら上に引き上げる。もみ上げ周辺から間隔をあけながら生え際に沿って頭の中心まで移動する。
4.中指を人差し指の上に重ねて額の生え際の中心に置き、頭皮を圧迫しながら小さな円を描くように動かす。少し間隔をあけながら頭頂部まで移動する。
5.頭頂部で3秒間強めに指圧し、ゆっくりと力を抜きながら指を離す。
6.指をこめかみの生え際にあてて頭皮を引き上げるように、強めに圧迫しながら手ぐしを通す。生え際から頭頂部を通り、後頭部へと2回流す。
爪を立てずにやさしく地肌を押さえていくのがポイントです。
指で頭皮を圧迫しながらするマッサージは、集中力を高める効果も期待できます。すっきりとした感覚を得られて、気分もリフレッシュできるでしょう。ぜひ試してみてください。
まとめ
フケはシャンプーのすすぎ残し・乾燥・ストレス・食べ物などの影響を受けて発生します。
対策するには生活の見直しを行うほか、専門医への相談や薬用シャンプーの使用を検討してください。
頭皮マッサージは頭皮の血行促進効果やリフレッシュ効果によってフケの改善が期待できるため、ぜひ行ってみてください。
- 1)日本香粧品学会誌 2018年42巻4号p.270-279
- 2)藍野学院紀要 (Bulletin of Aino Gakuin) 2005年03月31日18巻p.95-103
- 3)5)日本化粧品技術者会誌 1994年27巻4号p.535-545
- 4)8)繊維製品消費科学 1987年28巻6号p.219-226
- 6)日本化粧品技術者会誌 1993年27巻3号p.394-408
- 7)科学・技術研究 2013年2巻1号p.75-78
- 9)Medical Mycology Journal 2012年53巻2号p.97-102
- 10)厚生労働省 日本人の食事摂取基準 (2020年版)
- 11)日本食品標準成分表2020年版 (八訂)
- 12)日本医真菌学会雑誌 1999年40巻2号p.73-77
- 13)防菌防黴研究会 2009年9月37巻9号p.677-690
- 14)アレルギー 2017年66巻6号p.777-782
- 15)日本医真菌学会雑誌 1997年38巻1号p.87-97
- 16)皮膚 1974年16巻3号p.356-358
- 17)日本化粧品技術者会誌 2014年48巻2号p.97-103
- 18)日本化粧品技術者会誌 2013年47巻3号p.202-208
- 19)日本化粧品技術者会誌 2018年52巻3号p.187-196