皮膚科・形成外科領域のレーザー治療、及びアレルギー疾患の総合的治療が専門です。皮膚科、美容皮膚科、形成外科、美容外科、耳鼻咽喉科、呼吸器内科、アレルギー科を主体として、幅広い視点で総合的な診療を行っております。レーザー機器を導入した医療を行っており、幅広い年齢層を対象としたホームドクターとして、地域密着の診療に尽力しております。
監修者一覧
薄毛は全年代に共通する悩みです。しかし年齢によって薄毛の原因は違い、その対策や予防方法も変わってくることをご存知でしょうか。
薄毛の予防をするには、自分の薄毛の原因をしっかりと理解して対策を行うことが重要です。
この記事では年齢別の薄毛の原因から、自分が薄毛になりやすいかどうかを調べる方法まで解説しています。
目次
自分が薄毛だと感じた年齢は?
(出典:(1)「薄毛に関する意識調査2020」(株式会社リクルートライフスタイル ホットペッパービューティーアカデミー)
抜け毛の量が増えた、なんだか同年代に比べて髪が薄いような気がする、このように感じたことはありませんか?
調査によると
男性では30代から薄毛が気になりだしたと答えています。
まだ若いからと安心するのではなく、早めに対策を始めましょう。
そもそも薄毛とは
男性型脱毛症
(出典:(2)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
男性は年齢を重ねるにつれ、抜け毛や薄毛の悩みが多くなる傾向にあります。その1番の原因が男性型脱毛症、いわゆる「AGA」です。
AGAは男性ホルモンの一種であるテストステロンが、体内の特殊な酵素5αリダクターゼによってジヒドロテストステロン (DHT) に変換され、毛母細胞に脱毛するよう刺激を送ることで髪が抜け落ちる進行性の疾患です。
AGAが発症するかどうかは、遺伝による5αリダクターゼの量、毛母細胞のDHTに対する感度の違いによっても左右されます。
そのためAGA になりやすい遺伝的要素を受け継いでいても、必ずしも発症するとは限りません。
正常なヘアサイクルとは
(出典:(3)毛髪の科学と診断 第4版)
健康な髪の毛は3段階のヘアサイクルを経て抜け落ちていきます。髪の毛が発育する成長期、成長が止まる退行期、抜け落ちていく休止期。この3段階を2年~6年をかけて終えるのが通常の髪の毛のヘアサイクルです。
しかし薄毛の場合、成長期が異常に短くなったり、休止期を終えても新しい髪の毛が生えてこなかったりすることで徐々に髪の本数が減少していきます。
人間の髪の毛は通常1日で50~70本前後が抜け落ちるといわれているため、抜け毛自体が異常なのではありません。
しかし毎日150本以上の抜け毛がある、抜け毛の色形が異常であるという場合は、異常脱毛の可能性があります。
どの年齢の人にいもいえる薄毛の原因
遺伝的要素
(出典:(4)薄毛・脱毛の原因遺伝子の発見 キューティクル層を構成する Sox21 タンパク質の機能)
親族に薄毛の方がいる場合、自分の髪の将来を不安に思ったことはありませんか?
薄毛の要因として確かに遺伝的要素の影響はあります。しかしそれだけでは必ずしも薄毛になるとは限りません。
薄毛になるかどうかは男性ホルモンや酵素の量、また髪質や脱毛の指令を受け取る感受性などの要素が絡み合い発症します。
たとえ薄毛になりやすい遺伝子を引き継いでも、予防や対策も可能なので諦めずに始めてみましょう。
皮脂分泌過剰
(出典:(5)洗浄料とその作用)
頭皮を乾燥から防ぎ、弱酸性に保つ働きをしているのが皮脂の役割です。しかし皮脂が過剰に分泌されると毛穴を塞ぎ、雑菌が繁殖し、衛生環境が悪化してしまいます。
皮脂の過剰分泌は、洗浄力の強いシャンプーによる乾燥や、油分の多い食事などが原因です。
薄毛を予防するには頭皮を清潔に保ち、食事や頭皮ケアを適切に行いましょう。
ストレス
(出典:(6)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
ストレスがたまると血行不良が起きたり、自律神経が乱れたりして髪に栄養が行き届きにくなります。
適度な運動や趣味でストレスを溜めすぎないようにしましょう。
血行不良
(出典:(7)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)
薄毛を予防するには頭皮の血行を促し、髪の成長に必要な栄養分をたっぷり送ることが大切です。喫煙や、ストレス、運動不足、睡眠不足などは血行不良の原因です。
薄毛になる年齢は低年齢化してきている
薄毛が気になり始める年齢は20代が最も多いことは先の項目でもお伝えしましたが、年齢が上がるにつれて薄毛や抜け毛について考える機会は増えていきます。
薄毛が最も進行しやすいのは30代~50代の中高年世代といわれていた以前に比べ、最近では早い方だと10代や20代でも薄毛が進行し始めています。
年代によって薄毛になる原因は違うので、それぞれの世代で薄毛の原因を抑えて、しっかり対策を行っていきましょう。
年齢別!男性の薄毛の原因
30代までの場合
(出典:(8)男性型脱毛症(AGA) 治療の若返り効果)
30代の薄毛や抜け毛の原因は生活習慣の乱れや男性型脱毛症 (AGA) の可能性が考えられます。
40代の場合
(出典:(9)男性型脱毛症(AGA) 治療の若返り効果,(10)疲労とストレス)
40代の薄毛の原因は男性型脱毛症 (AGA) や、ストレスによる自律神経やホルモンバランスの乱れなどです。
40代は仕事でも管理職などの役職につく方も増え、ストレスや疲労が重なり、アルコールや脂肪分の多い食事など食生活の乱れが起きやすくなる年代です。
それらが重なると頭皮からは皮脂が過剰に分泌され、頭の匂いやベタつき、抜け毛などを進行させる原因となります。
壮年期の場合
(出典:(11)男性型脱毛症(AGA) 治療の若返り効果)
壮年期の脱毛は老化によるものとAGAによるものが考えられます。
60歳以降の脱毛は老人性脱毛症ともいわれ、細胞が弱り、ヘアサイクルの成長期が短く頭部全体が薄くなるのが特徴です。
老人性脱毛症は個人差も大きく、生物としての老化現象であるため進行を止めることはできません。
またAGAと併発しているケースも多く見られます。
薄毛になる年齢を知る方法
自分が薄毛になりやすいかどうか、気になる方も多いと思います。AGAになりやすい遺伝的要素を強く持っている場合、若くして薄毛になりやすい傾向があります。
ヘアクリニックでは毛髪を採取して、自分がAGAになりやすい遺伝要素を持っているかどうかを調べる、遺伝子検査サービスを受けられます。
またインターネット通販でも遺伝子検査キットが販売され、これは購入後にだ液を採取し、同意書と共に専門機関に返送することで結果がわかるサービスです。
もし自分がAGAになりやすい体質とわかった場合、クリニックで専門家によるアドバイスも受けられます。
気になる方は一度調べてみてはいかがでしょうか。
薄毛の年齢のまとめ
この記事では年代別の薄毛の原因、薄毛になりやすい年齢調べる方法などをご紹介しました。
自分が遺伝的に薄毛になりやすいかどうかがわかっていれば、早期にその対策や予防ができます。また自分の薄毛の原因を知らなければ、正しい対策は行えません。
今から薄毛の予防対策を始めることは、将来の自分を助けることになります。自分の年齢に合った薄毛の原因を知り、適切な予防を行っていきましょう。
- 1).リクルート/ 2020年薄毛調査 報告書
- 2).日本香粧品学会誌/42 巻 (2018) 2 号/ p. 93-97
- 3).毛髪の科学と診断 第4版 / 薬事日報社, 2012.11 / P.46
- 4).化学と生物/48 巻 (2010) 1 号/2010 年 48 巻 1 号 p. 4-6
- 5).日本香粧品学会誌 Vol. 42, No. 4, pp. 270–279 (2018)
- 6).植木理恵:都民公開 講座アンチエイジング 順天堂醫事雑誌.2013:59 :P. 327〜330
- 7).J. Son. Cosmet. Chem. Jpn. 52(1) : 16-23
- 8).9).11).国際抗老化再生医療学会雑誌 第 1 号(36−39)2018
- 10).バイオメカニズム学会誌/21 巻 (1997) 2 号/書誌