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頭皮に痒みが生じていても「そのうち治るだろう」と思い、あまり気にしない人もいるのではないでしょうか。しかし頭皮の痒みを放置すると、薄毛に繋がる可能性があるので注意が必要です。
この記事では、頭皮が痒くなる原因や対処方法を紹介します。
頭皮の痒みは適切な対処方法を行うことで、改善される可能性が高いため、痒みに困っている人は参考にしてください。
目次
痒い頭皮を放置すると薄毛に繋がる可能性がある
頭皮に痒みがあるまま放置すると、抜け毛や薄毛に繋がる可能性があります。頭皮に痒みがある場合は、頭皮の環境が悪化している可能性があるため放置してはいけません。
痒みを放置してしまうと、治療までに時間がかかる、抜け毛が増えるなどの可能性があります。
頭皮が痒くなる原因
頭皮が痒くなる場合は、以下の原因が考えられます。
それぞれの痒くなる原因を詳しく解説します。
頭皮の乾燥
頭皮が乾燥するとバリア機能が低下し、アレルギー反応の原因になるアレルゲンが体内に侵入することで、痒みや赤みなどのトラブルが発生します。乾燥した肌は外的刺激に弱くなるため、痒みを感じやすくなります。
頭皮は水分不足や、ドライヤーの当て方が良くないと乾燥しやすいです。またエアコンを多用する環境にいる場合も、頭皮は乾燥しやすい傾向にあります。
皮脂や老廃物
(出典:(1)病的皮膚への化粧指導)
皮脂が多量に分泌されると雑菌が増殖してしまい、過酸化脂質という刺激性の物質に変化して痒みが発生します。
皮脂が増える理由は、カロリーの摂りすぎや睡眠不足などです。また毎日1回のシャンプーを行わない場合、頭皮の汚れが落とせていないため、汚れが溜まりやすくなります。
他にもターンオーバーのサイクルが乱れてしまい、健康な頭皮が維持できなくなると、皮脂や老廃物が増えやすくなるのです。
適切でないシャンプーの仕方
(出典:(2)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価 ―頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験―)
1日に2回以上シャンプーをすると、皮脂を落としすぎてバリア機能が低下し、痒みが発生する原因になります。
またシャンプーの仕方が適切でも、洗浄力が強いシャンプーを使っている場合は皮脂を落としすぎているかもしれません。皮脂を落としすぎてしまうと、皮脂が過剰分泌される原因となるため、使用するシャンプーにも注意しましょう。
さらにシャンプーのすすぎが不十分な場合、頭皮に洗浄成分が残ってしまい、刺激を与え続けて皮脂が増える可能性があります。
アタマジラミ
アタマジラミは、人の頭髪に寄生して吸血することで痒みや湿疹を引き起こす寄生虫です。主に子どもの頭髪に生息し、大人には生息しにくいといわれています。
子どもよりも大人のほうがヘアケアを丁寧に行うため、大人には生息しにくいと考えられていますが、子どもと頭をくっつけて遊んだときなどに、大人にも寄生することがあります。
子どもが頭皮を痒がっているときは、皮膚科を受診しましょう。
パーマやヘアカラー
パーマやヘアカラーにより頭皮や毛髪がpH9~10程度のアルカリ性に傾くため、頭皮や毛髪に最適な弱酸性(pH4~6)ではなくなってしまいます。
結果的に頭皮や毛髪に良くない環境になってしまうため、定期的にパーマやヘアカラーを行うと外的刺激に弱くなり、痒みなどのトラブルを引き起こします。
とはいえパーマやヘアカラーをして身だしなみに気をつけなければならない場面も少なくありません。その場合は専門のクリニックなどを受診して、個別に最適な提案を受けると良いでしょう。
運動不足
運動不足になると全身の循環機能が悪くなり、毛細血管への血流が滞りやすくなります。
血液には酸素や栄養分を運搬する働きがあるため、血行不良になると頭皮に必要な栄養素が行き渡らなくなり、頭皮環境が悪化して痒くなることがあるのです。
皮膚疾患
(出典:(3)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018)
アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患により頭皮に痒みが発生します。
アレルギー症状や皮膚の炎症は、生活習慣や肌体質が絡み合った結果起こる可能性があるものです。治りにくい傾向にあり、誤った処置を行うと悪化する可能性があります。
また頭皮を掻きむしってしまうと脱毛症を引き起こすこともあるため、皮膚疾患の場合は皮膚科などで専門医に相談しましょう。
頭皮が痒いときの対処方法
頭皮が痒いときは、以下の対処方法を行いましょう。
それぞれの対処方法を詳しく説明します。
医師の診察を受ける
頭皮が痒い場合は原因の特定が大切です。自己判断だと誤った処置により薄毛を招く可能性があるため、医師に診察してもらいましょう。
医師の診察を受けることで、食生活や生活習慣などのカウンセリングが受けられることもあります。
処方される薬は痒みの原因によって異なりますが、ステロイドや抗真菌薬などを処方されることが一般的です。
市販薬を使用する
頭皮の痒みを抑える市販薬を使うと、痒みは改善される可能性があります。
ただし市販薬は、痒みの原因によって適したものが変わります。原因を特定できていないときは、適切な市販薬が分からないため、闇雲に市販薬を使っても改善される可能性は低いです。
シャンプーの仕方を見直す
シャンプーの仕方を見直すことで頭皮の痒みは改善される可能性があります。また肌質に合っていないシャンプーを使っている可能性もあるため、シャンプーの種類も見直して肌質に合ったものを選んでください。
シャンプーを朝に行う人もいるかもしれませんが、眠っているときに皮脂が原因でマラセチア菌が増えて頭皮トラブルを起こすことがあるため、シャンプーは1日1回夜に行いましょう。
シャンプーをするときは、手のひらで泡立ててから頭皮につけて、指の腹で優しく洗ってください。
すすぎは丁寧かつ十分に行いましょう。耳の裏や前髪の生え際などは、洗い残しやすい場所のため、忘れずに丁寧にすすぎましょう。
生活習慣を見直す
(出典:(4)マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の 関係について,(5)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療,(6)ビタミンB2)
頭皮環境を整えるためには、食生活の見直しと運動不足の解消が大切です。
ストレスが溜まっていると暴飲暴食やスナック菓子の過剰摂取をしがちですが、頭皮環境が乱れる原因になるため控えましょう。
食事をするときは、髪の主成分であるタンパク質や亜鉛、ビタミンなどを摂取するように心がけてください。
運動不足の場合は、急に激しい運動を行うのではなく、軽いジョギングやウォーキングなどから始めて運動不足を解消しましょう。
頭皮が痒いときにやってはいけないこと
頭皮が痒いときに以下をやってしまうと、痒みが悪化する可能性があります。
頭皮の痒みを改善するために、これらは行わないように注意しましょう。
爪を立てて頭皮をかく
爪を立てて頭皮をかくと、頭皮を傷つけてしまう可能性があります。痒みが生じる場合でも、爪で頭皮をかかないように気をつけましょう。頭皮が痒い場合は、爪ではなく指の腹でかくと傷つきません。
また洗髪時に痒みがある箇所を触るときも、爪を立てるのではなく指の腹で洗うように徹底してください。
傷がある部位に塗り薬を塗る
痒みや赤みがある部位に自己判断で塗り薬を塗ると、現在の症状より悪化する可能性があります。医師や薬剤師に相談して、使用して問題ないといわれた塗り薬を使用するようにしましょう。
化膿や酷いただれになっている場合は、塗り薬を使う前に病院に行くと良いです。
ドライヤーを長時間使う
ドライヤーの熱風は、頭皮の水分を奪い乾燥状態を招いしてしまうため、長時間使用してはいけません。
ドライヤーを短時間で済ませるためには、ドライヤーをする前にタオルドライで水分を拭き取りましょう。
頭皮とドライヤーの距離を30cm以上離して、常にヘッドを動かしてまんべんなく乾かしてください。
ドライヤーが低温設定にできる場合や、低温モードに切り替えられる場合は、8割程度髪の毛が乾いた段階で冷風に切り替えると良いです。
頭皮が痒いときは早めに医師に相談しよう
頭皮が痒くなる原因は、皮脂や老廃物による場合は適切でないシャンプーの仕方などをはじめとした、さまざまなことが考えられます。
原因によって対処方法が異なるため、誤った対処方法をすると痒みの悪化や薄毛を招く可能性があるため注意が必要です。
痒みは放置しがちな症状ですが、そのままにしているとさらに痒みが増して頭皮環境が悪化し、抜け毛や薄毛に繋がる可能性があります。頭皮が痒いときは早めに医師に相談して適切に対処しましょう。