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髪を健やかに保つうえで、ヘアサイクルを正常に保つことは必要不可欠です。しかし実際どんな仕組みで、なぜ正常に保つべきなのか、わからない人も多いでしょう。
この記事ではヘアサイクルの3つのステージと正常な抜け毛本数、ヘアサイクルが乱れる原因を解説しています。
サイクルが乱れた場合の対処法も紹介しているので、参考にしてください。
目次
ヘアサイクルとは
ヘアサイクルとは、髪が生え変わる周期のことです。髪には1本ごとに寿命があり、古くなった髪の毛は抜けて、数ヶ月ほどで新しい髪の毛に入れ替わります。
ヘアサイクルの3つのステージ
(出典:(1)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
ヘアサイクルには、成長期・退行期・休止期の3つのステージがあります。髪はこの3つの時期を繰り返すことで、生え変わっているのです。
それぞれのステージがどんなものか詳しく解説します。
成長期
成長期とはその名のとおり、髪が成長をする時期のことです。毛母細胞の分裂が活発なため、髪がしっかりと成長していきます。
生えている髪の85~90%は成長期のもので、その期間は2~6年です。成長期はさらに細かく以下の3段階に分けられます。
早期 | 毛母細胞の分裂が活発に行われる |
中期 | 髪が成長し始め産毛となる |
後期 | 髪が太く長く成長する |
早期・中期・後期の段階を経て髪は成長していき、成長期が長いほど髪は丈夫になります。
退行期
退行期とは成長期の次の段階で、髪の成長が緩やかになっていく時期です。毛母細胞への栄養供給が弱くなり、髪の成長が遅くなります。
この時期の髪はブラッシングやシャンプーで抜けやすいため、一時的に抜け毛が増えたと感じるかもしれません。しかしヘアサイクルでの自然な流れで、あまりにも大量の抜け毛でなければ過度の心配は不要です。
退行期の期間は2~3週間ほどで、髪全体の約1%を占めています。
休止期
休止期に入ると毛母細胞への栄養供給が止まるため、髪は成長しません。栄養が供給されなくなった髪は、自然に抜けていきます。休止期の髪は全体の10~20%で、期間は3~4ヶ月です。
休止期はやがて発生期へと進む準備段階で、毛根では新しい髪を作る準備が行われています。
正常なヘアサイクルで抜ける髪の量
(出典:(2)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
ヘアサイクルが正常な場合、1日に50~100本程度髪の毛が抜けます。
「シャンプー中によく髪が抜ける」と不安になる人もいますが、1日に抜ける本数の約6割がシャンプー時に抜けるので多く感じてしまうだけです。そのため抜け毛が30~60本程度でも、心配する必要はありません。
ヘアサイクルの乱れは薄毛の原因になる
(出典:(3)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
ヘアサイクルの乱れは、薄毛に繋がるため注意が必要です。成長期が短くなり休止期が長くなることで、髪が十分に育たなくなり、短くて細い髪の毛が増えてしまいます。
またヘアサイクルが乱れると髪が弱々しくなるだけでなく、抜け毛も増えやすくなります。多少の抜け毛ならまだしも、生え際や頭頂部の髪が明らかに減る場合もあるので要注意です。
薄毛を食い止めるには、早い段階で原因を突き止めて対処することが大切です。
ヘアサイクルが乱れる原因
ヘアサイクルが乱れる原因は以下などです。
ストレス
(出典:(4)画像解析によるマウスの体毛成長の評価
ストレスはヘアサイクルが乱れる大きな原因の一つといえます。ストレスで交感神経が優位になると、血管が収縮し頭皮が血行不良になるからです。すると髪や頭皮に栄養が行き渡りづらくなるため、ヘアサイクルの乱れに繋がります。
睡眠不足
(出典:(5)第3章 主な医薬品とその作用)
睡眠不足もヘアサイクルが乱れる原因の一つとなります。睡眠不足だと髪の生成に必要な成長ホルモンの分泌が減ってしまうからです。
また睡眠不足は頭皮の血管収縮にも繋がります。頭皮が血行不良になり、髪に必要な栄養素が行き渡りづらくなるため髪の成長が妨げられます。
栄養不足
(出典:(6)e-ヘルスネット たんぱく質)
ヘアサイクルは栄養不足でも乱れてしまいます。髪の生成にはタンパク質などをはじめとした、さまざまな栄養が必要不可欠だからです。
栄養不足の原因は、過度なダイエットや外食・コンビニ食の頻度が高いことが挙げられます。栄養バランスの悪い食事をすると髪の状態が悪くなります。
外食やコンビニ食をせざるをえない状況の人は、糖質や脂質過多にならないよう注意してみてください。
過度の飲酒
(出典:(7)厚生労働省eJIM)
過度の飲酒も髪にとって良くありません。アルコールを分解する際に、髪の生成に必要な亜鉛をはじめ、多量の栄養素を消費してしまうからです。すると髪への栄養不足を招き、ヘアサイクルが乱れてしまいます。
髪の栄養不足を防ぐために、飲酒は極力控えましょう。
季節の変化
ヘアサイクルは季節の変化でも乱れるといわれています。なぜなら成長期の髪の比率は、季節によって変化しているからです。
休止期の毛の量がピークになるのは、7月といわれています。休止期は3ヶ月かけて終了するので、10月くらいまでは抜け毛が増加すると考えておきましょう。
季節の変化によるヘアサイクルの乱れは自然なものなので、心配する必要はありません。
AGA (男性型脱毛症)
(出典:(8)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))
ヘアサイクルを乱す大きな原因の一つといわれているのが、AGA (男性型脱毛症) です。AGAになると成長期が数ヶ月~1年ほどになり、その分早く退行期に移行するため、髪の成長が遅くなります。
ヘアサイクルの乱れによって起こる薄毛の大半は、AGAが原因といわれています。AGAは放置すると進行するので、できるだけ早く対処しましょう。
乱れたヘアサイクルを整える方法
乱れてしまったヘアサイクルを整える方法は、以下になります。
まずは生活習慣を整え、それでも改善されない場合はAGA治療も視野に入れましょう。
生活習慣を整える
生活習慣が原因でヘアサイクルが乱れている場合、悪い習慣を改善することでヘアサイクルが正常化することがあります。具体的には以下に気をつけましょう。
できることから取り組んでいきましょう。
ストレスを溜めない
ヘアサイクルを整えるには、極力ストレスを溜めないようにすることも大切です。ストレスをうまく発散できるようになれば、頭皮の血行不良の改善が期待できます。
ストレス発散法の一例は以下のとおりです。
人によってベストなストレス発散法は違います。いろいろと試してみて、自分にとって最適な方法を見つけましょう。
AGA治療
ヘアサイクルの乱れを改善する、最も効果的な方法はAGA治療です。ヘアサイクルが乱れる原因となる物質に直接働きかけるので、高い改善効果が期待できます。
AGA治療では内服薬や外用薬を使うのが一般的です。薬には薄毛の進行を予防するタイプと、薄くなった部位を発毛させるタイプがあるので医師に相談しましょう。AGAの進行度合いや自身の希望に合わせて、適切な薬を処方してくれます。
ヘアサイクルを整えて健やかな髪を保とう
ヘアサイクルによって古い髪の毛が抜けて新しい髪の毛に生え変わり、健やかな髪が保たれます。しかしヘアサイクルが乱れてしまうと、髪が十分に成長しきれなくなるので注意が必要です。
ヘアサイクルが乱れて薄毛になる原因はさまざまですが、生活習慣とAGAが大きな原因といえます。
生活習慣を整えても薄毛が改善されないようであれば、AGAかどうか一度診断してもらいましょう。