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学生で薄毛が気になる人は少なくありません。「頭頂部が前より薄くなった」「抜け毛が増えた」などと感じている人も多いのではないでしょうか。
薄毛は年を取ってからなるイメージがありますが、学生の間から進行しはじめることがあります。
本記事では、学生の薄毛で考えられる原因や症状、学生におすすめの薄毛対策などを紹介します。学生のうちから薄毛が気になっている人はぜひ参考にしてみてください。
目次
学生でも薄毛になることはある
薄毛に悩まされるのは年を取ってからのイメージがありますが、10代後半〜20代前半の学生でもなる人はいます。
若いときに起こる薄毛は若年性男性脱毛症といいます。若年性男性脱毛症の症状は、年を取ってから起こるものとほとんど同じです。
学生の薄毛で考えられる原因
学生の薄毛の原因として考えられることは7つあります。
AGA体質
(出典:(1)男性型脱毛–その特性と未来像)原因としてまず挙げられるのがAGA (男性型脱毛症) です。AGAとは、「Androgenetic Alopecia」の略で、思春期以降の男性に起こる薄毛を意味します。
AGAの特徴は、生え際やつむじ周辺の薄毛が目立つことや、一度発症すると進行が止まらないことなどです。
思春期以降の男性であれば起こりうるので、まだ若いからといって油断はできません。また遺伝することが多く、家族に髪の毛の薄い人がいる場合は、AGAになる可能性が高いと考えられます。
ストレス
(出典:(2)画像解析によるマウスの体毛成長の評価)(出典:(3)疲労とストレス)
ストレスが関係していることもあります。ストレスを感じることで自律神経が乱れて血行不良になり、頭皮に栄養がいきづらくなるからです。
髪の毛の薄さが気になるストレスで、さらに薄毛が進行する悪循環に陥っている人も少なくありません。
不規則な生活習慣
(出典:(4)第3章 主な医薬品とその作用)(出典:(5)マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について)
不規則な生活習慣が原因になることもあります。不規則な生活習慣とは、睡眠不足の生活が続いている、栄養バランスが偏った食生活を送っているなどです。
髪の毛を含めて人間の体は食事からの栄養や、睡眠中に出る成長ホルモンによって成長します。それらが欠けた状態では、髪の毛がきちんと育たなくなってしまう可能性があります。
夜更かしをよくする人やジャンクフードをよく食べる人は要注意です。
運動不足
(出典:(6)顕微鏡血流観察による有酸素運動前後の毛細血管血流速度の定量)運動不足が抜け毛を引き起こしている場合もあります。運動不足は血行不良や、新陳代謝の低下につながることがあるからです。
その影響で頭皮まで栄養が十分に届かないと、髪の毛が成長できなくなってしまう可能性があります。
不適切なヘアケア
(出典:(7)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価―頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験―)(出典:(8)トピック1 放射線性皮膚炎に対するケア)
誤ったヘアケアもよくありません。たとえばシャンプーのしすぎが挙げられます。
汚れを落そうとシャンプーをしすぎると、本来必要だった皮脂まで落としてしまうからです。皮脂が必要以上に取り除かれてしまうと、皮膚のバリア機能が低下して頭皮の環境が悪くなってしまいます。
またブラッシングの際に頭皮にくしを当てることや、髪の毛を乾かすときにドライヤーの熱風を頭皮に近づけて当てることも誤ったヘアケアです。
皮膚炎
(出典:(9)Malasseziaと脂漏性皮膚炎・アトピー性皮膚炎)(出典:(10)頭皮トラブルが毛髪物性に及ぼす影響と植物由来エキスによるその予防)
アトピー性皮膚炎や皮脂の過剰分泌が原因で起こる脂漏性皮膚炎なども、髪の毛が薄くなる原因になります。皮膚炎によって頭皮の環境が悪化し、抜け毛が進行することがあるからです。
喫煙
(出典:(11)喫煙の血行器に及ぼす影響 : 第一報 禁煙後に於ける喫煙の血行器に及ぼす影響)喫煙は髪の毛の成長を抑制する可能性があります。喫煙と髪の相関関係は見つかっていませんが、喫煙することで血流が悪くなり、髪の毛に栄養が届きづらくなることなどが考えられます。
成人済みでタバコを吸っている人はもちろん、20歳を迎えたらたばこを吸おうと考えている人は、髪の毛のためにも控えることを検討してみましょう。
学生の薄毛の症状
学生の薄毛の症状は大きく分けて4つあります。
髪の毛の軟毛・軟弱化
髪の毛にハリやコシがなくなってくることがあります。以前よりも髪の毛がやわらかくなった、スタイリングが長持ちしないなどの場合は要注意です。
細く短い抜け毛の増加
(出典:(12)髪の毛の生物学)細くて短い抜け毛が多いことも挙げられます。ヘアサイクルが乱れると髪の毛の成長期が大幅に短くなり、髪の毛がしっかり成長する前に抜け落ちてしまいます。
髪の毛は通常2〜6年かけて成長しますが、薄毛が進行すると半年〜1年ほどに短縮してしまうことは少なくありません。
自分の抜け毛が細くて短いかどうかを一度確認してみるとよいでしょう。
頭頂部の髪の毛の減少
頭頂部の髪の毛が減り、つむじ周辺の頭皮が透けて見えることも症状のひとつです。つむじ周辺の髪の毛の減少は、ヘアケアをきっかけに気付くことが多いです。
つむじが前より大きく見えるようになっていないか、頭頂部のボリュームが減っていないかなど観察してみましょう。
生え際の後退
生え際の後退もよくある症状です。AGAの場合は髪の毛が薄くなる箇所と進行具合が特徴的で、脱毛しやすいのは前頭部や頭頂部です。
「前髪の量が減った」「生え際がM字型になった気がする」など心当たりのある人は要注意です。
生え際が年々後退している場合は、今後も進行する可能性があるので早めに対処していきましょう。
学生におすすめの薄毛対策
学生で薄毛になっても、遺伝でなければ改善する見込みが高いので、早めに対策をしていくことが大切です。
学生におすすめの対策は6つあります。どれもすぐに取り組めることなので、できることからはじめてみましょう。
生活習慣を正す
まずは以下の3つの生活習慣を正していきましょう。
バランスが整った食事をとる
(出典:(13)e-ヘルスネット たんぱく質)(出典:(14)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療)
ジャンクフードを控え、タンパク質を中心とした栄養バランスが整った食生活を送りましょう。タンパク質は髪の毛を作る原料となる栄養素なので、髪の成長に必要不可欠です。
タンパク質の他には、亜鉛やビタミン類も積極的に摂取しましょう。
亜鉛は複数のアミノ酸が結合してできたタンパク質の一種「ケラチン」の合成をサポートする働きがあります。ケラチンは髪の主成分なので、亜鉛不足にならないようにしましょう。
ビタミンはアミノ酸の代謝に関与する補酵素として働き、髪の毛の成長をサポートします。
タンパク質は肉や納豆、卵に、亜鉛は牡蠣やわかめ、赤身肉に、ビタミン類は緑黄色野菜やナッツ、レバーなどに含まれます。
運動をする
(出典:(15)顕微鏡血流観察による有酸素運動前後の毛細血管血流速度の定量)適度に運動することも大切で、中でも有酸素運動をおこなうとよいでしょう。有酸素運動をすることで血行が良くなり、髪の毛まで栄養が届きやすくなるからです。
また運動はストレス発散にもつながります。ウォーキングやヨガ、サイクリングなどであれば、無理なく手軽にはじめられるでしょう。
睡眠の質を上げる
睡眠の質を上げていきましょう。
睡眠の質を上げるためには、上記を実行してみてください。
ストレスを減らす
ストレスを感じやすい・溜めやすい人は、なるべく気軽な気持ちで過ごしたり、自分に合ったストレス発散法を実行したりしましょう。
手軽にできるストレス発散法は、以下などがあります。
また可能であれば、ストレスの原因自体を排除できないか考えてみてください。
正しいヘアケアをする
頭皮に負担を与えない正しいヘアケアを実践しましょう。シャンプーをするときは、以下のことに気を付けてみてください。
洗浄力の高いシャンプーを使うと必要な皮脂まで落としてしまう可能性があります。そのため頭皮に負担の少ないシャンプーを選択するとよいでしょう。
頭皮に負担の少ないシャンプーとして、アミノ酸系シャンプーがおすすめです。
またヘアワックスやスプレーを使用した際は、洗い残しにも注意しなければいけません。
正しいヘアケアで頭皮の環境を清潔に保てるように意識しておきましょう。
頭皮マッサージをする
(出典:(16)地肌マッサージの頭皮への作用)学生におすすめの対策には頭皮マッサージもあります。頭皮マッサージをすることで、血行が改善されて頭皮に栄養が届きやすくなるからです。
やり方は指に適度な力を入れて頭皮をもみほぐすだけです。体が温まって血行がよくなる入浴中にすると、よりよいでしょう。
育毛剤を使用する
初期段階には、育毛剤などを薬剤師に相談して使用するのもひとつです。ただし未成年の場合、発毛剤は使用することができません。
AGA治療を検討する
髪の毛の薄さが目立って気になる人は、AGA治療を検討してみるのもよいでしょう。
AGA治療は基本的に薬を服用または塗布するだけで、入院や手術は必要ありません。施術が必要となるのは、栄養分を頭皮に注入したり、毛を移植したりする治療法を選択した場合のみです。
親権者の同意があれば未成年でも受診できるクリニックもありますが、AGA治療は一般的に20歳以上から受けられます。
学生でも薄毛対策が必要!
学生の薄毛で考えられる原因は、AGA体質であることやストレスの関与、不規則な生活習慣などがあります。
以前より髪の毛が弱々しい、細くて短い抜け毛が多いなどの場合は、一度チェックしてみてください。また症状が見られる場合は、早めに対処していくことが大切です。
生活習慣を正す、ストレスを減らす、頭皮マッサージをするなど、できることからはじめていきましょう。
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- 6).日温気物医誌第 78 巻 4 号 2015 年 10 月 353
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