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毎日シャンプーをしているのに頭皮がかゆい、フケが目立って気になるという人も多いのではないでしょうか。
フケが目立つのは頭皮環境が悪化しているサインで、放置していると薄毛の原因になることもあります。
本記事ではフケの対策に有効なシャンプーの選び方や、フケの予防につながるシャンプーのポイントなどを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
フケの原因はいったい何?
(出典:(1)フケ抑制剤の評価と開発に関する研究)
(出典:(2)ヘアケアの科学)
(出典:(3)私の治療方針)
そもそもフケとは古い角質が皮膚の表面から剥がれ落ちたもので、本来は目に見えない程度の大きさです。
肌の細胞が一定のサイクルで生まれ変わることをターンオーバーといい、なんらかの理由でターンオーバーに乱れが生じることで、目に見える大きさのフケが発生します。
目に見える大きさのフケを放っておくと、薄毛を引き起こす原因になることもあるため注意が必要です。
たとえばかゆみを感じて頭を掻いてしまうことで、物理的なダメージから抜け毛を引き起こしてしまいます。またフケが毛穴を塞ぐことで常在菌が髪の成長を阻害するひこう性脱毛症を引き起こす場合もあります。
フケが目立っているのは頭皮に異常があるサインなので、放っておかずに早めにケアしましょう。
乾燥とベタつき、2種類のフケがある
フケには乾性フケと脂性フケの2種類があります。それぞれフケが発生する原因や必要な対策が異なるため、自分はどちらのタイプのフケなのかをチェックしてみましょう。
乾性フケ
(出典:(4)フケ抑制剤の評価と開発に関する研究)乾性フケは白色で、乾燥した粉のような大きさです。乾燥肌の人に発生しやすく、過剰な洗髪により皮脂が不足することや頭皮の乾燥が主な原因になります。
とくに乾燥しやすい秋から冬にかけて発生しやすいため、必要な皮脂まで落とさないように洗髪することが大切です。
脂性フケ
(出典:(5)フケ症に対する0.75%硝酸ミコナゾール配合シャンプーの有用性の検討−シャンプー基剤を対照とした二重盲検比較試験−)
(出典:(6)Malasseziaと脂漏性皮膚炎・アトピー一性皮膚炎)
(出典:(7)マラセチア関連疾患)
脂性フケは黄色で油分を多く含んでべたべたしており、毛穴を覆うほどの大きさです。皮脂分泌が多い人に発生しやすく、過剰な皮脂分泌によりマラセチア菌が増殖することが主な原因になります。
高温多湿な梅雨から夏にかけて発生しやすいため、丁寧に洗髪して皮脂が残らないように気をつけましょう。
フケ対策に効果的なシャンプーの選び方
フケ対策に効果的なシャンプーの選び方は、以下の3つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
乾性フケなら保湿成分で選ぶのがおすすめ
(出典:(8)植物性セラミドの塗布および経口投与による皮膚保湿効果とその評価)
(出典:(9)ヒアルロン酸ナトリウムの保湿性)
頭皮の乾燥が原因のフケの対策をしたい方は、保湿成分が配合されたものを選びましょう。
保湿成分が多く含まれているシャンプーは頭皮にうるおいを与えて乾燥を防いでくれるため、乾性フケに効果的です。
シャンプーに配合されている代表的な保湿成分は、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリンです。乾性フケが気になる場合はこれらの成分が含まれたシャンプーを選んでみてください。
脂性フケなら抗菌成分で選ぶのがおすすめ
(出典:(10)フケ症に対するミコナゾール硝酸塩配合リンスの有用性の検討−基剤を対照とした二重盲検比較試験−)
(出典:(11)毛髪と藥 其二、脱毛症剤)
(出典:(12)高速液体クロマトグラフィーによる化粧品中のイソプロピルメチルフェノールの分析)
皮脂の過剰分泌が原因のフケの対策をしたい方は、抗菌成分が配合されたシャンプーを選びましょう。
抗菌成分が含まれたシャンプーは脂性フケの原因であるマラセチア菌の増殖を防げるため、頭皮を清潔に保つ効果があります。
シャンプーに配合されている抗菌成分で代表的なものは、ミコナゾール硝酸塩、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノールです。脂性フケが気になる場合はこれらの成分が含まれたシャンプーを選ぶのがおすすめです。
頭皮にかゆみ・炎症があるなら無添加のシャンプーがおすすめ
(出典:(13)カチオン性高分子と界面活性剤のコアセルベートに関する研究−シャンプー使用感へのコアセルベートの影響−)
(出典:(14)毛髪・頭皮にやさしい洗浄技術)
頭皮にかゆみや炎症がある場合は、頭皮環境を整えるために無添加のシャンプーを使用してください。
シャンプーには洗浄力を高めたりすすぎ性を向上させたりするために、さまざまな添加物が入っています。それらの成分にはメリットもありますが、かゆみや炎症を起こしている頭皮には刺激が強すぎてしまう場合があるため注意が必要です。
たとえばカオチン界面活性剤は髪のすすぎ性向上のために配合されており、髪や頭皮に吸着しやすい性質があります。一方で、頭皮に吸着したカオチン界面活性剤は残留しやすいため、デリケートな状態の頭皮は炎症を起こしやすくなってしまいます。
頭皮にかゆみや炎症があるときは、なるべく刺激の強い添加物を避けてシャンプーを選びましょう。
アレルギーなどが無ければ使用してもOK
(出典:(15)化粧品中の防腐剤の分析:サリチル酸,安息香酸ナトリウム,デヒドロ酢酸ナトリウム,ソルビン酸カリウム,フェノキシエタノール及びパラベン類)添加物を気にしてノンシリコンや香料フリー、防腐剤フリーなどさまざまなフリー処方のシャンプーを選ぶ方も多いでしょう。しかしアレルギーや炎症などがない場合は過度に気にする必要はありません。
たとえばバラペンなどの防腐剤は、高温多湿の浴室内でカビや菌などの繁殖を抑える効果があり、シャンプーの品質を保つために必要な成分です。
特定の成分に対するアレルギーが無いのであれば、無理に無添加のものにこだわる必要は無く、自分の髪質に合うものや好みの仕上がりになるものを使用しても問題ありません。
フケの発生を予防するために!シャンプーの注意点
(出典:(16)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価―頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験―
(出典:(17)入院患者の頭髪および頭皮のブドウ球菌の汚染状況と洗髪による汚染除去の効果)
目に見える大きさのフケの発生を予防するためには、適切なヘアケアを習慣化し頭皮環境を整えることが大切です。
洗髪をする前には、予洗いを十分に行いましょう。予洗いを行うだけで汚れの大半を落とすことができます。頭皮や髪の毛にまんべんなくお湯をかけていきましょう。
シャンプーを使う際には、直接頭につけるのではなく、手のひらでよく泡立ててから髪に馴染ませるのがポイントです。爪を立てたりゴシゴシと強い力で洗ったりすると頭皮の炎症につながるため、よく泡立てた状態で指の腹を使いやさしく洗うようにしましょう。過度なシャンプーは頭皮のバリア機能の低下につながるため、シャンプーのしすぎにも気をつけてください。
最後はしっかりとすすぎ洗いするのも大切です。汚れやスタイリング剤、シャンプーなどが残ってしまうと、頭皮が炎症を起こしやすくなるからです。
シャンプー後は湿気により頭皮に雑菌が繁殖しやすいです。入浴後はなるべく早く髪を乾かしましょう。
ドライヤーの熱も頭皮に負担がかかりやすいため、頭皮に近づけすぎたり、熱風を同じ場所に長時間当て続けたりしないように注意してください。
自分に合ったシャンプーを選んでフケ対策をしよう
フケには乾性フケと脂性フケがあり、フケのタイプや肌に合ったシャンプーを選ぶことで改善が期待できます。
フケは放っておくと薄毛の原因になることもあるため、自分に合ったシャンプーを選び、適切なヘアケアを習慣化して頭皮環境を整えていきましょう。
- 1).4).日本化粧品技術者会誌 27巻 (1993) 3号 p.394-408
- 2).講座(シリーズ) “変わる”生活と消費科学 9
- 3).皮膚 16巻 (1974) 3号 p.356-358
- 5).日本医真菌学会雑誌 38巻 (1997) 1号 p.87-97
- 6).日本医真菌学会雑誌 46巻 (2005) 3号 p.163-167
- 7).Medical Mycology Journal 53巻 (2012) 2号 p.97-102
- 8).臨床病理 55巻 (2007) 3号 p.209-215
- 9).皮膚 27巻 (1985) 2号 p.296-302
- 10).Medical Mycology Journal 52巻 (2011) 3号 p.229-237
- 11).毛髪と藥 1934年 10巻2号 p.9-12
- 12).BUNSEKI KAGAKU 29巻 (1980) 4号 p.272-275
- 13).日本化粧品技術者会誌 38巻 (2004) 3号 p.211-219
- 14).日本化粧品技術者会誌 47巻 (2003) 1号 p.3-8
- 15).国立医薬品食品衛生研究所報告 128号 (2010) p.85-90
- 16).日本香粧品学会誌 41巻 (2017) 1号 p.15–22
- 17).愛知県立大学看護学部紀要 21巻 (2015) 3号 p.21-29
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