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更新日:2024.01.12

頭皮にかさぶたができる原因と対処法

監修者紹介
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤 明男 医師
佐藤明男
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。  
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頭皮にかさぶたができて困ったことはありませんか?

かさぶたに違和感がありつい剥がしてしまうこともありますが、かえって悪化し抜け毛や炎症の原因になります。

改善するためにはシャンプーの工夫や生活習慣の見直しなど、日常的にできる頭皮ケアが大切です。本記事で頭皮のかさぶたの正しい対処法や予防法を見てみましょう。

 

頭皮にかさぶたができるとどうなる?

頭皮にかさぶたができるとどうなる?

頭皮にかさぶたができた後、どのようなことが起こるのでしょうか。状態がさらに悪くなると、ますます頭皮の健康が損なわれてしまいます。

かさぶたができると起こりやすい症例は以下の通りです。

引っ掻くことで炎症が悪化する

(出典:(1)長引くかゆみ、何回も引っ掻くと神経で増えるタンパク質が原因!―かゆみ治療薬開発への応用に期待―)
アトピー性皮膚炎接触皮膚炎、湿疹など、頭皮の疾患によってかさぶたができている場合、慢性的なかゆみによりつい引っ掻いてしまいます。

何度も掻いてしまうと、湿疹が広がったり炎症が悪化したりしやすいので注意が必要です。

かさぶたが治りきらないうちに引っ掻いて剥がすと、出血することがあります。傷口から雑菌が入り、さらに皮膚炎が進行することもあるでしょう。皮膚炎が悪化してしまった場合は、皮膚科で専門的な治療を受けなければなりません。

汁や膿が出る

(出典:(2)創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―1:創傷一般ガイドライン)
(出典:(3)重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤による接触皮膚炎)
(出典:(4)皮膚科Q&A)
頭皮にできたかさぶたから、汁が出る経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。これは滲出液と呼ばれるもので、傷を治す成分が含まれています。そのため汁が出ているだけで、不安に感じる必要はありません。

ただしかさぶたの原因がアレルギー性接触皮膚炎の場合でも、滲出液が出ることがあります。重症化するとリンパ節が腫れたり、皮膚炎が全身に拡大したりして発熱などが生じる危険性もあるため、早めに病院へ行きましょう。

また「とびひ」と呼ばれる状態になっている可能性もあります。とびひには水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹の2種類があり、かさぶたができるのは後者です。とびひの状態のかさぶたからは膿が出ることがあります。

AGAの原因になりうる?

(出典:(5)脂漏性皮膚炎 —臨床症状と各種外用剤の治療効果—)
(出典:(6)脂漏性皮膚炎)
(出典:(7)アトピー性皮膚炎患者における心身の状態と皮膚症状の関連性について)
(出典:(8)ストレスが被毛成長に及ぼす影響について)

結論からお伝えすると、頭皮のかさぶたが直接的にAGAの原因となるわけではありません

しかしストレスが原因で頭皮に炎症が起き、かさぶたができている場合には注意が必要です。なぜならストレスにより頭皮がダメージを受け続けると、ヘアサイクルの乱れにつながり、薄毛を進行させることがあるからです。

たとえば頭皮にかさぶたを生じさせる脂漏性皮膚炎は、内因性の原因としてストレスが考えられています。またアトピー性皮膚炎は心理的・身体ストレスによって皮膚症状が悪化することがあります。ストレスは毛髪の成長に抑制的な影響を及ぼすことがわかっているため、かさぶたの根本的な原因にストレスがある場合は薄毛のリスクも高いといえるのです。

 

頭皮にかさぶたができる原因は?

 頭皮にかさぶたができる原因は?

頭皮にかさぶたができる主な原因は、「皮膚疾患によるもの」と「生活習慣によるもの」に二分できます

疾患はかさぶたができる直接的な原因になっていることが特徴です。一方で生活習慣が原因の場合は、かさぶた以前に抜け毛やかゆみなどを生じることが多いです。

脂漏性皮膚炎

(出典:(9)脂漏性皮膚炎 —臨床症状と各種外用剤の治療効果—)
(出典:(10)Malasseziaと脂漏性皮膚炎・ アトピー性皮膚炎)

脂漏性皮膚炎 (しろうせいひふえん) は、頭皮・鼻・耳・胸部など皮脂の分泌が多い部位で起こる疾患です。

主症状として炎症やフケ、かさぶたなどがあり、乳幼児や子どもも含めて誰でも発症する可能性がある疾患です。頭皮にできるかさぶたは、脂漏性皮膚炎が原因であることが珍しくありません。

脂漏性皮膚炎の原因は、皮脂を好む真菌すなわちカビの一種であるマラセチア菌といわれています。マラセチア菌は皮膚に常在している菌ですが、なんらかの理由で過剰に増殖することにより皮膚炎を発症します。

脂漏性皮膚炎は正しい対処をしないと治りにくいといわれているため、頭皮のかさぶたが気になる場合は放置せず、早めに治療を始めましょう。

頭部白癬

(出典:(11)日本におけるTrichophyton tonsurans 感染症の疫学とその感染対策に関する研究)
(出典:(12)最近5年間に一診療所で経験された頭部白癬の集計)
頭部白癬 (とうぶはくせん) も頭皮にかさぶたができる疾患です。「しらくも」とも呼ばれ、子どもがなりやすい病気です。

症状はフケや抜け毛で、見た目は水虫に似ています。感染部位は炎症を起こして赤みを帯び、進行するとかさぶたを生じて汁や膿が出ることもあります。

頭部白癬の原因は、皮膚糸状菌と呼ばれる真菌です。白癬は「体部白癬」のように頭皮以外に生じる場合もあり、ペットが原因といわれることもあります。

治療には経口抗真菌薬を服用する方法が用いられ、一般的には時間がかかるといわれています。

睡眠不足や乾燥

(出典:(13)睡眠がメンタルヘルスに与える影響に関する研究動向と今後の展望 ――交替制勤務者に着目して――)
(出典:(14)毛髪・頭皮に優しい洗浄技術)
かさぶたができる原因となる頭皮トラブルは、ストレスや乾燥によって引き起こされることもあります。とくに睡眠不足によるストレスと深い関係があるといわれています

短い睡眠時間や低い睡眠効率は、交感神経を優位にする要因のひとつです。交感神経優位の状態は身体的・精神的な不調につながることから、睡眠不足がストレス関連の症状に結びつくといえます。

また健康的な頭皮環境を維持するためには、潤いも欠かせません。以下は頭皮の乾燥を招く主な原因です。

外気あるいはエアコンによる乾燥
頭皮に必要な水分や油分まで洗い流す過度な洗浄

頭皮環境の悪化にともなう炎症が発端となり、かさぶたが生じてしまいます。

頭皮のかさぶたの対策・予防法

頭皮のかさぶたの対策・予防法

頭皮にかさぶたを作らないための対策・予防法を3つ紹介します。

シャンプーを変える
ドライヤーの使い方に気を付ける
生活習慣を見直す

それぞれについての解説は以下の通りです。

シャンプーを変える

(出典:(15)脂漏性皮膚炎 —臨床症状と各種外用剤の治療効果—)
(出典:(16)フケ症に対する0.75%硝酸ミコナゾール配合シャンプーの有用性の検討-シャン プー基剤を対照とした二重盲検比較試験-)
(出典:(17)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
(出典:(18)次世代ニーズを予測するための解析手法の研究 ~シャンプー開発を例として~)
(出典:(19)頭皮および毛髪の状態改善方法)

脂漏性皮膚炎が原因でかさぶたができている場合は、抗真菌剤配合シャンプーを検討してみてください

真菌を退治する成分が入っているシャンプーなら、毎日のケアに役立ちます。ケトコナゾールやピロクトンオラミンなどの有効成分を含む「医薬部外品シャンプー」を使ってみましょう

一般的なシャンプーを使いたい場合は、頭皮への刺激が少ないアミノ酸系やベタイン系のシャンプーを選びましょう。

洗浄力の強いシャンプーは皮脂を落としすぎてしまい、乾燥によるフケやかゆみを招きます。かゆみが強くなって引っ掻いてしまうと、頭皮のかさぶたや皮膚炎の原因になるため注意しましょう。

ドライヤーの使い方に気を付ける

(出典:(20)毛髪にかかる負担を軽減するための吸引式ヘアドライヤーの開発)
頭皮の健康を守るために、日常でできる乾燥対策としてドライヤーの当て方に気をつけましょう。

髪を早く乾かそうとして、頭皮のすぐ近くで熱風を当てていませんか? 高温の風を長時間吹きつけていると、頭皮の水分が奪われて乾燥してしまいます。乾燥によって頭皮のバリア機能が低下すると、炎症のようなトラブルにもなりかねません。

ドライヤーをするときは髪からなるべく距離をとり、熱ダメージを緩和しましょう。さらにヘアオイルでケアするとより潤いを維持できます。

生活習慣を見直す

(出典:(21)睡眠ストレスによる身体情報の変化)
規則正しい生活で体のリズムを整え、ホルモンバランスや自律神経の乱れを予防しましょう

とくに十分な睡眠時間をとることは大切です。睡眠不足になると交感神経の活動が優位となり、副交感神経とのバランスが取れなくなります。そもそも慢性的にストレスに晒されている人は睡眠の質が下がりやすいことも指摘されています。

意識して睡眠をとるとともに、「リラックスする時間をとる」「趣味や気分転換でリフレッシュする」ことでこまめにストレス解消するように心がけましょう。

頭皮環境の悪化にもつながるストレスを緩和できれば、疾患や肌トラブルのリスクを軽減できます。

正しい頭皮ケアの方法とは

正しい頭皮ケアの方法とは

頭皮にかさぶたができている場合は適切なケアが必要です。以下のふたつのポイントをおさえておきましょう。

  • 正しい方法でシャンプーする
  • 市販薬は注意点をふまえて購入する

それぞれの方法を解説します。

正しいシャンプーのやり方

(出典:(22)洗髪技術のエビデンスに関する研究~予備洗いの有無による清浄度と快適性の検討~)

(出典:(23)洗浄料とその作用)
正しいシャンプーのやり方は以下のとおりです。

  1. シャンプー前にお湯で頭皮や髪をすすぐ (予洗い)
  2. 適量のシャンプーをよく泡立てて頭にのせる
  3. 頭皮と髪を指の腹でやさしく洗う
  4. すすぎ残しがないように十分お湯ですすぐ

予洗いは頭の菌や汚れを落としやすくするだけでなく、頭皮を温め、リラックス感や爽快感をもたらします。疲労感の軽減にもつながるでしょう。

シャンプーの時間をより充実したものにするためにも、予洗いをしてみましょう。

市販薬を購入するときは注意

(出典:(24)医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会の第5回資料) (出典:(25)1「薬(ステロイド軟こう)を使用しても良くならない成人アトピー性皮膚炎」の場合)

頭皮のかさぶたやかゆみをケアするために市販薬を購入する際には、薬の種類用法・用量に注意しましょう。

かさぶたができる理由は多岐にわたり、その理由によって有効成分も異なります。また用法・用量を間違えると、十分な効果が得られないケースも少なくありません。

頭皮の状態は自分では確認しにくく、判断を誤ることもあります。適切な薬を選ぶためには、薬剤師に相談するのもひとつの方法です。

その他の知っておきたい頭皮の症状

その他の知っておきたい頭皮の症状

頭皮のトラブルは、かさぶただけではありません。基本的にかさぶたは他の症状と合併して起こることが多いです。

もし以下のような症状に悩まされているならば、先述した対策・予防法を取り入れてみましょう。

フケや紅斑

(出典:(26)Malasseziaと脂漏性皮膚炎・アトピー性皮膚炎)
(出典:(27)脂漏性皮膚炎 —臨床症状と各種外用剤の治療効果—)
(出典:(28)紅斑を呈する疾患)

脂漏性皮膚炎になると、フケや紅斑の症状が出ることがあります

フケは古くなった頭皮の角質が剥がれたもので、髪の根元に小さな白いカスのようなものが現れます。フケ自体は健康な人にも出ますが、大きい・量が多いなど異常なフケが目立つ場合は注意が必要です。黄色っぽいかさぶたのようなフケは他の皮膚疾患がある場合を除いて、脂漏性皮膚炎の軽症型とされるものです。

紅斑は血管の拡張や充血によって生じるもので、名前の通り皮膚に赤みが出る症状です。色は暗い赤から鮮やかな赤まであり、脂漏性皮膚炎の初期段階から発生します。

ニキビ

(出典:(29)ニキビの発症メカニズム,治療,予防)
頭皮にもニキビができます。

ニキビは毛穴に皮脂が詰まった部分に痤瘡桿菌が増殖することで起こります。皮脂の分泌が多いとできやすい傾向があり、皮脂が酸化することで、ベタつきやにおいを感じることもあります。

年代や体質によっても頭皮の皮脂量は異なるため、自分に合った頭皮ケアを見つけることが大切です

かゆみ

(出典:(30)皮膚の乾燥・かゆみのメカニズムと室内湿度)
(出典:(31)頭皮の痒みとフケ)

頭皮のかゆみもよくある症状です。

かゆみの原因となりうる疾患は、脂漏性皮膚炎・接触皮膚炎・頭部白癬などです。また皮膚の疾患がなくても、シャンプーをしないなど頭皮の衛生状態が悪い場合にはかゆみが生じる場合があります。

またかゆみは乾燥とも大きな関係があるといわれています。頭皮は分泌された皮脂に覆われることで角層を保湿し潤いを保っているため、過剰な洗浄で皮脂を除去しすぎることは頭皮の乾燥の原因といえるでしょう。

 

頭皮のかさぶたに関するまとめ

頭皮にかさぶたができる主な原因には、脂漏性皮膚炎や頭部白癬などの疾患が挙げられます。いずれも真菌に由来する症状のため、薬用シャンプーで対策することがおすすめです。

またストレスや睡眠不足によって引き起こされることもあるため、規則正しい生活習慣を心がけましょう。

さらにアトピー性皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎など、さまざまな疾患が原因になっていることもあります。

症状に合わせて皮膚科で診察を受けたり、セルフケアしたりしながら、かさぶたが悪化しないように対処してください。

 

監修者紹介
佐藤 明男 医師
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤明男
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』
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