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更新日:2023.04.21

AGA治療薬って?種類と効果について解説

監修者紹介
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤 明男 医師
佐藤明男
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。  
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AGA治療薬にはさまざまな種類があるため、何を選べばよいかわからない人も多いでしょう。もし使うのであれば、自分に合ったものを選びたいものです。

この記事ではAGA治療薬の種類と効果にくわえて、薬を選ぶ際のポイントや使用上の注意点を詳しく解説しています

それぞれの薬の特徴を知れば、自分に合った薬を選びやすくなるでしょう。ぜひ最後まで読んで薬選びの参考にしてください。

AGA治療薬のタイプ

AGA治療薬のタイプ

抜け毛予防タイプ

(出典:(1)鉄ポルフィリン錯体誘導体による毛髪表面修復機構に関する研究) (出典:(2)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

AGA治療薬には抜け毛予防タイプ発毛促進タイプがあります。まずは抜け毛予防タイプについて見ていきましょう。

抜け毛予防タイプの作用は抜け毛の原因を断ち切ることです。具体的には5α還元酵素というタンパク質の働きを阻害し、男性ホルモンがジヒドロテストステロン (DHT) に変換されるのを抑制します。DHTはAGAの進行に深く関わっている物質です。

髪の毛の成長と脱毛には毛周期と呼ばれるサイクルがあり、以下の3つで構成されています。

成長期:髪の毛がつくられる期間 (2〜6年)
退行期:髪の毛の成長が衰えていく期間 (2〜3週間)
休止期:髪の毛の成長が止まっている期間 (数ヶ月)

DHTは毛周期のサイクルのうち、成長期の短縮と休止期の延長をもたらすことが報告されています。つまり成長期の髪の毛が減少するうえ、通常よりも短い期間で抜けてしまうため、薄毛の進行につながるのです。

抜け毛タイプの治療薬は、「DHTの生成を抑制することで、毛髪成長のブレーキを外す働きをもつ」と考えるとわかりやすいかもしれません。

代表薬には飲み薬のフィナステリドデュタステリドがあります。

発毛促進タイプ

(出典:(3)皮膚科Q&A 男性型脱毛症の治療にはどのようなものがあるのでしょうか?) (出典:(4)ミノキシジルの発毛作用について) (出典:(5)鉄ポルフィリン錯体誘導体による毛髪表面修復機構に関する研究) (出典:(6)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望)

発毛促進タイプのAGA治療薬は、抜け毛予防タイプとは対照的な作用があります。たとえば発毛促進タイプの代表薬であるミノキシジルは、毛乳頭細胞の増殖作用と毛母細胞の死滅抑制作用により、毛周期における成長期を延長し毛髪を成長させます

毛髪の成長にアクセルをかける作用と考えるとわかりやすいでしょう。

※毛乳頭細胞:毛母細胞の髪の毛への分化を促進する細胞
※毛母細胞:髪の毛を構成する細胞

代表薬にはミノキシジルアデノシンがあり、どちらも外用薬です。ミノキシジルには内服薬もありますが、厚生労働省の認可は下りていません。

ミノキシジルは抜け毛予防タイプの5α還元酵素阻害薬 (フィナステリド、デュタステリド) と併用が可能です。ミノキシジルとフィナステリドの併用は世界的に行われており、併用療法の有効性が認められています。ただし十分にエビデンスが集積していないのが現状です。

AGA治療薬の種類

AGA治療薬の種類

フィナステリド

(出典:(7)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版) (出典:(8)プロペシア錠インタビューフォーム)

フィナステリドは抜け毛予防タイプの飲み薬です。5α還元酵素のⅡ型を阻害することで、AGAの原因であるDHTの生成を抑えます。日本皮膚科学会の作成する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」 (以下、ガイドライン) における推奨度はA (行うよう強く勧める) です

ある臨床試験では、2年継続時で68%、3年継続時で78%の被験者に改善が見られたという結果が出ています。また別の試験では、5年間の継続により99.4%の症例で改善効果が認められています。

またフィナステリドは1日1回飲むだけなので、継続しやすいメリットもあります。

デュタステリド

(出典:(9)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版) (出典:(10)ザガーロカプセル 0.1mg・0.5mg インタビューフォーム)

デュタステリドもフィナステリドと同様に、5α還元酵素を阻害しDHTの生成を抑えます。フィナステリドがⅡ型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型いずれも阻害するのが特徴です。ガイドラインでは推奨度Aに設定されています

臨床試験において、デュタステリドはフィナステリドと同程度のAGA改善効果が認められています。またフィナステリドと同じく1日1回の内服で済むので、続けやすいのもメリットです。

ミノキシジル (外用)

(出典:(11)ミノキシジルの発毛作用について) (出典:(12)A randomized clinical trial of 5% topical minoxidil versus 2% topical minoxidil and placebo in the treatment of androgenetic alopecia in men) (出典:(13)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版) (出典:(14)ミノキシジルローション5%「JG」説明書)

ミノキシジルはAGA治療薬の中でも発毛促進タイプに分類される薬です。髪の毛の元となる種々の細胞を増やし、髪の毛の成長を促します。ミノキシジル外用のガイドラインにおける推奨度はAです

さまざまな研究でミノキシジルの効果が実証されており、またその効果は濃度依存的であることが報告されています。

1日2回の塗布が必要なので、使い忘れに注意が必要です。

ミノキシジル (内服)

(出典:(15)ロニテン錠添付文書) (出典:(16)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

ミノキシジルの内服薬はAGA治療薬として承認されていません。しかしミノキシジルの内服薬は薄毛に効果があると考えられています。その理由はロニテンという薬で多毛の副作用が報告されたからです。

ロニテンは治療抵抗性の高血圧治療薬として米国で承認されている薬で、ミノキシジルを含んでいます。多毛の副作用を検証した結果、ミノキシジルに発毛作用があることがわかり、外用ミノキシジル製剤に応用されました。

ただし内服ミノキシジルのAGA治療における有効性は十分に検証されていません。同時に危険性の検証も不十分です。そのためガイドラインでは推奨度D (行うべきではない) に設定されています

カルプロニウム塩化物

(出典:(17)フロジン外用液5%インタビューフォーム) (出典:(18)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

カルプロニウム塩化物は血管拡張作用と発毛促進作用をもつ外用薬です。ある小規模試験では6例中4例で発毛や脱毛減少の効果が見られ、有効性が認められています。大規模な臨床試験は行われていません。

カルプロニウム塩化物を使用する際は、適量を患部または頭皮全体に塗布した後に、軽くマッサージします。これを1日2〜3回行う必要があります。

ガイドラインにおける推奨度はC1 (行ってもよい) です

アデノシン

(出典:(19)皮膚科Q&A 男性型脱毛症の治療にはどのようなものがあるのでしょうか?) (出典:(20)Topical adenosine increases thick hair ratio in Japanese men with androgenetic alopecia) (出典:(21)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版) (出典:(22)薬用アデノゲンEX使用方法)

アデノシンは発毛促進タイプのAGA治療薬で、髪の毛の成長に関与する細胞を刺激して発毛を促進します。ガイドラインでの推奨度はB (行うよう勧める) です。1日2回の塗布と塗布後のマッサージが必要です。

アデノシン外用薬の有効性と安全性を評価した研究では、アデノシンによる有害事象は認められなかったと報告されています。

t-フラバノン

(出典:(23)t-Flavanone Improves the Male Pattern of Hair Loss by Enhancing Hair-Anchoring Strength: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study) (出典:(24)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)

t-フラバノンは抜け毛予防タイプの外用薬で、日本の企業である花王の研究により合成された成分です。

毛周期において退行期を誘導するとされるTGF-β2の活性化を抑えることで、AGA改善作用を示します。ガイドラインでの推奨度はC1に設定されています

ある研究によると、t-フラバノン含有の育毛剤を30週間使い続けた結果、薄毛改善率は約53%であったと報告されています。

AGA治療薬を選ぶ際のポイント

AGA治療薬を選ぶ際のポイント

続けやすさで選ぶ

(出典:(25)プロペシア錠インタビューフォーム) (出典:(26)ミノキシジルローション5%「JG」説明書)

AGA治療薬を使用するうえで重要なのは継続することです。AGA治療薬の使用を中断すると、再度薄毛が進行する恐れがあるからです。続けやすさは継続の可否に大きく関わります。1日何回の使用が必要なのか、内服薬なのか外用薬なのかは続けやすさを左右するポイントです。

たとえば1日1回の内服薬なら手間はかかりませんが、飲み忘れる可能性があります。1日複数回使う外用薬なら塗布の手間もあるためなおさらです。薬の使用法に合わせて、洗顔後や入浴後に使うなど習慣と結びつければ、ある程度は使い忘れを防げます。

自分が使用する場面を想像してみて、続けやすそうな薬を選ぶことが大切です。

費用で選ぶ

AGA治療薬は継続使用が不可欠なので、薬代が続けやすい金額かどうかは重要です。たとえば先発医薬品よりもジェネリック医薬品を選ぶことで、費用を安くできます。先発品とジェネリックの違いはのちほど解説します。

また金額が気になる方は、有効成分が同じ商品であれば、価格の安い方を選ぶとよいでしょう。

薄毛の範囲で選ぶ

(出典:(27)ミノキシジルローション5%「JG」説明書)

薄毛の範囲もAGA薬を選ぶうえで重要です。外用薬では薄毛範囲の全体をカバーできないことがあるからです

たとえばミノキシジルの1回量は1mlと決められています。AGAによる薄毛が広範囲にわたっている場合、規定量だと薬液が全体に行き渡らない可能性があります。一方で内服薬なら薄毛の範囲に関係なく作用します。薄毛の範囲が広いなら、内服薬を選ぶ方がいいかもしれません。

外用薬を使いたい場合は、気になる薄毛の範囲を確認しておくといいでしょう。

AGA治療薬の副作用について

AGA治療薬の副作用について

(出典:(28)プロペシア錠インタビューフォーム) (出典:(29)ザガーロカプセルインタビューフォーム) (出典:(30)ザガーロカプセルに係る医薬品リスク管理計画書) (出典:(31)プロペシア錠審議結果報告書) (出典:(32)ザガーロカプセル審議結果報告書) (出典:(33)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版) (出典:(34)フロジン外用液5%インタビューフォーム)

AGA治療薬には副作用もあります。

フィナステリドとデュタステリドの臨床試験では、副作用として性機能不全、検査値異常などが報告されています。性機能不全の内容は勃起機能不全、性欲減退、射精障害です。デュタステリドでは乳房の圧痛や腫大も報告されています。

これらの副作用は服用の中止で回復が見られています

また副作用とは異なりますが、前立腺癌の検査を受ける場合は注意が必要です。フィナステリドやデュタステリドは検査値に影響するからです。検査前にAGA治療薬を服用中であることを伝えてください。

外用薬のミノキシジルでは、かゆみやフケ、毛包炎などの副作用が報告されています。副作用の発現頻度は濃度5%ミノキシジルで6%程度です。またミノキシジル使用初期に、一過性の休止期脱毛により抜け毛が増えることがあります。

同じく外用薬であるカルプロニウム塩化物では、局所的な発汗やかゆみの副作用が報告されています

AGA治療薬に関するQ&A

AGA治療薬に関するQ&A

先発品とジェネリックの違いは?

(出典:(35)後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ)

有効性や安全性において、先発品とジェネリック医薬品に違いはありません。ジェネリック医薬品は先発品の特許が切れた後に製造販売される医薬品で、先発品と同等の品質であることが厚生労働大臣により承認されています。ただし添加物は先発品とジェネリックで異なる場合があります。

ジェネリック医薬品は先発医薬品よりも安価で入手できるのが最大のメリットです

効果が出ない場合は?

(出典:(36)プロペシア錠インタビューフォーム) (出典:(37)ミノキシジルローション5%「JG」説明書) (出典:(38)フロジン外用液5%インタビューフォーム)

効果を実感できないときは、以下の点を確認してみてください。

使用期間は十分か
飲み忘れや使い忘れはないか

AGA治療薬は効果を実感するまで時間がかかります。たとえばフィナステリドは、効果判定に6ヶ月の継続が必要です。早い方だと3ヶ月で効果を実感する場合もありますが、最初の1〜2ヶ月は効果がわかりづらいでしょう。外用薬のミノキシジルも最低4ヶ月間の継続使用が必要です。

またAGA治療薬は毎日使用することを前提としています。飲み忘れや使い忘れがあると、薬の効果を最大限発揮できない可能性が高まります。まずは使い忘れを防ぐ工夫をしてみましょう。薬を目に見えるところに置いたり、入浴や洗顔と結びつけて使用・内服したりするのがおすすめです。

十分な期間正しく使ってもなお効果を実感できないときには、薬の変更を検討します。また薄毛の原因がAGAなのかどうかも確認する必要があるでしょう。AGA以外が原因なら、他の治療法が必要になるからです。ただしカルプロニウム塩化物はAGA以外にも適応があります。

AGA治療薬の効果を得るには、十分な期間・毎日・正しい用法で使い続けることが何より重要です。

いつまで飲み続ければよい?

(出典:(39)プロペシア錠インタビューフォーム) (出典:(40)ミノキシジルローション5%「JG」説明書)

薄毛でもよいと思えるときまでは、薬を使い続ける必要があります。AGA治療薬の効果は薬を続けているときにのみ発揮されるからです。使うのをやめると、薄毛に戻ってしまうでしょう。

たとえば年をとって薄毛が気にならなくなったときは、薬をやめるタイミングであると考えます。

とはいえ薬を中断したり減らしたりして様子を見ることはできます。その結果また薄毛が気になってきたなら、薬を元に戻せばよいのです。

上記以外の場合は、可能な限り薬を続ける必要があります。

まとめ

AGA治療薬は抜け毛の原因を妨げたり発毛を促したりして、AGAにおける薄毛改善効果を示します。また副作用も低確率です。薬の効く仕組みや特徴を知ることで、薬に対する理解が深まったのではないでしょうか。

どの治療薬にもいえる共通点として、正しい用法で継続しないと効果を得にくいことがあります。また使用をやめると再び薄毛になることが予想されます。

継続はAGA治療においてとても大切なポイントです。それぞれの薬の使い方や注意点を見比べて、続けやすそうなものを選んでください。

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