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更新日:2023.07.07

5αリダクターゼとは?抑制方法やAGAとの関係性を医師が解説

監修者紹介
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤 明男 医師
佐藤明男
さとう美容クリニック院長, 北里大学医学部客員教授, 日本形成外科学会専攻医, 日本臨床毛髪学会理事, 日本先進医師会特定認定再生医療委員会委員長, SKIファーマ株式会社副社長
頭髪に関する内科治療と外科治療まで幅広く実践し、毛髪研究、教育も積極的に行っている。  
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薄毛の原因を調べていて、5αリダクターゼという酵素に行き着いた人もいるのではないでしょうか。

5αリダクターゼは男性ホルモンのテストステロンやジヒドロテストステロン、AGAなどとの関係が知られています。

この記事では5αリダクターゼとはそもそも何なのか、どのような特徴や役割があるのかなどについて詳しく解説します。薄毛との関係性が知りたい人もぜひご覧ください。

5αリダクターゼとは何か

5αリダクターゼとは何か

(出典:(1)酵素反応の基礎) (出典:(2)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望) (出典:(3)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

5αリダクターゼ (5α還元酵素) は、人間の体の中に存在する酵素のひとつです。

酵素は人間などの生物が生きていくうえで欠かせない生体触媒で、消化・分解・吸収・代謝などさまざまな生理的な働きに関係しています。

5αリダクターゼは2種類あり、それぞれ働き・特徴・存在する部位などが異なります。

男性の薄毛の原因のひとつであるAGA (男性型脱毛症) の発症に関係があるため、とくに男性にとって重要な役割を担っている酵素であるといえるでしょう

5αリダクターゼの種類と特徴

5αリダクターゼの種類と特徴

(出典:(4)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望) (出典:(5)男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果) (出典:(6)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA)) (出典:(7)脂腺の構造と機能)

5αリダクターゼにはI型とII型の2種類があります。それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

まずI型とII型は存在する場所が異なります。成人男性の場合は、I型は多くの部位に存在が確認されます。具体的に挙げると、全身の皮膚・皮脂腺・肝臓や男性ホルモンの影響を受けない部位の毛乳頭細胞などです。

一方のII型は存在する場所が限られます。前立腺・精嚢 (せいのう) ・精巣上体・肝臓と、前頭部やヒゲなどの男性ホルモンの影響を受けやすい部位の毛乳頭細胞などです。また毛包の外毛根鞘 (がいもうこんしょう) と呼ばれる部位の最内層にも発現しているという報告もあります。

I型とII型は至適pHも異なることがわかっています。至適pHとは作用を発揮しやすいpHの値のことで、I型は中性のpH、II型は弱酸性のpHで作用を発揮しやすいです。

5αリダクターゼの役割

5αリダクターゼの役割

5αリダクターゼは人間の体内でさまざまな役割を担っている酵素です。

5αリダクターゼの役割について解説するので、ぜひ参考にしてください。

テストステロンをジヒドロテストステロン (DHT) に変換する

(出典:(8)​​哺乳類における11-ケトテストステロン産生と機能) (出典:(9)男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果) (出典:(10)性ホルモンと骨格筋) (出典:(11)​​用語集─あ行 | 保健・化学物質対策 | 環境省)

5αリダクターゼにはテストステロンをより活性の高いジヒドロテストステロン (DHT) に変換する役割があります。DHTへの変換が行われるには、5αリダクターゼに加えて補酵素NADPHが必要です。

DHTは活性型アンドロゲンとも呼ばれています。DHTはテストステロンと比較して、アンドロゲン受容体との結びつきやすさが約3倍高いからです。

DHTは骨格筋機能の維持・調節や男性の性機能の発達に関わっており、男性的な体を作るために必要不可欠なホルモンです。

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男性ホルモンの感受性を調整する

(出典:(12)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA))

II型5αリダクターゼの特徴的な役割に、AGAにおける男性ホルモンに対する感受性の調整があります

毛乳頭細胞内では5αリダクターゼ活性が認められますが、中でも男性ホルモンの影響を強く受けるヒゲの毛乳頭細胞内ではpH5.5の時に強い活性が検出されるという特徴があります。一方で後頭部の毛乳頭細胞内ではこの特徴はみられません。

弱酸性の環境で活性化するのはII型5αリダクターゼの特徴であるため、部位によって毛乳頭の男性ホルモンに対する感受性が異なるのはII型5αリダクターゼの影響だと考えられるでしょう。

男性の体の発達に関わる

(出典:(13)性ホルモンと骨格筋) (出典:(14)男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果)

5αリダクターゼにはテストステロンをDHTに変換する役割があることから、男性の体の発達に大きく関係していると言えます。ただし5αリダクターゼが直接的に体の発達に関係するわけではありません。

人間にDHTを投与すると、骨格筋においてタンパク質の代謝や筋収縮に関連した遺伝子の発現、細胞内シグナル伝達系などが増大します。

またDHTは男性の内部と外部の生殖器の分化に必要な男性ホルモンです。髪の毛や前立腺の成長をコントロールすると報告されています。

5αリダクターゼが欠損している5α還元酵素欠損症の男性は、性別不明瞭な外性器をもって生まれるなどの性分化疾患を生じます。このことからDHTはとくに男性にとって重要なホルモンであることがわかります。

5αリダクターゼと薄毛 (AGA) の関係性

5αリダクターゼと薄毛 (AGA) の関係性

(出典:(15)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版) (出典:(16)毛と毛包の解剖・毛髪異常(AGA)) (出典:(17)男性における男性型脱毛症用薬 5 α – 還元酵素 II 型阻害薬 フィナステリド(プロペシア ® 錠 0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果)

5αリダクターゼとAGA (男性型脱毛症) による薄毛には、大きな関係があります。5αリダクターゼの働きによってAGAが発症するからです

ヒゲや前頭部などの毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンは、II型5αリダクターゼの働きによってDHTに変換され、男性ホルモン受容体と結びつきます。

そしてDHTと結合した男性ホルモン受容体がTGF-βやDKKIなどの脱毛因子を誘導することで、毛母細胞の増殖を抑制してヘアサイクルの成長期が短くなると報告されています。これがAGAのメカニズムです。

またII型5αリダクターゼには男性ホルモンの感受性を調整する働きもあるため、AGAの治療ではII型5αリダクターゼを阻害する治療薬が用いられます。

5αリダクターゼを抑制する効果的な方法

5αリダクターゼを抑制する効果的な方法

薄毛の原因のひとつである5αリダクターゼの働きを抑制する方法にはどんなものがあるのでしょうか。

ここでは食べ物・成分を摂取する方法と、治療薬などの薬を服用する方法の2つについて解説していきます。

抑制作用のある食べ物・成分を摂取する

(出典:(18)ファンクショナル・フードファクター・データベースと食品の安全性) (出典:(19)前立腺癌における大豆イソフラボンのJAK-STATを介した細胞増殖抑制効果の検討) (出典:(20)Inhibition of 5 alpha-reductase activity in human skin by zinc and azelaic acid) (出典:(21)日本人の食事摂取基準 (2020年版) )

5αリダクターゼの働きを抑制する方法として、ある食べ物や成分を摂取することが挙げられます。たとえばゲニステイン (大豆イソフラボン) や亜鉛などです

大豆イソフラボンは大豆に含まれている微量成分の一種で、味噌や納豆などの大豆発酵食品に多く含まれています。そして大豆イソフラボンの一種であるゲニステインには、5αリダクターゼを抑制する働きがあります。

また大豆イソフラボンには前立腺癌細胞の増殖を抑制する作用や、抗高脂血・抗高血圧・抗動脈硬化・抗骨粗しょう症・抗更年期障害などの作用もあるとされており、現在も数多くの研究が行われています。

亜鉛にも5αリダクターゼの働きを抑制する働きがあります。亜鉛は牡蠣・豚レバー・カシューナッツなどの食べ物に多く含まれているミネラルです。

基礎研究の段階ですが、亜鉛とアゼライン酸によって5αリダクターゼの活性を90%阻害したと報告されました。ただしこの研究は人間ではなく、人間の皮膚の培養細胞を対象として実施されたものです。今後さらなる研究によって詳しいメカニズムが明らかになるかもしれません。

食品安全員会の発表によると、日本人の食生活における日常的な大豆イソフラボン摂取について、安全と考えられる1日の摂取目安量の上限は70~75mgです。

また厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準 (2020年版) 」によると、成人男性における亜鉛の推奨摂取量は1日あたり11mgです。75歳以上の場合は10mgに設定されています。

AGAの治療薬など、抑制効果のある薬を服用する

(出典:(22)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望) (出典:(23)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版) (出典:(24)臨床発毛医学の現状と展望2018) (出典:(25)Efficacy and safety of a dual inhibitor of 5-alpha-reductase types 1 and 2 (dutasteride) in men with benign prostatic hyperplasia)

5αリダクターゼの働きを抑制するためには、AGA治療薬を服用する方法も効果的です。

5αリダクターゼの働きを抑制する代表的なAGA治療薬は、フィナステリドとデュタステリドです。これらの薬は5α還元酵素阻害薬に分類されます。

フィナステリドはII型5αリダクターゼの働きを阻害し、デュタステリドはI型とII型のどちらの働きも阻害します。またデュタステリドにはDHT値を低下させる働きもあります。

フィナステリドは日本で最初に発売されたAGA治療薬です。日本人のAGA患者を対象に1日に1mgのフィナステリドを3年間与えた研究では、87.1%の人の毛髪状態が改善したと報告されました。

また前立腺肥大症の患者を対象にデュタステリドを1日に0.5mg与えた二重盲検試験では、24ヶ月で血清のDHT値が平均90.2%減少したと報告されました。

フィナステリドを主成分とした代表的な治療薬はプロペシア、デュタステリドを主成分とした代表的な治療薬はザガーロです。近年ではこれらの治療薬のジェネリック医薬品も販売されています。

現在5αリダクターゼの働きを抑制する効果が認められているAGA治療薬は、この2種類のみです。

まとめ

5αリダクターゼはテストステロンをDHTに変換したり、男性ホルモンの感受性を調整したりする働きをもつ酵素の一種です。

5αリダクターゼのII型は男性の薄毛の大きな原因であるAGAと深く関係しており、その働きによってAGAの症状が生じてしまいます。

AGAの進行を抑えるために、この記事で紹介した5αリダクターゼを抑制する方法を試してみてください。

 

監修者紹介
佐藤 明男 医師
東京メモリアルクリニック理事長
佐藤明男
■ プロフィール
1957年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。
1998年、厚生省(当時) 高度先進医療推進事業でオックスフォード大学医学部客員研究員として英国に国費留学し、帰国後、東京メモリアルクリニック・平山副院長を経て院長に就任。医療法人TMC理事長を兼任。これまで10,000人を超えるAGA(男性型脱毛症)患者を治療してきた実績を持つ、頭髪治療の第一人者。
■論文・出版情報
2007年 『医療的育毛革命』
2009年 『なぜグリーン車にはハゲが多いのか』
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