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「前髪が薄くなってきている」と感じたとき、育毛方法を知りたい人は多いのではないでしょうか。
ひと口に前髪の育毛といっても薄くなる原因は人それぞれ異なるので、まずは原因を探ることが大切です。
この記事では、前髪が薄くなる原因と具体的な育毛方法について紹介します。これから前髪の育毛を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
前髪が薄くなる原因
前髪が薄くなる主な原因は、大きく分けて以下の6つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
遺伝
(出典:(1)男性型脱毛症のフィナステリド治療効果とアンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性,出典:(2)男性型脱毛–その特性と未来像 Androgenic alopecia–Its characteristics and perspectives)
前髪が薄くなる原因は、遺伝による場合があります。体内の酵素である5αリダクターゼの遺伝子情報は、親から子へと引き継がれやすいことが判明しているからです。
男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼの影響を受けることで、髪の成長を抑制するジヒドロテストステロンへと変化してしまいます。
5αリダクターゼの活性度は優勢遺伝によって伝わるため、父もしくは母方の家族が薄毛だと、その子どもは薄毛の体質を引き継いでいる可能性があります。
頭皮の血行不良
(出典:(3)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」)
頭皮の血行不良は、前髪の薄毛を引き起こす原因です。血流が悪いと細胞の働きが活性化されなくなってしまい、髪に必要な栄養が行き届きにくくなります。
また細胞の働きが鈍い状態でもあるため、体の末端である頭皮は栄養が後回しにされてしまうのです。
血液は栄養を運ぶ以外に老廃物を体外に排出する働きもあります。そのため血行が悪くなると老廃物が溜まって頭皮環境が悪化します。頭皮環境の悪化は抜け毛以外に、フケや悪臭などを引き起こす原因となります。
なお前頭部は、こりによって血行不良を引き起こしやすい部位であることを覚えておきましょう。
不規則な生活習慣
(出典:(4)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」)
偏った食事や睡眠不足などの生活習慣を送っている場合は、薄毛になる可能性が高まります。不規則な生活習慣は血行不良を招き、前髪の成長を妨げてしまうからです。
ファストフードなどの脂質の高い食事ばかりを摂っていると、皮脂分泌を増加させ髪の成長を妨げてしまいます。
加えて過度やダイエットなども髪にとって良くありません。髪に必要な栄養素が足りなくなってしまい、薄毛を招くからです。
また髪の成長に必要なホルモンは、睡眠中に多く分泌されます。睡眠不足が続くと、細胞分裂が正常に行われず育毛不良となります。そのため質の高い睡眠と十分な睡眠時間を確保することも大切です。
ストレス
(出典:(5)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜,(6)疲労とストレス)
ストレスは薄毛の原因になります。自律神経やホルモンバランスが乱れやすくなり、血管が収縮して頭皮の血行が悪化してしまうからです。
過度にストレスが溜まると、食欲不振による栄養不足や睡眠不足を招きます。そのため食生活の見直しや睡眠改善よりも先に、ストレスを溜めない生活を送ることを優先させましょう。
誤ったヘアケア
(出典:(7)洗浄料とその作用,(8)ヘアケアの科学)
誤った方法でヘアケアをすると、薄毛の原因になるので注意が必要です。日常的に爪を立ててシャンプーをする、髪を生乾きのまま放置するなどを繰り返すと、髪にダメージが蓄積されてしまいます。
また頭皮のことを考えるなら、洗浄力の強いシャンプーを使用しないようにしましょう。
洗浄力が強いと頭皮の皮脂が必要以上に洗い落とされ、頭皮が乾燥してしまいます。頭皮が乾燥すると、皮脂を分泌しようと体が作用するため、皮脂の過剰分泌を招きます。
また洗いすぎも頭皮が乾燥する要因です。そのため必要以上にシャンプーをせず、1日1回程度に留めるようにしましょう。
シャンプー以外にブラッシングも注意が必要です。必要以上にブラッシングをすると髪の表面のキューティクルを傷つけて頭皮を痛めつけてしまいます。
加えて濡れている状態でのブラシの摩擦は、無防備な状態の髪に大きなダメージを与えます。
髪に負担のかかるヘアスタイル
(出典:(9)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)
いつも前髪に負担のかかるヘアスタイルをしている人は、薄毛の原因になる可能性があります。
長い間一定方向に髪が引っ張られることで、それを支える毛根の血流が悪くなるためです。引っ張られた髪型をキープすると、毛乳頭や毛母細胞が衰えて頭皮に栄養が行き渡らなくなります。
このような原因で起こる脱毛は「牽引性脱毛症」と呼ばれています。主にオールバックをしている人に見られるのが特徴です。
前髪の育毛方法
ここでは前髪の育毛方法を4つ紹介します。
栄養バランスの良い食事を摂る
(出典:(10)中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」,(11)MSD マニュアル プロフェッショナル版 ビタミン,(12)MSD マニュアル プロフェッショナル版 亜鉛)
栄養バランスの良い食事を摂るように心がけましょう。髪に必要な栄養素はタンパク質や亜鉛 (ミネラル) 、ビタミンなどがあります。
タンパク質は髪の基本成分であるケラチンの元となる栄養素で、髪の成長に必要不可欠です。
亜鉛 (ミネラル) は毛母細胞の増殖を促進させる働きがあり、育毛効果が期待できます。
ビタミンB2やB6は、代謝を活性化させる作用があり、毛母細胞の細胞分裂を活発にするのが特徴です。さらに抜け毛の原因となる皮脂の過剰分泌を抑える働きもあります。
食事で十分に栄養が摂れない人は、サプリメントで栄養を補うと良いです。
頭皮を清潔に保つ
(出典:(13)Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」,(14)髪の健康を考える-美しい髪で過ごすには-)
頭皮を清潔に保って頭皮環境を整えることで、前髪の育毛は促進されます。
頭皮環境を清潔にしておかないと、古い角質が除去できずヘアサイクルに異常を引き起こしてしまいます。
特に毎日のシャンプーは、頭皮を清潔に保つ上で欠かせません。まずは髪をブラッシングしてホコリを取り除いてシャンプーをしましょう。また指の腹を使って、優しくマッサージするように洗ってください。
シャンプー剤が残ってしまうと頭皮環境が悪化するので、最後は丁寧にすすぎましょう。
なおシャンプーの仕方だけでなく、シャンプー選びも重要です。自分の肌が脂性肌なのか乾燥肌なのかを把握し、肌質に合ったシャンプーを使用しましょう。
育毛剤を使用する
(出典:(15)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版)
前髪の育毛には、育毛剤が役立ちます。頭皮に余分な皮脂や汚れがある状態では育毛剤が浸透しないので、シャンプーの後に使用することが大切です。
刺激の強い育毛剤は、かえって頭皮にダメージを与えてしまいます。低刺激で血行に働きかける成分が配合されているもの選びましょう。
また育毛剤は大量に使えば効果が得られるわけではありません。記載されている使用量を守って使いましょう。
AGA治療を受ける
(出典:(16)毛と毛包の解剖・毛髪異常 (AGA) )
前髪の育毛を考えるなら、クリニックでAGA (男性型脱毛症) の受診も検討しましょう。
クリニックでは、髪の成長を促す育毛剤や発毛薬を処方しています。AGA治療で用いられるミノキシジルは、毛包という器官に作用して新しい髪の発生を促進させる働きがあるため、前髪の薄毛改善が期待できます。
また治療だけでなく、専門的な視野から前髪の育毛や悩みに関してアドバイスがもらえる点もAGA治療のメリットです。
AGAは進行性の脱毛症で、放置すると徐々に悪化するので早めの受診が大切です。
前髪の抜け毛を防ぐには?
育毛も大事ですが、前髪の毛根に負担がかからないように、スタイリングの回数を減らす、極力前髪を触らないようにすることも心がけて抜け毛を防ぎましょう。
スタイリング剤は過度につけると水で流しきれないので、少量の使用に留めましょう。特に生え際はスタイリング剤が残りやすい部位なので注意が必要です。
またスタイリングをする機会の多い前髪は、無意識に手を触れてしまう部位なため、できるだけ触らないようにしましょう。
薄くなった前髪は育毛方法を知れば改善が期待できる
前髪が薄くなってきたかもしれないと感じたとき、まずは原因を考えましょう。原因を知ることで、自分にとって最適な育毛方法がわかります。
前髪の育毛とケアを続けて、前髪の薄毛の進行を抑制・予防していきましょう。
- 1).男性型脱毛症のフィナステリド治療効果とアンドロゲン受容体遺伝子CAGリピート多型との相関性
- 2).男性型脱毛–その特性と未来像 Androgenic alopecia–Its characteristics and perspectives
- 3).13).Ritsuko Ehama 「Infuluence of Scalp Problem on Physical Properties of Hair and Their Prevention by Plant Extracts」
- 4).10).中村博範 「マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について」
- 5).9).14).髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜
- 6).疲労とストレス
- 7).洗浄料とその作用
- 8).ヘアケアの科学
- 11).MSD マニュアル プロフェッショナル版 ビタミン
- 12).MSD マニュアル プロフェッショナル版 亜鉛
- 15).男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版
- 16).毛と毛包の解剖・毛髪異常 (AGA)