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うまく髪型がセットできなかったり、なんとなく老けて見えたりしてお悩みではありませんか?
その原因は前髪が薄いことかもしれません。前髪は顔の印象にかかわるので、できるだけ早く対策したいですよね。
この記事では、前髪が薄くなる原因と薄毛対策を男女別に紹介しています。薄い前髪をごまかすアレンジ方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
前髪が薄いってどんな状態?
前髪にボリュームがなく、前髪が割れてしまったり、前髪からおでこの色が透けて見える状態です。おでこが広い場合や、全体の髪の毛が少ない場合も前髪は薄くなります。
前髪は最も顔に近い部分なので、その人の見た目の印象にも影響を与えやすいです。
前髪が薄くなると、ヘアセットが決まらなかったり、ヘアセットに時間がかかったり、なんとなく老けて見えたりしてしまいます。
【男女共通】前髪が薄い原因とは?
前髪が薄くなる原因のうち、男女共通のものを紹介します。前髪が薄い原因としては、主に以下のものがあります。
順番に解説していきます。
頭皮環境の悪化
(出典:(1)低刺激性プロトタイプシャンプーの頭部皮膚疾患患者における使用評価 ―頭部皮膚疾患患者を対象とした臨床試験―) (出典:(2)ヘアケアの科学)ひとつ目の原因として、頭皮環境の悪化があります。頭皮環境を悪くする要因は人によって異なるため、まずは普段のヘアケア習慣を見直してみましょう。
たとえば過度なシャンプーは、強い刺激を与えたり必要な油分まで流したりしてしまうことで、頭皮のダメージや乾燥の原因となります。爪を立てて洗ったり、1日に何度もシャンプーをしたりしている人は、頭皮を傷つけている可能性があるため注意してください。
反対に頭皮に皮脂が残っている場合も、やはりヘアケア習慣の改善が必要です。頭皮の常在菌の働きによって頭皮に残っている皮脂が酸化すると、それによって毛根の細胞の活動性が低下してしまうからです。その結果、毛髪の成長が止まり、脱毛傾向となることもあります。
また日常的にフケや頭皮のかゆみなどの症状が気になる場合は、使用しているシャンプーが頭皮に合っていないかもしれません。相性の悪いシャンプーを使用し続けることは、頭皮環境にも悪影響を与えます。
このようにあらゆる外部刺激や洗い残した皮脂が頭皮環境を悪化させる要因となり得るのです。
生活習慣の乱れ
(出典:(3)頭髪外来における内服・外用による男女の発毛治療) (出典:(4)第3章 主な医薬品とその作用)ふたつ目の原因は生活習慣の乱れです。栄養バランスの偏りや睡眠不足は毛髪の成長に影響します。
毛髪の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質です。そしてケラチンを合成するためのタンパク質は食事から摂る必要があります。食事でのタンパク質摂取が不足すると、ケラチンの原材料が不足してしまいます。
また毛髪の成長には、タンパク質だけでなく、エネルギーやビタミン、ミネラルも不可欠です。栄養バランスの偏りは毛髪の成長を妨げる要因となるので、日頃からバランスの取れた食生活を心掛けましょう。
栄養バランスが整った食事と同様に、十分な睡眠も毛髪の成長に重要な要素のひとつです。毛髪の成長に不可欠である成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。睡眠時間が不足すると成長ホルモンが十分に分泌されず、毛髪の成長を促せなくなる恐れがあります。
たまに寝不足の日がある程度なら問題ありませんが、慢性的な寝不足は毛髪だけでなく心身の疲労を引き起こす元です。
ストレス
(出典:(5)皮膚科Q&A 毛が伸びる、または生えかわる仕組みはどのようになっているのでしょうか?) (出典:(6)ストレスと疲労のバイオマーカー) (出典:(7)画像解析によるマウスの体毛成長の評価)3つ目の原因はストレスです。ストレスは髪の毛の成長を遅らせます。
髪の毛の成長には、毛周期と呼ばれるサイクルが関わっています。毛周期は通常、成長期→退行期→休止期→成長期というサイクルで移り変わり、このうち毛髪が成長するのは成長期の期間です。
しかし体がストレスを受けると、副腎皮質からコルチゾールをはじめとする糖質コルチコイドが分泌されます。この糖質コルチコイドは、毛髪の休止期→成長期への誘導を抑制する作用があり、その結果、休止期にある毛髪が増えてしまいます。
休止期にある毛髪が増えることに伴い、成長期にある毛髪が減ってしまうので、脱毛や毛量の減少につながるといえるでしょう。
血行不良
(出典:(8)男性型脱毛症と育毛有効成分) (出典:(9)マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について) (出典:(10)肩こりとつきあう)4つ目の原因は血行不良です。
髪の毛の成長に必要な栄養は、毛細血管を通って運ばれます。しかし毛細血管の血行が悪いと、髪の毛まで必要な栄養が効率よく運べません。髪の毛への栄養が不足している状態が続くと、髪の毛が細く弱くなってしまうことが知られています。
血行不良は髪の毛の成長を妨げるだけでなく、肩こりや首こりの原因にもなり得ます。普段から肩こりを感じている人は、頭皮が血行不良になっているかもしれません。
とくに運動習慣が無い人や、仕事で1日中デスクワークをしている人は、日常的に血行が滞っている可能性があります。
髪に負担となるヘアスタイル
(出典:(11)皮膚科Q&A ヘアスタイルと脱毛症の関係はありますか?)5つ目の原因はヘアスタイルの問題です。
強く結ったり常に同じ分け目にしたりすることも、薄毛の原因のひとつです。
この症状を牽引性脱毛症と呼び、髪が強く引っ張られることで、抜けたり生えてこなくなったりする状態を指します。
同じ髪型を続けることで起きやすく、とくに前髪を後ろに引っ張った状態でセットするような髪型は牽引性脱毛症のリスクが高いとされています。
習慣的に髪を結んでいる人は、結ぶときに力を入れすぎないように気を付けましょう。また結び方や結ぶ方向を変えることも、牽引性脱毛症の予防に有効です。
男性の前髪が薄い原因
(出典:(12)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版)男性の前髪が薄い原因としては、AGA(男性型脱毛症)が代表的です。AGAは、男性ホルモンの影響で前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなってしまう病気です。
AGAは20代後半から発症する人が増え始め、発症率は年齢とともに上がっていきます。日本人男性の平均発症率は約30%といわれており、決して珍しい病気ではありません。
AGAが引き起こされる要因は、活性型の男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)です。DHTの作用で毛周期における成長期が短縮し、髪の毛の成長が妨げられた結果、髪の毛が短く細くなり前髪も薄くなります。
現在はAGAの治療薬があり、使用によりAGAの進行を止められます。
女性の前髪が薄い原因
(出典:(13)髪の健康を考える〜美しい髪で過ごすには〜)女性の薄毛にはさまざまな原因が考えられますが、代表的なものにホルモンバランスの変化があります。
たとえば出産後やピル内服中止後、閉経後など女性ホルモンが減少する場面では脱毛が起こりやすいです。出産後やピル内服中止後の脱毛は一時的なものであるため、時間経過により徐々に回復します。
また加齢も女性の薄毛の原因です。とくに閉経前後から薄毛が目立ってくる人が多いようです。
その他にも以下のような原因が考えられます。
今日からできる薄い前髪の改善・対策方法
ここからは薄い前髪の改善・対策方法を紹介します。具体的な方法は以下の通りです。
ヘアケアを徹底する
(出典:(14)爪を立てないことについて 気になるフケの正体を知ろう!〜なんとかしたいフケ対策〜) (出典:(15)地域女性高齢者の皮膚の乾燥状況と乾燥に関連する生活習慣の実態) (出典:(16)Feature Articles 特集論文 6 頭皮のスキンケア―洗髪・保湿を中心に―) (出典:(17)頭皮皮脂分泌量に関する研究(第1報)ー洗髪後の頭皮皮脂分泌量の回復についてー)ヘアケアの方法を見直して、頭皮を痛めているなら方法を変えてみます。
たとえばシャンプーのやり方や頻度です。頭皮をいたわるシャンプーのポイントを以下に示します。
以上のポイントを実践して、必要以上に頭皮を洗いすぎないようにしてください。
不適切なシャンプーは、フケや乾燥など頭皮トラブルの原因になると考えられています。
また頭皮の皮脂は、シャンプー後から約24時間でシャンプー前の状態まで回復します。皮脂には、皮膚の乾燥を防ぐ機能も備わっているため、1日1回以上のシャンプーは頭皮の乾燥につながるおそれがあるのです。
食生活を見なおす
(出典:(18)e-ヘルスネット たんぱく質) (出典:(19)亜鉛の働きと1日の摂取量)食事は、栄養バランスや量を考えて摂取します。
とくに髪の毛の合成に必要なタンパク質や亜鉛は不足しないように意識してください。
良質なタンパク質を含む食品群としては、
があります。
亜鉛を摂取するのに適した食品群は以下の通りです。
ストレスを溜めない
(出典:(20)画像解析によるマウスの体毛成長の評価) (出典:(21)マウスにおける毛周期に伴う皮膚色の経時的変化)ストレスにより分泌される糖質コルチコイドは、マウスにおける体毛の休止期から成長期への移行を抑制する作用をもつことが報告されています。
マウスの体毛にもヒトと同じ毛周期のサイクルがあるので、髪の毛でも同じことが起こる可能性があります。
疲れたら休む、睡眠時間を確保する、気分転換するなど、心身ともに無理をしないことが大切です。
またストレスが溜まると食欲が落ちるので、十分な栄養が摂れなくなることもあります。
忙しくて休めない人は、数分間でもいいのでリラックスする時間をつくってください。緊張状態が続くと、薄毛だけでなくさまざまな不調につながります。
運動や頭皮マッサージを取り入れる
(出典:(22)顕微鏡血流観察による有酸素運動前後の毛細血管血流速度の定量) (出典:(23)地肌マッサージの頭皮への作用)運動や頭皮マッサージは、血行を改善します。血行を改善することで、髪の毛へ栄養を運ぶ効率を上げられます。
まず運動に関しては、20分間の有酸素運動で毛細血管の血流速度が上昇することが報告されています。ウォーキングやジョギングを日課にできるとよいでしょう。踏み台を用いた昇降運動なら家の中でもできるのでおすすめです。
頭皮マッサージも、頭皮の血流改善効果が報告されています。「指先で頭皮を軽く押さえる→ゆっくり離す」これを前髪の生え際に沿っておこなってください。
運動も頭皮マッサージも、継続して行うことが大切です。
市販の発毛剤を使う
(出典:(24)ミノキシジルの発毛効果について) (出典:(25)男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版) (出典:(26)男性型脱毛症治療の現状と今後の展望)市販の発毛剤には、有効成分としてミノキシジルが配合されています。
ミノキシジルは、以下の作用により増毛効果を発揮すると考えられています。
日本皮膚科学会が作成する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では、外用ミノキシジルの推奨度はA(強く勧める)に設定されています。
効果を判定するには、最低6ヶ月間の使用が必要です。初期脱毛(ミノキシジル使用開始後にみられる脱毛)が現れることもありますが、一時的な症状ですので心配ありません。
性別によって使用できるミノキシジルの濃度に違いがあることも重要です。男性は5%配合のものを、女性は1%配合のものを使用してください。
専門の病院やクリニックに相談する
専門の病院やクリニックでは、薄毛に特化した治療が受けられます。薄毛治療の方法はさまざまで、内服治療や植毛、レーザー照射による治療があります。
また専門家によるカウンセリングを受けることで、薄毛の原因を知り生活改善につなげられるかもしれません。
なにより専門家の知見に基づいた治療やアドバイスを受けられるので、薄毛を治療するうえで心強さを得られるのが魅力です。
ヘアスタイルを変えてみる
薄い前髪をすぐに変えたい場合は、ヘアスタイルを変えるのも方法のひとつです。今の髪型が前髪の薄さを助長している可能性もあるからです。
髪のカット方法やセット方法を変えるだけで、驚くほど薄毛が目立たなくなることもあります。他の対策方法は効果が出る前に時間がかかるのに対し、ヘアスタイルの変更はすぐにできて、その日から目に見えて変化がわかるのでおすすめです。
理容師さんや美容師さんに相談して、前髪の薄さをカバーする髪型を提案してもらうと良いでしょう。
薄毛対策中の乗り切り方とおすすめの髪型
薄毛対策をしても、すぐに効果が出ないことがほとんどです。薄毛対策は根気が必要ですが、見た目が変わらないとモチベーションが続きません。
ここからは薄毛を上手にごまかせるおすすめのヘアスタイルを紹介します。ヘアスタイルの変更は根本的な薄毛解決方法ではありませんが、すぐに見た目に反映されるというメリットがあります。
他の薄毛対策に加えてヘアスタイルを変えることで、薄毛に悩む時間を減らせるかもしれません。
男性と女性それぞれにおすすめの髪型を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
男性におすすめの髪型
男性におすすめの髪型は、以下の3つです。
基本的に前髪は伸ばしすぎない方が、薄毛は目立ちません。前髪は短くカットし、トップを立たせるのがポイントです。またおでこはあえて見せることで清潔感が増します。
3つの髪型のうちどれを選ぶかは好みによりますが、髪を短くしすぎることに抵抗があるならベリーショートやショートがおすすめです。
女性におすすめの髪型
女性におすすめなのは、前髪に髪を集めるような髪型です。こめかみのあたりの髪を前髪に持ってきて、前髪に厚みを出します。
前髪にマジックカーラーやパーマをあて、前髪をふんわりさせてボリュームを出すのもよいでしょう。おでこにはりつく前髪よりも、ふんわりとした前髪はボリュームを感じさせてくれます。
また前髪を短く切って長さを揃えるぱっつん前髪も、前髪の薄さが気になりませんし、おでこをかわいくアピールできます。
大胆にイメージを変えてみたい人は、ベリーショートスタイルに挑戦するのもいいですね。前髪は短い方が薄毛は目立たなくなります。
まとめ
前髪が薄い原因は人それぞれです。日々のヘアケアや生活習慣を見直すことで、薄毛を改善できる可能性があります。
しかし薄毛を根本的に解決するためにはある程度の時間が必要です。効果が出始めるまでは、薄毛をごまかせるヘアスタイルを取り入れてみましょう。すぐに見た目に反映されるので薄毛対策のモチベーションにもつながるかもしれません。
薄毛の原因によっては処置や治療が必要な場合もあるので専門機関に相談してみましょう。
- 1).日本香粧品学会誌 41巻 (2017) 1号 p.15-22
- 2).繊維製品消費科学 28巻 (1987) 6号 p.219-226
- 3).国際抗老化再生医療学会雑誌 1巻 (2018) p.40-42
- 4).厚生労働省 試験問題の作成に関する手引き(平成19年8月)
- 5).公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- 6).日本薬理学雑誌 137巻 (2011) 4号 p.185-188
- 7).20).川崎医療福祉学会誌 28巻 (2018) 1号 p.125-133
- 8).油化学 44巻 (1995) 4号 p.266-273
- 9).川崎医療福祉学会誌 22巻 (2013) 2号 p.200-207
- 10).順天堂医学 54巻 (2008) 3号 p.359-362
- 11).公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A
- 12).25).日本皮膚科学会ガイドライン
- 13).順天堂醫事雑誌 59巻 (2013) 4号 p.327-330
- 14).千葉県医師会 県民向け広報誌「ミレニアム」第58号 P10-12
- 15).日本健康医学会雑誌 21巻 (2013) 4号 p.237-243
- 16).Bella Pelle 3巻 (2018) 3号 p.36-39
- 17).日本化粧品技術者会誌 27巻 (1994) 4号 p.546-549
- 18).厚生労働省 e-ヘルスネット
- 19).公益社団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
- 21).日本エスエルシー株式会社 マウス(特殊データ)
- 22).日本温泉気候物理医学会雑誌 78巻 (2014-2015) 4号 p.353-362
- 23).日本化粧品技術者会誌 48巻 (2014) 2号 p.97-103
- 24).順天堂医学 37巻 (1992) 4巻 p.606-612
- 26).日本薬理学雑誌 133巻 (2009) 2号 p.78-81